第069話 そもそも26歳だよ?
出雲の市街地にやってくると、そこまで人は多くないが、歩いている人間を見かける。
「初めて人間の町に来たけど、以前とそんなに変わらないね」
「ホントだよねー」
「普通だ」
3人が外を眺めながら言葉を漏らす。
「熊本もこんな感じだったぞ。意外と普通だった。武器を持った若者もいたけど」
「ここはそんなことないんじゃない? 争いがないところみたいだし」
平和な感じはするな。
「ドラッグストアがありましたので入りますね」
リンダ姉さんが正面にあるドラッグストアに入り、駐車場に車を止めた。
「エルヴィスはどうする?」
「俺っちはさすがにやめとく。あ、タバコを買ってきてくれ」
まだやめる気はなしっと。
「わかった。リンダ姉さんは?」
「私は行きます。何が売っているのかが気になりますので」
うーん……まあ、見た目はエロいお姉さんだから大丈夫か。
「わかった」
俺達は車から降りると、ドラッグストアに入った。
そして、なんとなく、男女で別れ、商品を見ていく。
「リク、人間の町と悪魔の町では売っているものが違うから買えるものは買った方が良いぞ。人間の町の方が豊富なんだ」
「あー……確かに萩も浜田もそんなに売ってなかったね。でも、お金は?」
「それはエルヴィスからもらっているから大丈夫だ。別府の町にいっぱい落ちているんだと」
あんまりよろしくはないが。
「そういうことね……あのさ、エルヴィスとリンダさんは信用できる?」
リクは気になるか。
「できる。エルヴィスはぶっきらぼうだし、リンダ姉さんは下ネタを連発してくるが、背中を預けるに値する」
「そう……ユウがそう言うならそうなんだろうね。じゃあ、僕も信じることにするよ。それで宮前さんとは?」
アヤカ……
「変わってない」
「そう? まあいいけどさ。ところで、何を買うの?」
「基本的には悪魔の町に売ってないものだ。小麦関係、お菓子、カップ麺」
「あー……食べたいかも。焼きそばが良い」
確かに焼きそばも食べたいな。
「金もあるし、空間魔法もある。欲しいものは買っていこう」
「わかった」
俺達はカップ麺や飲み物を籠に入れていく。
「高いね。以前の倍以上は軽くしてる気がする」
確かに高い。
カップ麺が300円を超えている。
「こんな世界だしな。それに物価高とかもあるんじゃないか? 俺達は浦島太郎状態だし」
「10年だもんね。まさか帰ってくるとは思わなかったよ」
ホントにな。
「なあ、さっきのことだけど、家族に会いたいとは思わないのか?」
「思ってるよ。当然でしょ。ただ、この10年で大事なものが変わったんだよ。それと今さらどういう風に顔を合わせればいいかわからない」
それはちょっとあるな。
「まあな……」
「あの町はさ、良いところだったよ。そして何よりも良い仲間がいた」
「そうだな」
「さっさと告白しなよ」
うっせ。
俺達はカップ麺を選び終えると、お菓子のコーナーに行く。
すると、チョコ菓子を籠に入れている女性陣がいた。
「大人買いだな」
「当然でしょ」
まあな。
「おー……懐かしい。子供の頃に好きだったやつだ」
リクがコアラのチョコを手に取る。
「お菓子を食べるとマジで泣きたくなるよ?」
「ヤバいよ?」
高宮さんと北浦さんがそう言いながらコアラのチョコを籠に入れた。
「そんな気がする。お菓子パーティーしようよ」
「それだ」
「リク、天才」
その後、ジュースやお酒なんかも籠に入れていくと、レジに行き、大量の物資を購入する。
若干、レジのおばちゃんが引きつっていたが、タバコも買って店を出ると、車に戻った。
「お前ら、めちゃくちゃ買ったな……」
小っちゃいエルヴィスが呆れる。
「買える時に買わないとね」
「ほら、タバコだぞ」
「おっ、カートンで買ったか。気が利くな」
エルヴィスにタバコを渡すと、それぞれが買ったものを空間魔法に収納した。
「さて、11時ですか……では、でっかい神社に行きますね」
リンダ姉さんが車を発進させる。
「そうだ。リク、これをやる」
北浦さんの肩に乗っている小っちゃいエルヴィスがスマホを取り出すと、北浦さんがそれを受け取り、リクに渡した。
「スマホ……いいの?」
「いっぱい持ってるからな。別に構いやしねーよ。お前らは契約が難しいし、持っとけ」
エルヴィス、何個持ってるんだろう?
「ありがとう」
俺達は早速、リクと連絡先を交換する。
「スマホがあると安心感が違うだろ」
「そうだね。異世界では何度もスマホが欲しいって思ったけど、こっちに戻ってきてからはその比じゃなかったね」
俺はアヤカが使えたのが大きかったが、リクはそうだろうな。
そして、ミナトもそうだろう。
「あ、そうそう。松永っち、学生証を持ってない?」
高宮さんが聞く。
「学生証? えーっと、これかな?」
リクが学生証を取り出した。
「見せて、見せて」
「昔の写真を見たい」
「いいけど、面白くないよ?」
リクが2人に学生証を渡す。
俺も身を乗り出し、2人と一緒に見てみた。
「おー、変わってないと思ったけど、子供だな」
「松永っちも大人になってるねー」
「中学生みたい」
今でも童顔だけど、前はもっとだ。
「私も見せてよ」
アヤカがそう言うので学生証を渡した。
「へー……やっぱり10年で変わるのね」
「そんなに変わってるかな? 皆のも見せてよ」
リクがそう言うので皆が学生証をリクに渡す。
「一番変わってるのは北浦さんだな」
絶対にそう。
「ホントだ……というか、女子は変わったね。大人っぽいと思っていた高宮さんですら子供に見える。そういえば、もう学生服は着られなくなったなー……」
そんなのもあったな。
「俺もここ数年はしまいっぱなしだけど、着られないだろうな」
「私はいける」
「私も」
「当然ね」
いやー……言わないけど、無理では?
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