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第036話 ビギナーズラック?


「結局、競馬するの?」


 高宮さんと北浦さんに聞く。


「午前中だけね。まあ、話をしたいし、中でいいっしょ」

「そそ。やってみると結構面白いんだよ」


 ふーん……


「じゃあ、行くか」


 俺達は歩いていき、競馬場の中に入った。


「結構、広いんだな」

「そうね」


 ショッピングモールくらいの広さがあるし、結構、賑わっている。


「ほぼアミューズメント施設だよ。ご飯も食べられるし、施設も充実してる」

「まあ、そこは楽しいかな……別府はどうだったん?」


 高宮さんが聞いてくる。


「温泉街だったな。あちこちで煙がもくもくしてた」

「うん。すごかったね。あとは温泉が良かった」

「羨ましいね…………どうだった?」


 高宮さんが近づいてきて、小声で聞いてくる。


「……何もなかった」

「……同じ部屋で寝たんでしょ? なんかないの?」

「……まずもって、それどころじゃなかった。ほぼ寝不足」

「……あー、色々あったもんね」


 ホントにな。


 俺達は階段を上り、3階までやってくると、競馬場を見渡せる席までやってくる。


「競馬場って室内から見られるのね」

「うん。私も外で見る印象があったけど、ここなら全体が見渡せるし、ゆっくりできて良いんだ」


 確かにちょっと楽しそうだな。

 一種のスポーツ観戦みたいだ。


「北浦さん、どうやるの?」


 全然、わからん。


「勝つ馬を当てるゲーム」


 いや、さすがにそれは知ってる。


「なんか三連複とか聞いたことがあるけど、よくわからないんだよ」

「大丈夫。私もわかってないから。1位と2位を当てれば良いんじゃない?」


 それでいいか。


「高宮さんは1と2で当てたんだっけ?」


 上の方にモニターがあり、次のレースに出る12頭の馬が出ているので見上げながら聞く。


「そだね。全然、わかんないし」


 俺もわからん。

 色々書いてあるが、さっぱりわからん。


「1と8にするか……」

「その心は?」

「出席番号18番」

「なーる。じゃあ、私は1と9かな?」


 高宮さんは俺の後ろなのだ。


「じゃあ、私は3と4かしら?」


 アヤカは34番。


「私は1と0……0?」


 0はないな。


「なあ、さっきのサキュバスはどうした?」


 エルヴィスが高宮さんと北浦さんに聞く。

 確かに来るのが遅い。


「姉さんはパドックを見ていると思う」

「多分、それ」


 くるくる回るやつね。


「ふーん……ちょっと俺も見てくるか」


 エルヴィスが立ち上がる。


「パドックか?」

「ああ。やるからには負けねー」


 エルヴィスは頷き、どこかに行ってしまった。


「マジになる奴はマジになるんだよな……」

「というか、走る馬も悪魔なんでしょ? 見てわかるものがあるんじゃない?」


 そうかねー?


 俺達は後ろの方にある受付で馬券を買うと、話をしながら待つ。

 すると、リンダ姉さんとエルヴィスが戻ってきた。


「何を買った?」


 エルヴィスに聞く。


「3-4-8」


 三連なんちゃらか?


「姉さんは?」


 北浦さんがリンダ姉さんに聞く。


「手堅く3-8-9です」


 わかったのは3番が人気ってこと。

 1はダメ?


 俺達が待っていると、馬が出てきて、ゲートに向かっていく。


「いや、ずるくね?」


 3番、足が8本あるぞ。


「だからパドックを見るんですよ。でもまあ、足が多ければ速いってわけでもないですから」


 じゃあ、なんであんたとエルヴィスは3番を買ってんだ?


 レースが始まると、周りが熱中し、声を出していく。

 見ていて、結構、わくわくするし、意外にも楽しいと思った。

 でも、納得はできなかった。

 何故なら、勝ったのはぶっちぎりで3番だから。


「ずるいって」

「たまたまですよ。普通に負けることもあるんですから。それに1位を当てられても2位が外れてしまいました」

「2位までは当たったんだけどな。まさか9番が来るとは……」


 リンダ姉さんとエルヴィスは外れたらしい。


「いや、9番は来ますよ」

「やる気なかっただろ」

「そういう人なんです」


 こいつらだけなんかエンジョイ勢の俺達とは違う気がする。


「ねえ、当たったんだけど……」


 あ、そういえば、アヤカは出席番号34番だ。

 3、4、9だから当たっている。


「おめでとうございます。その馬券を持って、受付に行けば配当のマナが受け取れます」

「マナねぇ……よくわからないうちになんかもらえちゃった」


 アヤカが首を傾げながら受付に向かう。


「さて、次ですね」

「今度こそ」


 リンダ姉さんとエルヴィスが立ち上がった。


「ちょっと待て。話をしよう」


 競馬をしにきたんじゃないぞ。


「まあ、それもそうですね。最初に話をしましょう」

「しゃーねーか」


 2人が渋々、腰を下ろした。

 すると、アヤカが戻ってくる。


「もらったけど、よくわからない」


 アヤカが席につき、高宮さんを見る。


「だよね。勝った感があまりない」

「勝ち組共が上から目線だよ」


 まあまあ。

 というか、北浦さんも前に勝ってたでしょ。


「では、揃ったところで自己紹介からしましょうか。私はこの小倉で勝負師をしているリンダです。よろしく」


 リンダ姉さんが俺に向かってウィンクをしてきた。

 魔力を感じたし、おそらくチャームだが、学習できる俺はバリアを張っているので効かない。

 まあ、可愛いは可愛い。


「夜の繁華街で2人を拾ったんだよな?」

「子犬みたいに言うな」

「家出少女みたいに言うな」


 はいはい。


「ええ。なんかきょろきょろとしてて、困惑していたので声をかけたんです。それで話を聞いたらチンプンカンプンなことを言っていたので家に連れ帰ったんです」


 異世界のこととかかな?


「なるほど……あ、俺は高梨ユウだ」

「宮前アヤカよ。2人とは同じパーティーだった」

「俺っちは別府で農家をやってるエルヴィスだ」


 俺達も自己紹介をする。


「あなた方2人とこちらの2人、それにまだ見ぬ大村ミナトさんと松永リクさんが仲間でしたね?」

「ああ。チームドロップアウトだ。同じ町に住んでいて、仲間だった」

「そのチームドロップアウトは高梨君とヒナしか言ってないけどね」


 でも、ドロップアウトしたじゃん。

 皆で話し合って、もう先に行くのはやめようってなったじゃん。

 あのお通夜のような暗い会議で……


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
お 回想シーンくるー?
中津競馬場がなつかしいわー おうまさんは枠と馬と連単とワイドとかもうな 面白いと感じる以前にめんどくさいっすわ 倍率気にしないで馬単で騒ぐのが一番幸せと思う
足が四本なら、普通の馬じゃないの?って思ってしまいました。
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