第050話 情報整理
フグ刺し、唐揚げ、毒物を食べると、鍋が来たので皆でつつく。
もちろん、これは毒なし。
「それでリンダ姉さん、情報収集の方は?」
本題に入る。
「それですね……そちらはどうでした?」
「俺達は言われた通り、土産物屋と市場でサハギンから話を聞いてきた。広島はやっぱり危ないから避けろってさ。あとは四国のことだけど、人間側が徳島を取り戻したらしい。それと大阪では悪魔相手に人間が商売してるんだってさ。詳しくはわからないが……」
この程度だ。
「ふむふむ。徳島が気になりますね。アヤカさんの祖父母の確認で四国に行くわけですし、今後もSNSで注視する必要があるでしょう」
そうなるな。
「ああ。残りは香川で悪魔側が岡山に撤退もあるんじゃないかって言ってた。もし、そうなったら四国は人間が完全に取り戻すことになる。人間と悪魔の争いに加わる気もないし、関係ないが、そうなると、四国に行くルートが厳しくなるんじゃないかって思う」
俺達は岡山から橋を渡り、香川に行く予定だ。
「厳しくなるでしょうね。実際、広島と愛媛のルートはまず無理です。ただ、そう簡単に撤退はしないでしょうし、大丈夫だと思います。少なくとも、山陰方面に回ってから岡山に行っても十分に間に合います」
「悪魔も好戦的な奴が多いしな。数ヶ月で撤退ってことはないだろ」
だといいが……
「ユウ君、大丈夫だから。今は松永君の方よ」
アヤカがそう言って頷く。
「わかった。俺達の情報収集はそんなもんだな。店員のサハギンがメインだから瀬戸内海の情報ばかりだった」
「十分ですよ。エルヴィスさん、あなたは?」
リンダ姉さんがエルヴィスを見る。
「俺っちは仲間のゴブリンに聞いた。例のリクの写真を見せたりしたが、特に新規の情報はない。ただ、広島から引っ越してきた奴に例の切り裂きジャックのことを聞けたぞ」
逃げてきたのかな?
「何です?」
「どうやら広島は大混乱らしいぞ。SNSで上がっているのは一部の情報だけで実際はもっと多いってよ。こえーのが通り魔事件だけじゃなく、家に侵入して殺している事件がかなり多いことだ。しかも、被害者の中には実力派の上位悪魔もいるらしい。想定の被害人数は300をゆうに超えているってよ」
もう殺人鬼を通り越してるな。
「とんでもないですね……」
「北浦さん、どう?」
俺達は北浦さんを見る。
「私ならできる。当然、私より上のローグ系ならもっと余裕。気配を消せるし、そういうのに特化してるから」
そうか……
「俺達のクラスメイトのローグ系のジョブをもらった奴だろうな」
「それ以外にいないわよ。やっぱり広島は近づいたらダメ」
そう思う。
「まだ情報はあってな。山口ではその影響もあり、広島方面の道を封鎖しているらしいぞ」
封鎖か。
こっちの悪魔もビビったんだろうな。
「じゃあ、どっちみち、広島には行けないわけか」
「まあ、それもな……前にも言ったし、お前達の方が詳しいだろうが、この国は道が多いんだよ。封鎖しても山道なんかを使えば行ける。ましてや、スマホがあればそれもわかるからな。そして、向こうもそれがわかっている」
どうとでもなるわけか。
「切り裂きジャックがいつまで広島にいるか……こっちに来る可能性も十分にあるな」
単純に考えれば4択だ。
北の島根か東の岡山、それに南の愛媛と西の山口。
「もし、その切り裂きジャックが熊本の槍男に情報を仕入れていたらこっち方面もありえるんじゃない? 私達がそうであったように槍で連想するかもしれない」
そうかも……
多分、300の悪魔より俺達の方が奪えるマナの量は多いし。
「リンダ姉さん、予定通り、明日には出発しよう」
「そうですね。それが良さそうです。では、最後に私が得た情報をお話しします。主にこれからのルートに関する件ですね。まず、高速は使えません」
地雷は嫌だから別にいいな。
「理由は?」
「悪魔側と人間側の争いでダメになっているみたいですね。あちこちの橋が落ちているらしいです。知らずに車を走らせたらダイブですね」
こえーよ。
「絶対に嫌だ」
「夢に出てきそう……」
「本当に勘弁」
「今後、高速はNGを出す」
うんうん。
「まあ、私も最初から高速は厳しいと思っていました。そういうわけで下道で萩に向かいます。ただ、それも先ほどのエルヴィスさんの話と被りますが、あちこちで封鎖されているので迂回することになります」
迂回ねー……
「どういうルートだ?」
エルヴィスがタブレットを取りだし、皆に見えるようにする。
「わかりやすく海沿いのルートですね。東に行かず、西に行ってから北上します。そのままぐるっと回って萩に行きます。ちょっと距離がありますが、車ですので誤差でしょう」
この海沿いの道か。
「あ、ホテルの受付吸血鬼が長門の温泉がおすすめって言ってた」
「言ってたわね」
北浦さんとアヤカが顔を見合わせる。
「良いと思います。少しずつ情報を集めながら行きましょう。特に島根方面は人間の町ですから注意が必要です」
そこなんだよな。
本当にリンダ姉さんは大丈夫だろうか?
「明日は何時出発だ?」
「んー……長門まではそこまで離れていませんし……9時くらいで良いんじゃないですかね? 今日はゆっくり休んでください」
「わかった」
俺達はその後も話をしながら鍋を食べていき、最後にデザートを食べると、会計をし、店を出た。
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