第048話 悪魔って変わってるな……
その後も日本の法律なんかを調べていくと、18時を回り、外の海が夕日に染まって良い感じになる。
「綺麗ねー」
「そうだなー」
俺とアヤカは並んで外を見る。
「向こうに見えるのが門司港って言って、観光名所なんだって」
「へー……行けば良かったかな?」
「さすがにねー……」
まあ、当たり前だけど、リクが優先か。
俺とアヤカが良い雰囲気で外を眺めていると、ノックの音が聞こえ、北浦さんが扉の方に行く。
すると、エルヴィスとリンダ姉さんと共に戻ってきた。
「待たせたな」
「ただいま戻りました……おや? あの2人はお楽しみですか?」
リンダ姉さんがこっちを見てくる。
「そうだね。まあ、夕日が綺麗だよ」
「そうですか。さて、話をしたいですが、ちょっと遅れたので夕食を食べながらにしましょう。18時半に予約をしているんです」
「そういや、姉さん、どこに行くの?」
「ウチら、心は高校生だからエッチな店はNGだよー」
君ら、女子だから高校生じゃなくてもNGだよ。
「ちゃんとした店です。せっかく下関にいるんですからフグ料理屋ですね」
フグか。
「ユウ、よろしく」
「高梨君、よろ」
「ユウ君、お願いね」
任せたまえー。
「何がですか?」
リンダ姉さんが可愛らしく、きょとんと首を傾げた。
「毒。フグは毒魚だからな」
「あー、はいはい。大丈夫ですよ。頼めば出てきますけど、ちゃんと毒抜きもあります」
わさびじゃないんだから……
「ユウ、毒をどうにかできるのか?」
エルヴィスが聞いてくる。
「俺は錬金術師だから毒を解析して、分解することができるんだ。ほら、山根の時にアヤカの痺れを治しただろ」
「あー、はいはい。そういうことができるんだな。じゃあ、頼むわ。俺は毒ありを頼むから」
えー……
「マジ?」
「いや、めっちゃ美味いらしいんだぞ。ただゴブリンは毒の耐性がない」
ないだろうな。
「じゃあ、やめろよ」
「死ぬ前に食っておきたい」
大丈夫か?
「あー、そうだ。エルヴィスとリンダ姉さんにもポーションを渡しておく」
そう言って、テーブルに2人分のポーションセットを置いていく。
「なんかそういうワードを聞いていますけど、結局、ポーションって何ですか?」
リンダ姉さんが聞いてくる。
「俺のスキルで作れる回復薬だ。傷が治るやつ、体力が回復するやつ、毒を治すやつ、魔力を回復するやつ、魔力の流れを良くし、強化魔法の効果を上げるやつだな。欲しかったら痛み止めとかもあるんだぞ。色んなポーションを作れる」
すごいだろ。
「ほー……なるほど。あなたがリーダーなのも頷けますね。異世界に行っていたらしいですけど、必須じゃないですか」
まあ、最初から使えたわけじゃないけどな。
最初は魔法使いだったし。
「そうそう。ユウ君のおかげでかなり生活が楽になったわね」
「大変だったもんねー」
「ホント、ホント」
アヤカ達は特に喜んでくれた。
この3人、回復手段が高宮さんのあまりレベルの高くない回復魔法だけだし。
まあ、そういう役割だったのが死んでしまった三上さんだったらしい。
「ユウ、魔力を回復するポーションなんてあるんだな」
エルヴィスがポーションを見ながら聞いてくる。
「それでマナが増えるかは知らんぞ。俺達は魔法を使うと、魔力が減る。時間の経過で戻るものだが」
「いや、それは悪魔も一緒だ。しかし、お前ならマナを増やすポーションを作れそうだ」
どうだろ?
さすがに経験値ポーションは作れないと思う。
「なあ、このポーションを作れる技術は言わない方が良いよな?」
「当然だ。絶対に言うな」
「悪魔にも、人間にもですね。いや、この状況なら人間の方が怖いかもしれませんよ?」
そうかも……
「飲む時があっても隠れて飲んでくれ」
「そうさせてもらう」
「正直に言えば、私達に言うのも、渡すのもどうかと思いますけどね」
2人はポーションを取り、空間魔法にしまっていく。
「仲間だろ」
俺、かっこよくない?
「そうだよー」
「姉さーん」
高宮さんと北浦さんがリンダ姉さんに抱き着く。
「はいはい」
リンダ姉さんがやれやれ顔で2人の頭を撫でた。
「……エルヴィス、俺、かっこよくなかった?」
「……そうだな。でも、確認はしない方が良いぜ?」
それもそうか。
「さて、では、参りましょうか。そこまで遠くないので歩いていきます」
リンダ姉さんがそう言うと、抱き着いている2人と共に出ていき、エルヴィスも出る。
そして、俺とアヤカも部屋を出ようとしたのだが、アヤカが扉の前で振り向いた。
「私もかっこいいと思ったわよ」
「そう?」
「ええ」
アヤカは頷き、部屋から出ていった。
「うーん……うん……」
色々と思うところがあったが、今さらかと思い、俺も部屋を出て、皆と合流した。
そして、エレベーターで1階に下り、ホテルを出ると、街中を歩いていく。
「エルヴィス、海辺に釣りをしているゴブリンを見たが、ああいう同じ種族と会ってきたのか?」
「そうだな。SNSで声をかけて、会ってきたんだ」
やっぱりSNSか。
エルヴィスは九州を出たことがないって話だったからそうだと思った。
「その同じ種族のSNSで東京とかの情報を得られないか?」
「それは無理だ。今回は会って話がしたいっていうことで話を通せた。しかし、遠すぎると、まず無理だな。理由は人間側の情報集めの可能性があるからだ。実際、別府でもSNSでかなり情報を集めていたようだぜ」
なるほど……
「リンダ姉さんも?」
「私達は特にですよ。人間側のストーカーが多いですからね。サキュバス教もありますが、サキュバスを捕まえる会っていうのもあるんですよ? 怖い、怖い」
それは怖いな……
でも、舌なめずりしてますけど……
大丈夫かな?
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