第039話 4人の夜
焼きそばを食べた後、話をしながら少しゆっくりしていたが、20時くらいにはアパートを出て、近くにある高宮さんと北浦さんが泊まっているホテルに送ってもらう。
「それでは明日の8時に迎えにきます。ちゃんと寝坊しないようにしてくださいね」
車から降りると、リンダ姉さんが忠告してきた。
「姉さんもね」
「夜更かし厳禁」
「わかってますよ。それではおやすみなさい」
リンダ姉さんはそう言って、車を発進させ、家に帰っていった。
「ここか。ビジネスホテルだな」
俺達が熊本で泊まったホテルとそう変わらないように見える。
「ま、寝るだけだよ」
「店員にびっくりしないでね」
高宮さんと北浦さんがそう言って、ホテルに入っていったのでついていく。
すると、受付があったのだが、そこには大きな狼男がいた。
ウェアウルフだ。
「おっ、帰ったか。なんか増えてんな?」
ウェアウルフがフレンドリーな感じで2人に聞く。
「友達。別府から逃げてきたんだよ」
高宮さんが答えた。
「あー、別府な。あそこも結構な争いがあるし、昨晩、襲撃があったな」
「そうそう。それで避難してきたから合流。そういうわけで3人追加ね」
「シングルを3部屋で良いか?」
「あ、俺っちは喫煙な」
エルヴィスが大事なことを言う。
「はいはい。じゃあ、1人5000マナだ」
ウェアウルフがそう言って、手を差しだしてきたので順番に握っていき、マナを払う。
もっとも、やはり減ったのかどうかわからなかった。
「それでさー、明日から本州に行くことになった」
「本州ねー……じゃあ、今日までか」
「だね」
「わかった。ほら、鍵だ。ヤニゴブリンはこれな」
ウェアウルフがエルヴィスに鍵を渡し、その次に俺とアヤカにもくれた。
「どこ?」
アヤカが俺の鍵を覗いてくる。
「302」
「あ、隣ね」
アヤカの手元を見ると、303号室と書かれていた。
「ウチらは307だよ」
「ツインだね」
同じフロアか。
「エルヴィスは?」
「502。5階だな」
喫煙の部屋とはフロアが違うようだ。
「明日の8時にここでいいか?」
「ああ。朝飯のカップ麺をくれ」
「ラーメン?」
「ラーメン」
好きだなーと思いながらカップラーメンを渡すと、エレベーターに乗り込む。
そして、3階と5階のボタンを押すと、エレベーターが動き出し、すぐに3階に着いた。
「じゃあ、明日な」
「おやすみ。今日はベッドで寝てちょうだい」
「寝タバコはやめなよ、ヤニゴブリン」
「というか、やめたら?」
「うるせーよ。じゃあな」
エルヴィスが笑うと、扉が閉まった。
「えーっと、そこか」
部屋はどこかなと思ったらすぐ目の前にある部屋が302号室だった。
「私はその隣ね」
アヤカの部屋は左隣だ。
「じゃあ、明日の8時に下な。おやすみ」
「うん。おやすみ」
「姉さんに呼び出されても行くなよー」
「そして、呼ぶなよー」
うるせーよ。
「行かない」
きっぱりそう言って、部屋に入る。
部屋はちょっと大きめのベッドがあるものの、それとちょっとした作業スペースがあるくらいだった。
「こんなもんか」
ちょっと布団で寝ころび、スマホを見ていたが、すぐに風呂に入る。
風呂はユニットバスであり、かなり狭かったが、それでも気持ちの良いものだった。
風呂から上がると、ラフな部屋着に着替え、ベッドに腰かける。
「やることないな……」
暇だなと思い、スマホを取ると、アヤカからメッセージが届いていた。
何気に初めてアヤカからのメッセージだ。
ちょっとドキドキしながら開く。
アヤカ:私の部屋に来て……
へー……
梨くん:北浦さんじゃね?
アヤカ:違う。アヤカ
アヤカはアヤカって言わないだろ。
梨くん:いや、そういうイタズラはやめてね
アヤカ:むむむ。勘の鋭いリーダーだ。アヤカもいるからウチらの部屋に来て
やっぱり北浦さんだ。
あまりにもアヤカっぽくなかったからすぐにわかった。
まったくと思いながら立ち上がり、部屋を出ると、307号室まで行く。
そして、ノックすると、扉が開き、部屋着のアヤカが顔を出した。
「ごめんなさいね」
「いつものことだからいい」
中に入ると、それぞれのベッドに寝ころんでいる高宮さんと北浦さんがいた。
ちょっと広々としており、シングルの部屋よりもゆったりとしていた。
「ツインの方が良いな」
「ね? そっちにすれば良かったかも」
北浦さん、ニヤニヤするんじゃない。
「それでどうしたの? トランプでもする?」
女子部屋でトランプをするという経験したことのないイベントだ。
「そういう青春はまた今度ね。高梨君、ちょっとこれを見て」
高宮さんが身体を起こし、手招きしたのでベッドに行き、隣に腰かけた。
そして、持っているスマホを見る。
【陽が丘高校生徒一斉行方不明事件】
「これか……」
俺達が通っていた高校が陽が丘高校なのだ。
「確認はいるかなと思ってさ。10年も前だけど、高校の名前を検索に入れたら出てくる」
「わかってる。俺も今夜にでも調べようかと思っていた」
「皆で見ようよ。1人はちょっと……」
高宮さんがそう言うのでアヤカと北浦さんを見ると、2人も頷いた。
「わかった。ちょっと調べてみようか」
俺達はそれぞれのスマホで事件を調べることにした。
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