第022話 不穏
俺達は道の相談をし、夕方になったので夕食を買いにコンビニに向かう。
そして、翌日以降のことも考えて、多めに食料を買うと、ホテルで食べる。
「ほう? ラーメンって美味いな」
「いや、ホントにね」
「マジで感動する……」
俺達はエルヴィスが食べたがっていたカップラーメンを夕食に選んだ。
結果は大正解でめちゃくちゃ美味い。
「そうよね……魚も肉も食べてたけど、こういうのは絶対に異世界にないもの。あとでチョコ食べよ」
甘味もマジでなかったからな。
「しかし、カップラーメンもチョコもあるんだな。カップラーメンは知らないが、チョコって外国からの輸入じゃないのか?」
「人間側は輸入を続けているんじゃない? 日本って結構、輸入に頼ってたし、人間側の町って海に面してたところがほとんどじゃないの」
熊本も海に面しているな。
「まあ、ありがたいことか。外国がどうなっているのかが気になるが」
「別にいいでしょ。私達は私達の方針で行きましょう」
「それもそうだな」
俺達は夕食を食べ終えたが、カップラーメンでは微妙に足りなかったのでチョコやポテチを摘まみながら待つ。
「何時に行く?」
うーん……
「何時までやってるんだろ?」
高校生だった俺達にわかるわけがない。
「さあ? でも、あまり遅い時間に行っても仕方がないし、21時くらいで良いんじゃない?」
そうするか。
「アヤカも行くか?」
「なーに? 1人で行きたいの?」
いやいや。
「確認。本音を言えばついてきてほしい。なんか怖いし」
「じゃあ、一緒に行きましょう。危なそうだったら退却ね。私達ならなんとかなるけど、トラブルで足止めは嫌」
まあ、そうだな。
軍や警察に捕まったら面倒だ。
「エルヴィスもついてきてくれ」
「あいよ」
スマホを眺めながら待っていると、21時を過ぎたので部屋を出る。
そして、1階に下りると、外に出たのだが、昼間とは空気が違った。
なんというか、騒がしいのだ。
「何? 何かあったの?」
「わからん。しかし、暗いな」
辺りはあまり電灯が点いていない。
このくらいの都会だとちょっと変だ。
「一応は終末世界だしね。んー……騒がしいのは繁華街の方じゃない?」
「行ってみるか」
俺達は魔力を抑え、繁華街の方に向かう。
そして、昼にもやってきた通りに来たのだが、明らかに雰囲気が変わっていた。
どんよりとした空気は消え、男達が店を眺めたり、黒服の男性に声をかけられながら歩いているのだ。
一言で言えば、大人の世界。
「なんか嫌……」
アヤカはそう思うだろうな。
でも、悲しいかな、俺はちょっとあの男達の気持ちがわかる。
「こんな世界だからこそなのかもな……」
「あのさ、私がこの通りを歩いていいもんなの?」
よくはないと思うな……
「俯きながら早歩きで行こう。道を間違えたカップルだな」
「了解。まあ、さっさと行きましょう」
アヤカが手を繋いできたのでそのまま通りを歩いていく。
すると、明らかに黒服のお兄さんや紳士なお兄さん方が嫌そうな顔になった。
とはいえ、こっちにも事情があるので探りながら通りを進む。
「……どうだ?」
「……昼間よりかは人が多いけど、変な気配はない。そっちは?」
んー……
「……ちょっと店の中から魔力を感じる。とはいえ、そこまでの大きさだ」
クラスメイトではないかな。
「……空振りね。やっぱり別府に戻りましょう」
「……そうだな」
そのまま歩いていき、あと少しで通りを抜けるかっていう時に嫌な予感がした。
「……アヤカ、俯け」
「え?」
手を繋いでいるアヤカを引き寄せ、肩を抱く。
そして、なるべく横を見ないようにしながらそのまま進んでいくと、店から出てくる若い男が視界に入った。
しかし、反応しないようにしながら進み、通りを抜けると、アヤカの手を取る。
「……走るぞ」
「う、うん」
俺達はそこそこ賑わっている飲み屋街を走っていく。
そして、そのまま走っていくと、ある程度進んだところでちらっと後ろを見た。
すでに飲み屋街も抜けているので後ろには誰もいない。
「どうしたの?」
「あとで話す。ちょっと遠回りをして、ホテルに戻ろう」
「わかった」
俺達は飲み屋街を進み、色んなところを曲がりながら歩いていく。
そして、30分ぐらいが経ったところでホテルに戻り、俺とエルヴィスの部屋に入った。
「おい、何があった?」
エルヴィスがポケットからジャンプし、元の姿に戻ると、すぐに聞いてくる。
「そうよ。あの風俗街で誰かいたの?」
話すべきか、話さないべきかを歩いている30分で考えていた。
結論は話すべきことだ。
「エルヴィス、悪いが、今日は床で寝てくれ」
「んー? それはいいけどよ」
エルヴィスが頷く。
「アヤカ、そっちのベッドで寝てくれ」
窓際のベッドを指差した。
「まあ、いいけど」
アヤカは頷き、窓際のベッドに腰かける。
「今から話すことはあとでいいから高宮さんと北浦さんに伝えてほしい」
「ええ」
「アヤカ達と合流し、一緒に行動するようになったのが5年前だ。それより2年くらい前かな? 俺達が4人で旅をしていた時の話だ」
当然、ショウタは生きていたし、なんだかんだでバカを言い合いながら楽しんでいた時だ。
「随分と前ね」
「まあな……俺達は魔物を倒したり、神に頼まれた仕事をしながら魔王討伐の旅をしていた」
たまに神がクエストをくれるのだ。
やると報酬をもらえるから結構、やってた。
「私達もその時はしていたわね……」
アヤカが遠い目になる。
多分、俺達と同じようになんだかんだで楽しんでいたのだろう。
「そんな時にとある死体を見つけた」
「死体……」
「坂下さんだ」
クラスメイトの坂下さん。
「坂下さん……あんまり話したことはないけど、本を読んでいた子っていうイメージがある」
俺もそのイメージだ。
文学少女っていう言葉がぴったりくる子だった。
でも、死んでしまった。
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