第065話 とあるワードも覚えているアヤカさん
朝、目覚めると、アヤカと目が合った。
「んー……?」
「あれ? ユウ君、なんで私のベッドにいるの?」
えーっと?
「いや、こっちが俺のベッド……」
「んー? あれ? 昨日……記憶がない?」
昨日、寝ようと思ったけど、寝られずにアヤカと酒を飲んで……あれ? 確かのそこからの記憶がない。
「えーっと……」
起き上がると、丸テーブルを見る。
そこには空のグラスと瓶があった。
「あー、お酒か……え? 私達、あれを全部飲んだの?」
アヤカも起き上がり、空の瓶を見て、ちょっとびっくりする。
「っぽいな。美味かったのは覚えている」
「そうよね……あ、そのまま寝落ちしちゃったのか」
記憶はないが、服は普通に着ているし、そういうことがあった形跡もない。
本当に寝落ちしたんだろうな。
「悪い。酒に付き合わせてしまった」
「いいわよ。でも、あれだけ飲んだのになんか頭がすっきりしてるわね。以前はちょっと頭が鈍かったんだけど」
確かに異世界で飲んだ時の翌日はちょっと頭が痛かった。
「こっちの酒は良いやつなのか……まあ、一応、ポーションは飲んでおこう」
そう言って、アヤカにポーションを渡した。
「そうね。ありがと」
俺達はポーションを飲むと、ベッドから降り、カーテンを開ける。
時刻は5時過ぎであり、まだちょっと暗いが、それでも十分に明るかった。
「こんなに飲んだのか……」
空の瓶を取る。
「美味しかったしね。うーん……高梨……高梨……高梨アヤカ? 何だっけ、これ?」
俺の名字でアヤカの名前だな。
「例のSNSのつぶやきだろ」
「あー……んー? そうだっけ? なんか東京がどうちゃらこうちゃら……いや、いいか。とりあえず、準備をしましょう。何食べる?」
アヤカがカップ麺を取り出す。
「うどんかなー?」
「私もユウ君と一緒にするー……ん? なんか変ね」
アヤカが急に甘い声を出し、首を傾げた。
可愛い。
「どうした?」
「なんでもない。食べましょう」
俺達はカップうどんに湯を入れ、食べていく。
「今日、出雲に入るだろうし、またカップ麺やお菓子を仕入れるか」
「良いわね。その後は岡山だし、仕入れておきましょう」
アヤカがいつものクール可愛いモードに戻ったのでうどんを食べ、準備をする。
そして、部屋を出て、隣の部屋の扉をノックした。
「高宮さーん、靴下とヘアピンはー?」
『あるってばー。私をドジっ子キャラにしないでー』
高宮さんがドジっ子キャラはないな。
ちょっと待っていると、扉が開き、高宮さんと北浦さんが出てきた。
「おまたー」
「おはー。昨日、遅くまで起きてた?」
北浦さんが聞いてくる。
「寝られなかったからちょっと飲んだんだよ」
「へー……アヤカの笑い声が聞こえてたよ」
アヤカの?
「私? うーん、記憶が微妙なのよね……」
俺は一切ない。
「2人はそんなに強くないんだからほどほどにね」
「そうだよ。じゃあ、下りよっか」
俺達はエレベーターに行き、1階に下りる。
すると、すでにエルヴィスとリンダ姉さんがおり、俺達を待っていた。
「来ましたね。それでは早速、参りましょうか」
俺達はホテルを出ると、表に止めてある車に乗り込む。
そして、どちらからともなく手を握った。
「「ん?」」
アヤカと共に手を見て、顔を見合わせる。
「ユウさーん、アヤカさーん、あなた達からお酒の匂いがしますが、それは悪魔が作っているお酒ですねー。今度からは飲みたい時は私かエルヴィスさんに言ってください。あなた方が飲んでいいお酒を持ってきますので」
え?
「飲んだらマズかったのか?」
普通の酒かと思ってたが……
「身体に害はなさそうですが……まあ、避けた方が良いんじゃないですか? お酒だけにね」
リンダ姉さんは自分のしょうもないダジャレにけらけらと笑い、発進させた。
「ユウ、アヤカ、体調は?」
北浦さんが身を乗り出して聞いてくる。
「いや、普通だ」
「うん。むしろ、頭がクリアになっている感じ」
すっきりしてるな。
「ふーん……ちょっとお酒は気を付けた方が良いかも」
「そうかもしれん。俺達、そんなに飲まないはずなのに起きたら瓶が空だった。全然、記憶がない」
マジでない。
あれだけ寝られないって思ってたのに。
酒って怖いな。
「なんか断片的なワードは出てくるんだけどね。どぎまぎ? どぎまぎ……」
「そりゃ高梨君だね」
「うん、ユウだ」
多分、俺だな。
いや、俺以外にいない。
「お前らにも飲みたい時ってあるだろうし、出雲に着いたらその辺も買っておいたらどうだ? ユウなら冷やしたまま保存できるだろ」
エルヴィスが笑いながら振り向いた。
「そうするかなー?」
「ミナトも合流したら3対3の合コンでもする?」
「それ、合コンって言うのかしら?」
「ただのお疲れ様会じゃん」
俺はトイレで相談するまでもなく、アヤカ狙いだな。
ずっとそうだけど。
話をしていると、浜田の町中を抜け、またもや海沿いの町を進んでいく。
「リンダ姉さん、出雲の手前まで来たらどうするんだ?」
「このルートのまま出雲には入れません。ですので、途中で山道に入ります」
「リクもその辺を把握していたようでヒッチハイクのゴブリンにそのルートを頼んだらしいんだ。だからまずはリクが降りた場所まで行く」
なるほど。
いかにも慎重派のリクっぽいな。
「わかった。ルートは任せる」
今日中に会えると良いなと思いながら待つことにした。
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