第046話 旅行?
市場を出た俺達は海を見ながら寿司とみそ汁を堪能する。
「美味っ」
「獲れたてらしいしね」
「みそ汁も出汁が利いてる」
「温かいね」
なんか日本一周旅行をしているみたいで楽しいな。
しかも、女子3人と。
俺も出世したもんだな。
でも、ミナトとリクがいてほしい……
「さっきの広島の話だけどさー、ウチらのクラスメイトと考えた場合、どんなスキルだと思う? 少なくとも、私には無理だよ」
高宮さんが聞いてくる。
「私も無理ね」
高宮さんもだけど、アヤカもベースが剣士だからな。
「私はできる。というか、専門家のような気がする」
北浦さんは暗殺者。
まさしくだ。
「俺もできる。ただ、方法が魔法だから切り裂きジャックとはちょっと違うんじゃないかなって思う」
切り裂きジャックって言われるくらいなら得物は刃物っぽいし。
「ヒナ辺りか……一応の確認だけど、大村っちと松永っちは?」
うーん……
「リクは無理。でも、ミナトはできるかも……でも、あいつ、武器が槍なんだよな」
「そう考えると、ある程度は絞れそうよねー。得物は剣系でローグ寄り」
「苦手な相手ね」
「魔法使いもだな」
どうしてもそうなっちゃう。
「いや、得意なタイプっているかな? 私らローグ系はアヤカやマユミ、それにミナトみたいなアタッカーと比べると、火力は低いけど、対人間では強いよ」
「そんなイメージよね。実際、山根君相手に苦戦したし」
確かにな。
「先行組のグループでローグ系って誰がいるっけ?」
高宮さんが聞いてくる。
「確か、飯塚と吉井がそうだったと思う」
男子ね。
「杉崎さんもじゃなかったかしら?」
女子ね。
「あー、だったかな。しかし、久しぶりに聞く名前だねー」
俺も久しぶりに言った。
「3人共、まったく会ってないしね。先行組だし、強いんでしょうけど、どんな感じなのかさっぱりわからない」
もしかしたらその3人の内の誰かが魔王を倒しているかもしれない。
「とりあえず、その3人には気を付けよう。あんま覚えてないけど」
「10年経ってるしね……ユウ君の学生証を見せてもらったけど、すんごい若い」
「アヤカもな」
可愛かった。
今でも可愛い系なんだけど、垢抜けたというか、女子から女性になった感じがする。
「見せてみー?」
「気になる」
高宮さんと北浦さんが食い付いたのでアヤカと共に学生証を取り出し、2人に見せる。
「あはっ! 可愛い! 坊やだ、坊や」
「アヤカ、ガキじゃん」
高校2年生ですから。
いや、よく考えたら学生証の写真は1年生だ。
「あなた達もでしょ。見せて」
「私は大人だった」
高宮さんが学生証を出したのでアヤカと共に見る。
「……誰?」
面影はあるんだけど……
「そっか。マユミ、ショートだったもんね」
今はロングだし、髪型がまったく違う。
あと、学生証の写真だから仕方がないけど、いつも笑顔の高宮さんではなく、仏頂面だ。
「髪型はともかく、そんなに変わってるかな? ヒナは変わってなくね?」
「失礼な。見るといい」
最後に北浦さんが学生証を取り出した。
しかし、自分で見て、首を傾げた。
「どうしたん?」
「誰かな?」
北浦さんが首を傾げながら学生証を見せてくる。
「北浦さん……かな?」
「うん。ヒナなのはわかる」
「あんた、ちょっと丸いじゃん」
写真に写っているのは丸顔の子なのだ。
「いつの間に痩せた? んー……わからない」
「私達はずっと一緒にいるからわからないわね」
「実際、10年前の写真を見てもこんなんだったっけって思ってる。記憶の中のヒナも今のヒナだし」
そんなものだろうな。
「ユウ、5年ぶりに会った私をどう思った?」
「え?」
覚えてない……
「おい」
と言われてもなー……
「アヤカは覚えてたし、高宮さんも席が後ろ前でたまに話してたから覚えてる。でも、北浦さんとは席も離れてたし、話したことないしな……」
わずかひと月のクラスメイトだったし、接点がない。
当然、仲良くなったのは5年前からなのだ。
「……ツッコんだ方が良いかな?」
「……ほっときな」
北浦さんと高宮さんが顔を見合わせ、小声で話す。
「ごめんって。でもさ、俺達ですらこれだから他の連中はわからなくないか? 山根は異世界でも会ったことがあるし、強烈に嫌な感じがするから覚えていたけど」
そうじゃなかったら微妙だったと思う。
「私もユウ君に言われなかったら山根君はわからなかったわね。女子でもわからないかも」
「女子の方がわからないんじゃね? 私もそうだけど、髪型も体型も変わりやすいじゃん」
そんなに変わってないアヤカでもさすがに学生時代とは違うからな。
ちょっと気持ち悪い言い方をすると、よくアヤカを見ていた俺にはわかるのだ。
「男子も筋肉質になるんじゃない? 動く仕事が多いし」
「そうかも……こりゃ難しいかもね。今の自分達もだけど、さすがに異世界の服はやめてるし」
俺とアヤカもだが、高宮さんも北浦さんもこっちの服装だ。
「逆に言えば、向こうもこっちがわからないでしょ。魔力を隠していれば大丈夫。山根君は変なスキルを持ってたけど」
持ってたな。
ストーカーみたいなスキル。
「山根にしろ、広島の切り裂きジャックにしろ、危ない奴は何かしらの行動を起こすからな。引き続き、SNSを注視しよう」
それである程度はわかるはずだ。
「そうね。それでこれからどうする?」
アヤカが聞いてくる。
「もうちょっと回って、ある程度の話を聞いたらホテルに行こう。あとはエルヴィスとリンダ姉さんに任せる。本命はあっちだし」
「じゃあ、そうしましょうか」
俺達は寿司とみそ汁を食べ終えると、さらに別の土産物屋なんかを回っていく。
そして、適当に回っていくと、昼になったので市場でもうちょっと寿司を食べ、ホテルに向かった。
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