第037話 会議
「あなた方の目的は残り2人と合流し、東京のご家族のもとに向かう。これでよろしいですね?」
リンダ姉さんが聞いてくる。
「ああ。そうなる。熊本は空振りだったが、引き続き、情報を集めつつ、東京を目指す旅に出る」
「ええ」
「そだね」
「我らがリーダーの言う通り」
リーダー感ゼロだけどな。
「わかりました。この私もお付き合いしましょう」
まあ、そう聞いていたんだけど。
「いいのか?」
「2人からマナをもらっていますし、それ相応分の働きはしましょう」
エルヴィスと同じか。
「エルヴィスもだよな?」
一応の確認。
「ああ。同じだ。それに結構、興味がある」
ラーメンとかな。
「じゃあ、この6人で行こう。それでいいな?」
皆を見ると、一斉に頷いた。
「リンダさん、下関には問題なく行けるのよね?」
アヤカが聞く。
「ええ。あそこは厳重になっているんですが、話は通してあります。明日の朝のうちに橋を渡れます」
「あっちも悪魔の町よね? それなのに厳重なの?」
「かなりの数の人間側の船があそこの海峡を通るんですよ。悪魔側は基本的にスルーですが、軍船が来たらマズいので警備はしているんです」
スルーなんだ……
「スルーで良いの?」
「いちいち相手にしていられないというか、興味ないというか……まあ、悪魔なんてそんなものですよ」
長生きだし、そんなものなのかもな。
「そんなものなんだ……」
「そんなものです。まあ、ハーピーが襲いに行って、魚をもらってホクホク顔で帰ってくるくらいですね」
まんま鳥じゃん。
人間側も楽しんでるだろ。
「問題はなさそうね」
「だと思いますよ」
本州にはスムーズに渡れそうだ。
「問題はそこからどうするかだな」
「あー、アヤカの爺ちゃん、婆ちゃんが四国だっけ?」
高宮さんがアヤカを見る。
「ええ。それもだけど、広島の事件よね……」
あの虐殺事件か。
「クラスメイトの犯行と見て良いよな?」
「それ以外にいないっしょ」
「タイミング的にもそうだよ」
だよな……
「広島を回避となると……」
「ほれ」
エルヴィスがタブレットを取り出し、地図アプリを開いたので皆で見る。
「広島を避けるなら日本海側のルートになるわよね」
「山口の後は島根、鳥取、兵庫って感じ? 四国に行くなら兵庫に行かず、鳥取らへんで南下して、岡山かな?」
「だね。アヤカ、どうすんの? 四国に行く?」
北浦さんがアヤカに聞く。
「私は行きたいと思う。でも、2人に付き合わせるのも……」
「……旦那はいいってさ」
「……まあ、ユウは行くでしょ」
コソコソするな。
「その辺を話し合いたいんだけどさ、高宮さんと北浦さんの家族や親戚はどう? 北浦さんの従兄が京都にいることは聞いたけど」
「あー、私の実家は静岡」
「私は京都に従兄がいて、あとは千葉」
四国、静岡、京都、千葉か。
あとはミナトとリクがどうか……
「なんか前にミナトが正月は長野に帰るとかなんとか言ってた気がするな」
1年の時の冬休み前にそんな話をした記憶がある。
「ま、皆が皆、東京だけじゃないよね。お互い様だし、安否確認だけでもしない?」
「もっと言うと、生きてましたっていう報告だよね。ぶっちゃけ、心配をかけているのはこっちだし」
10年も神隠しだからな。
あれがどういう扱いになっているのかもわからない。
いや、それこそSNSでないか?
「アヤカ、やっぱり四国には行こう。高宮さんの言う通り、お互い様だ」
「うん……ありがとう」
アヤカが頷いた。
「それではルートが決まりましたね。広島を避けるということで向こうに渡ったら島根、鳥取を進み、南下して、岡山、そこから四国です」
リンダ姉さんがまとめる。
「ああ。それでいこう」
「道中は車ですね。どうします?」
リンダ姉さんがエルヴィスを見る。
「1台で行くか、2台で行くかか……そっちの車はでかかったが、何人乗れるんだ?」
「8人は乗れますよ。この6人プラスで残り2人でも十分です。ただ、全員移動になっちゃいますね」
ふーむ……確かにどっかで別れるという選択肢はなくなるな。
「リンダ姉さん、ここから先、人間の町に行くこともあると思う。エルヴィスは小さくなれたけど、リンダ姉さんは人間の町に入れるのか?」
そのヤギの角が目立つんだが……
「私は人型ですから大丈夫ですよ。性感帯であるこの角も隠せます。ほら」
リンダ姉さんの角が見えなくなった。
それとどうでもいい情報はいらない。
「いけそうね」
「オーガもサキュバスだのインキュバスだの決めつけてたしな」
勝手に納得していた。
今後、人間の町にも悪魔の町にも入れることは入れるだろう。
「じゃあ、1台で良いだろ。俺の車はここに置いておこう。別府に帰る時があったらここまで来ればいい」
「わかった。リンダ姉さん、車を頼む」
「はいはい。お任せを。ただ、私は戦闘には加わりませんからね。嫌いなんで」
戦いを好まない悪魔もいるって話だからな。
「ああ。俺達もなるべく避ける方向でいくが、戦う時があったら俺達でやる」
「任せておいて」
「ソードマスターの実力を見せる時が来たね」
「ついに暗殺者のベールを脱ぐ時か」
なんか高宮さんと北浦さんがかっこつけている。
まあいいか。
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