第083話 朗報2
4階にやってくると、それぞれの部屋の前に立つ。
「じゃあ、夕方ねー」
「おやすみ」
「俺っちもさすがに眠いわ」
「寝よう」
4人がそれぞれの部屋に入っていったので俺とアヤカも部屋に入った。
部屋はこれまでのビジネスホテルとは少し違い、広々としていたし、窓際にあるテーブルにはゆっくりできそうな椅子もあった。
「おー、良い感じじゃないの」
「そうだな。風呂はどうする?」
当然だが、昨日は朝しか入っていない。
「さすがに眠いし、起きてからにするわ。もう寝ましょう。ユウ君、あっち向いて着替えてね」
アヤカが窓の方を指差したのでカーテンを閉め、俺も部屋着に着替えだす。
「なんか寝ないで遊んだ修学旅行2日目みたいだな」
「遊ぶどころか、戦闘だったけどね。言いたいことはわかるけど」
疲れた……
着替え終わると、アヤカの方を見ないようにしながらベッドに腰かける。
「終わった?」
「まだ。どぎまぎしてる?」
「してる」
リンダ姉さんのチャームよりも。
「もう大丈夫」
アヤカが笑いながらそう言ったので振り向くと、部屋着に着替えていた。
いつ見ても可愛い。
「よし、寝るか」
「ええ。あー、お布団だー」
俺達はそれぞれのベッドに入る。
柔らかい布団が身体を包み込み、眠気がより強くなった。
「おやすみ」
「うん。おやすみ」
目を閉じると、あっという間に意識がなくなった。
目が覚めると、水音が聞こえてきた。
スマホを見ると、時刻は15時を回ったところだ。
「風呂か……」
聞こえてくる水音はシャワーの音であり、隣のベッドに誰もいないので先に起きたアヤカが風呂に入っているのだろう。
ベッドから降りると、カーテンを開ける。
外は明るく、良い日差しが入ってきたので備え付けの椅子に座った。
そして、そのまま待っていると、風呂の扉が開く。
「あ、ユウ君も起きたんだ」
少し髪の濡れたアヤカが出てきた。
「さっきな。かなり寝たわ」
「そうよねー。私もぐっすりだった。今夜、眠れるかが心配。あ、ユウ君もお風呂に入ったら?」
「そうする」
アヤカと入れ替わるように風呂に入ると、服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
温かいお湯が気持ち良かったし、汗や汚れと共に昨日からの疲れが流れていく感覚がした。
身体を洗い、十分に温まると、シャワーを止め、タオルで身体を拭く。
そして、服を着ると、風呂から出て、アヤカがいる窓際のテーブルに向かった。
「ようやく一息付けたわねー」
「そうだなー」
アヤカの隣に座り、外を見る。
正面のビルしか見えないので眺めはそこまでだが、下の道では多くの悪魔が歩いていた。
「無事に岡山に来られて良かったわ。今回もピンチがあったけど」
吉井な。
「以前の熊本と違ったのは仲間が増えたことだな。俺とアヤカ、それにエルヴィスだけだったら厳しかったかもしれない」
特にリンダ姉さんね。
「やっぱり仲間がいることが一番よ。吉井君はそう思っていなかったみたいだけど」
足手まといって言ってたからな。
それで俺達の仲間のサキュバスにやられたんだからちょっと笑える。
「また来ると思うか?」
「どうかな……こっちの方が人数が多いのはわかったでしょうし、リンダさんがいるから別のところに行ったって思いたいわね」
そうだな。
一方で恥をかかされたから復讐に来るということもあり得る。
なんか性癖を暴露されてたし。
「その辺も皆で話し合うか。17時だったよな?」
「ええ。それまでどうする?」
やることないな。
「ちょっと休もう」
「そうしよっか」
俺達はお菓子を取り出し、摘まみながらぼんやりと過ごしていく。
「岡山に来たってことは次はいよいよ四国だな」
「ええ。なんというか、遠回りしたって感じがする。最初は見える位置にいたのに」
別府から四国が見えていたからな。
それなのに本州に渡り、日本海側をぐるっと回って、ようやくここまで来た。
時間的にはそこまで経っていないが、随分と長かった気がする。
「大丈夫だよ」
「うん」
四国にはアヤカの祖父母がいる。
心配だろう。
アヤカの手を握り、そばにいる。
そうこうしていると、時刻は16時を回り、ピンコーンとスマホの通知音が鳴った。
「んー……リクだ。ちょっと早いけど、こっちに来てもいいかだってさ」
「良いでしょ。ちょっとマユミとヒナにも連絡を……ん?」
スマホを取り出したアヤカが首を傾げた。
「どうした?」
「DMが来てる。あ、ゾンビちゃんだ」
兵庫のインフルエンサーゾンビか。
「何て?」
「えーっと、高高同盟さんって高梨アヤカさんなんですよね? 旧姓は宮前ですか……え?」
宮前は確かにアヤカの苗字だ。
何故、それをゾンビちゃんが?
「高梨アヤカはつぶやきでわかる。なんで宮前って言ってるんだ?」
「…………大村ミナトさんという方に連絡を取ってほしいって頼まれたって書いてある」
大村ミナト……ミナトだ!
「マジか!?」
「ええ。そう書いてある」
アヤカがスマホを見せてくれる。
絵文字がいっぱいで見にくいが、確かにそう書いてあった。
「アヤカ、高宮さんと北浦さんを呼んでくれ。俺もリクとエルヴィス、それにリンダ姉さんを呼ぶ」
「わかったわ」
俺達はそれぞれスマホを操作し、各部屋にいる仲間に連絡した。
ここまでが第2章となります。
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