第070話 ??のおおかみ「流れ星じゃないんだから……」
話をしていると、道路上にでっかい鳥居が見えてきた。
「ここかー」
鳥居をくぐると、一気に雰囲気が変わり、昔の建物っぽいのが並んでいるし、土産物屋が多い。
「すみません。その辺に止めます……」
リンダ姉さんがそう言って、近くにあった駐車場に入り、車を止めた。
「どうしたの?」
助手席のアヤカが心配そうにリンダ姉さんの顔を覗く。
「変な気分です。気持ち悪い……」
「俺っちもだな……何だ、これ?」
エルヴィスも?
「あなた方は平気ですか?」
平気も何も……
「いつも通りだけど……」
「ええ。普通」
「うん。何もない」
「むしろ元気なくらい」
「だよね」
リンダ姉さんとエルヴィス以外は問題ないようだ。
「この町で争いが起きていない理由かもしれませんね。あの鳥居をくぐってからちょっと気分が優れません」
「神社だっけ? 悪魔はNGなのかもな」
そういうのがあるの?
「わからないけど、やっぱりやめておきましょう」
「いえ、あなた方だけで行ってください。私達はこの辺で待機してます」
「そう?」
「ええ。せっかくですから。私達は鳥居の外で待ってますので」
「そう? じゃあ、すぐに戻るから」
俺達は急いで車を降りた。
すると、車が動き出し、来た道を引き返していった。
「大丈夫かね?」
「鳥居から出れば大丈夫だと思うけど……」
「実際に神様っていたし、何かそういう力があるんじゃね?」
「ぱぱっとお参りして、戻ろうよ」
そうするか。
俺達は駐車場から出ると、歩いていく。
「結構、人がいるね」
リクが言うように参拝客が多い。
「観光客は来られないだろうし、地元の人か」
「そうじゃないかな?」
歩いていくと、正面にまたもや鳥居が見えてきた。
「あそこね。かなり広そう」
「見て回ると時間がかかりそうだな。まっすぐ行くか」
「そうね。2人が心配だわ」
俺達は敷地に入ると、まっすぐ進んでいく。
すると、拝殿にやってきた。
「お参りの方法って知ってるか?」
「知らないわね……」
アヤカでも知らないか。
「調べるか」
「ウチらに聞いてこない高宮君だよ」
「ま、実際、知らないしね」
「何回か礼をするのは知ってるけど、覚えてないよ」
俺とアヤカはスマホを見て、お参りの方法を調べる。
「二礼二拍手一礼だってさ」
「え? 二礼四拍手一礼って書いてるけど?」
え? そうなの?
「んー……アヤカが正しいと思う」
「そんな気がする」
「ユウ、ごめん」
まあ、俺かアヤカだったらアヤカだろうな。
「じゃあ、二礼四拍手一礼で。金は……さすがに自分の財布から出すか」
「そうね。拾ったお金は良くないわ」
俺達は前に進むと、なけなしのお金を投げ、二礼すると、四拍手する。
アヤカと結婚できますように!
アヤカと結婚できますように!
アヤカと結婚できますように!
念を込めると、一礼した。
「アヤカ、何願ったー?」
高宮さんがアヤカに聞く。
「大村君と合流できますようにってことと健康かな?」
「ま、そうだよねー。ヒナは?」
「同じく」
北浦さんが頷いた。
「松永っちは?」
「同じだね。あとは平穏」
「へー……皆、同じかー……高梨君も叶うと良いね」
高宮さんが俺だけ聞かずに来た道を引き返していくと、皆も続いた。
俺は財布から貴重な100円を取り出して投げると、皆の後を追う。
そして、境内を出て、先にある鳥居を抜けた。
「えーっと……」
「あそこね」
アヤカが指差した先にはリンダ姉さんの車があったのでそちらに向かい、乗り込んだ。
「エルヴィス、リンダ姉さん、大丈夫か?」
2人に聞く。
「大丈夫だ。鳥居を抜けたら元に戻った」
「ええ。ただ、ちょっと居心地が悪い感じがしますね」
やっぱり神様がおられるところだから悪魔はNGなのかも。
そうなると、伊勢とかも同じかな?
「これからどうする? 2人が良くない感じだし、出雲から離れた方が良いと思うけど」
「そうだな……次は岡山か」
俺達はスマホを取り出し、地図アプリを確認する。
「ここから岡山だったら鳥取県まで行って、南下じゃない? いや、高速道路で悪魔の町まで行けるのかな?」
リクが聞いてくる。
「いや、高速は危ないらしい。地雷があるかもしれない」
「地雷……道路に? まあ、危ないのはそうか。じゃあ、下道だね。4時間だって」
そうなってるな。
「今日中に行けないこともないか」
今は12時前。
昼食を食べても夕方までには着く。
「せっかくですし、温泉に行きませんか? 隣の松江には温泉街があるみたいですし、今日はせっかく合流できたのでゆっくりしても良いと思いますよ? それに岡山は悪魔の町です。人間の町から悪魔の町ですから情報を集めながら慎重に行きたいです」
それもそうだな。
「それでいいか?」
皆に聞く。
「良いと思うわ」
「私もー」
「うん。せっかく合流したしね。リクも休んだ方がいいでしょ」
「あー、布団で寝たいかも。昨日は空き家のフローリングで寝たし」
反対はないようだ。
「では、行きますね。昼食は途中でコンビニに寄ります」
蕎麦を食べたいなと思ったが、エルヴィスが入れないし、仕方がないか。
「頼む」
頷くと、リンダ姉さんが車を発進させる。
そして、途中でコンビニに寄り、それぞれ弁当なんかを買うと、車内で食べながら松江に向かった。




