第049話 どくどく
俺達が町中を歩いていくと、5分くらいでとある和風な店の前にやってきた。
ぱっと見は高そうだ。
「ここ?」
「ええ。美味しいと評判です。入りましょう」
リンダ姉さんが中に入っていったので俺達も続く。
内装はやはり高級店って感じがし、木製の上品な雰囲気だった。
しかし、奥から店員がやってきたのだが、ちょっと下品だった。
というのも足も胸元も見えている服装であり、身体つきも豊満でエロい。
絶対にサキュバスだと思った。
「リンダちゃん、どもー」
「どもー。来ましたよ」
「ありがとー。お部屋を取ってるからこっちねー」
店員さんが歩いていったのでついていく。
後ろ姿もエロい。
「……ユウ、どう?」
北浦さんが小声で聞いてくる。
「……チャームをガンガンかけられている。バリアを張ってなかったらヤバい」
本当に息をするようにチャームをかけてきやがる。
「……我慢だよ」
「……わかってる」
奥にある部屋に入ると、テーブル席だったので席につく。
並びはアヤカ、俺、エルヴィスであり、対面に北浦さん、高宮さん、リンダ姉さんだ。
「今日はコースとなります。毒あり、毒なしはいかがしますか?」
すげー質問だ。
「私は耐性がありますので毒ありで」
「俺っちも」
リンダ姉さんとエルヴィスが手を上げる。
「ゴブリンですよね? 大丈夫ですか? 死ぬなら店の外で死んでくださいね」
これまたすげー言葉。
人間の町では絶対に聞けないだろう。
「大丈夫だ」
「そうですか。それではお持ちします。飲み物はどうされますか?」
そう聞かれたのでメニューを見る。
「あの……毒酒って何ですか?」
一番上にとんでもないものがある。
「フグ酒ですね。ピリピリして大人気のお酒となります。あ、耐性がなかったら死にます。この前もオークのお客さんが自分は身体がデカいから大丈夫とか言って10杯も飲んでしまい、お亡くなりになりました」
悪魔ってバカなのかな?
「あ、俺はアルコールがダメなんでコーラで」
「私はウーロン茶」
「オレンジジュース」
「リンゴジュース」
心が高校生の俺達はソフトドリンクだ。
もちろん、毒なし。
「じゃあ、私はフグ酒で」
「俺っちも」
さっきの話を聞いても頼むか。
まあ、サキュバスは耐性があるし、ポーションがある。
「では、お持ちしますね。ごゆっくりー」
サキュバス店員は一礼し、わざわざ谷間を見せてから部屋を出ていった。
「一応、聞くけど、エルヴィスは大丈夫か?」
「チャームか? 何もないな」
「俺だけか……」
すげーチャームをかけてくるし……
「大変ねー……」
アヤカが笑う。
軽蔑されないで良かったと思おう。
「ユウさんはチャームをかけたくなる系男子なんですよねー」
俺、そんな感じなのかな……
そのまま待っていると、店員さんが飲み物を持ってきてくれた。
俺達はガラスのコップに入った氷入りのソフトドリンクだが、エルヴィスとリンダ姉さんは湯呑だ。
「白いな」
エルヴィスの酒を見る。
「白子酒だな」
「へー……飲むのか? 解析の結果、俺達人間では致死量の毒が入ってるぞ」
「ゴブリンもだよ。上手い具合に介抱してくれ」
マジか……
「じゃあ、乾杯」
「「「かんぱーい」」」
俺達は乾杯をすると、ソフトドリンクを飲む。
エルヴィスもリンダ姉さんも毒酒をあおった。
「あー、良いですね。ドロドロした白い液体が舌にピリッときます。濃いですねー。良いですねー」
絶対にわざと言ってる。
無視、無視。
「エルヴィス、大丈夫か? 死ぬぞー」
「ピリピリした感じがすげーよ。美味いぞ。飲むか?」
いらない。
「とりあえず、毒は消したからな」
「サンキュー。いやー、美味い、美味い」
悪魔ってマジで変だ。
ちょっと呆れながらソフトドリンクを飲んでいると、料理がやってきたので食べていく。
フグ刺し、唐揚げなどのフグ尽くしだ。
「美味いな」
「うん。美味しい。ねぎを巻くともっと美味しいわよ」
「ほうほう」
俺達はフグを堪能していく。
「ピリッときますねー」
「肝が美味いな」
悪魔2人は別の料理を食べていた。
「エルヴィス、それ、ヤバい量だぞ」
絶対に死ぬやつ。
「ああ。頼む……なんか苦しく……」
バカだ。
絶対にバカだ。
ヤニゴブリンから毒ゴブリンに進化してんじゃねーよ。
エルヴィスの体内にある毒を分解しながらも俺達はちゃんとした可食部を食べていった。
「唐揚げが美味いな」
「そうね。唐揚げも異世界では食べられなかったし、それがフグなんだもん。すごい贅沢。一応の確認だけど、私達の分は大丈夫よね?」
アヤカの箸が止まった。
「大丈夫。ちゃんと調理されている。向こうはひどいけど……」
食べ物も飲み物も毒しかない。
「美味しいですよ? せっかく解毒できる人がいるんですから食べればいいのに。もう二度と食べられないかもしれませんよ?」
それはそうなんだが……
「姉さん、ちょっとちょうだい」
「じゃあ、私も」
えー……
「どうぞー」
リンダ姉さんが高宮さんと北浦さんに分ける。
「ちなみに、それも致死量だぞ」
マジで死ぬ。
「せっかくだからこれだけ」
「ユウ、お願いね」
2人は毒のある部分を食べる。
「ほう……ほう……確かにピリッとくる」
「独特な味だね」
本当に食べちゃった……
「アヤカも食べるか?」
「私はいい。刺身と唐揚げで十分に美味しいし」
「だよな……」
すげー美味いもん。
「冒険しない2人だねー」
「無難な2人だもん……ユウ、なんか痺れてきたような気がする」
「あ、私も……ダイナミック自殺になっちゃう……」
多分、気のせいだと思う。
さすがに早い。
「はいはい……分解するぞ」
2人の体内にある毒を消した。
「リンダさんは大丈夫なの?」
アヤカが美味しそうに食べているリンダ姉さんを見る。
「サキュバスは毒系に強いんですよ。種族ごとにそういった特徴があるんです」
「へー……」
関係ないけど、毒婦って言葉が浮かんだ。
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。
よろしくお願いします!




