第084話 良いこと
皆を呼び、待っていると、続々とやってくる。
そして、最後にエルヴィスとリクが部屋に入り、席についた。
「皆さん、揃いましたね。それでユウさん、アヤカさん、急に呼び出して、どうしたんですか?」
どうでもいいけど、そのクラッカーは何だ?
あんたが想像している発表なんかせんぞ。
「私がやっているSNSのアカウントに兵庫のゾンビちゃんから連絡が来たのよ。これ」
アヤカが皆にスマホを見せる。
「絵文字が多いね」
「見づれーよ」
「まあまあ。ふむふむ……宮前……」
「なんでアヤカの旧姓を……え?」
「ミナト!?」
皆が最後まで読み、驚く。
あと、高宮さん、旧姓ではないんだよ。
「どう思う?」
「ミナトが兵庫にいる……」
「一応、西日本だねー」
「ふーむ……罠の可能性はないかな?」
北浦さんがアヤカに聞く。
「私は考えにくいと思っている。このアカウントは釣るためのもので私達にしかわからないものだもの」
そういう風にしたからな。
高梨アヤカも高高同盟もだ。
「吉井は? 私らが一緒にいることは知ってるよね?」
「吉井君はユウ君はわかったけど、マユミがわからなかった。それなのに私のことがわかるわけないわ」
名字すら覚えてなかったレベルだしな。
何よりも昨日の今日だ。
さすがに行動が早すぎる。
「じゃあ、ミナトだ。何らかの方法でSNSを見て、調べたら検索に引っかかったんだね」
「私はそう思って良いと思ってる」
俺もだ。
今回は槍男のケースとは違う。
「エルヴィス、リンダ姉さん、どう思う?」
2人に聞く。
「アヤカのフォロワーからミナトに偶然、繋がったっていうのはできすぎな気がするが、話を聞いてみる価値は十分にあると思うぜ」
「そうですね。ミナトさんの確率がかなり高いです。これはスルーできません」
2人もそう思うらしい。
「じゃあ、ちょっとゾンビちゃんと連絡を取ってみるわ」
アヤカがスマホを操作しだした。
「兵庫は悪魔の町だったよな?」
「そうですね。詳しくはないですし、情報収集をしないといけませんが、悪魔の町で間違いありません。隣接する鳥取、大阪、京都は人間の町です」
「そういえば、下関のサハギンに悪魔と取引する企業が大阪にあるって聞いたな」
瀬戸内海で漁をしているサハギンの情報だ。
「ユウ、前に神戸のことを話しただろ」
あ、温泉で聞いた。
「兵庫というか、神戸がすごいことになってるんだっけ? 歓楽街というワードを覚えている」
「男の子ですねー」
うっせ。
「長門で調査した時に聞いた話だが、カジノとかがあるし、治安も悪いらしいぜ」
そう、それ。
「カジノですか。それは楽しそうですね」
リンダ姉さん、ギャンブル好きだもんな。
「そんなところに大村君がいるの? 危なくない?」
アヤカが顔を上げて、エルヴィスを見る。
「まだ神戸と決まったわけじゃない。兵庫県も広いだろ」
岡山がそうであるように兵庫県も北は山だし、海だもんな。
「いや、ゾンビちゃん、神戸なんだけど……」
神戸かよ……
「じゃあ、ミナトも神戸にいる確率が高いな。連絡は?」
「まだ」
すぐには来ないか。
「どちらにせよ、兵庫は隣です。行きますか?」
それなんだよな……
「四国はどうする?」
副リーダーに聞く。
「行くは行くっしょ。問題はどっちを優先するかだね。気持ち的にはさっさと大村っちと合流したい。一方でアヤカのじいちゃん、ばあちゃんの確認も大事。それに兵庫に行ってからまたこっちに戻るのもね……吉井がいるじゃん」
あいつがどこにいるかはわからないが、いてもおかしくないからな。
「ユウさん、どうしますか?」
リンダ姉さんが聞いてくると、全員が見てくる。
結論を出すのはリーダーの役目なのだ。
「俺はできたら治安の悪い神戸はさっさと抜けたい。ミナトと合流したらそのまま東に行く感じだ。だから一度、神戸に行って、そこから戻るのはな……また神戸にも行くことになる。だったら先に四国の高知に行っても良いんじゃないかって思う」
ミナトには悪いが……
「当初の予定通りですね」
「ああ。ただ、ミナトがどういう状況なのかがわからない。ゾンビちゃんから返事を待とう。話はそれからだ」
「ふむふむ。良いと思います。今は待ちですね」
どうせ今日は休みだ。
急ぐこともない。
「よし、俺っちはちょっと受付にいた仲間に兵庫と四国の話を聞いてくるぜ」
エルヴィスが立ち上がった。
「そうですね。では、私もちょっと町を見てきます。帰ってきたら夕食に行きましょう。夕食後は私とエルヴィスさんで夜の町で情報を集めてきます」
リンダ姉さんも立ち上がり、エルヴィスと共に部屋から出ていった。
「あのさ、やっぱり大村君を優先した方が良いんじゃないかって思うんだけど」
アヤカがちょっと言いにくいように口に出した。
「いや、そういうわけにもいかない。これも大事なことだ」
「僕も四国には行くべきだと思うよ」
「うん。そうだよー。わざわざ危ない中国山地を越えてきたのは四国に行くためじゃん」
「こればっかりはお互い様。私も京都に行きたいし」
北浦さんも従兄が京都にいる。
「うん……ありがとう」
当然だな。
「アヤカ、今はミナトと合流できそうなことを喜ぼう。まったく情報がなかった中でかなり有力な情報だ」
「そうね。皆が集まればもう大丈夫」
チームドロップアウトが全員集合だ。
「よっしゃ。今日は祝杯っしょ」
「マユミ、気が早くない?」
「じゃあ、無事に岡山までやってこられた記念」
まあ、それならいいか。
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