第015話 ちょっと嫉妬
「ヒナ、SNS?」
アヤカが北浦さんに聞く。
『うん。【熊本 槍】で検索してみて』
アヤカがスマホを取りだし、ポチポチと操作し始めた。
俺もそれを覗いてみるが、1つの投稿が目に入る。
【熊本の繁華街でケンカがあり、槍を持った男が複数人にケガを負わせたらしい。警察が追っているらしいが、外に出るのは注意】
こんな感じの投稿がいくつかある。
複数あるってことは信ぴょう性が高い。
「槍……」
「ミナトが脳裏に浮かぶな……」
ミナトの武器は槍なのだ。
『だよね。ミナトじゃない?』
『大村君が暴れる?』
暴れる人間じゃないな。
『こんな世の中だし、わからないよ。ミナトにそんな気がなくても相手が絡んでくるかもしれないじゃん』
それはあるな。
俺達はそれを撃退するだけの力がある。
「ちょっと待って。大村君が熊本にいるかもしれないってこと?」
アヤカが聞いてくる。
「そうなるな。リクの情報はないが……」
一緒じゃないのか?
いや、俺達がたまたま一緒に転移しただけでミナトとリクが一緒かどうかはわからない。
適当な神だし、それにそもそも異世界でも別行動をとっていたのかもしれない。
『どうするよ?』
高宮さんが聞いてくる。
「もし、ミナトなら合流したい」
『そこだよね。私もそうするべきだと思うんだけど、私らのところに来たら、逆とは言わないけど離れるよ?』
熊本だもんな。
小倉より別府の方が近い。
「先に熊本に行くか……しかし、この情報だけだとわからんな」
「エルヴィスが槍を持っているのは珍しいって言ってたわね」
確かに言ってたな。
「ミナトの可能性は低くないが……」
あいつ、スマホが通じないし、持っていない可能性が高いんだよな。
スマホをもらった俺とヒナが特別なんだ。
「ユウ君、どうする?」
『リーダー』
『決めて。こっちがそっちに行っても良いよ』
うーむ……
「すまん。エルヴィスに相談してみる。まずここから熊本に行けるかどうかの問題もある」
阿蘇山の方が前線らしいし。
『あーね』
「またかけ直す。ちょっとその情報をもうちょっと調べてみてくれ」
『了解』
『寝ずに待っている』
電話が切れたのでエルヴィスのスマホに電話をした。
『あーん? どうしたー?』
まだ起きていたようだ。
と言っても、まだ21時を回ったところだが。
「すまん。ちょっとこっちに来てくれないか。新しい情報が入ったんで相談したいんだ」
エルヴィスの部屋がわからないのだ。
『ちょっと待ってろ。すぐに行く』
エルヴィスがそう言って、電話を切ったのでその場で待つ。
「ユウ君、どう思う? 大村君だと思う? 私は大村君がケンカするような人とは思えないんだけど」
「俺もそう思う。そういうのを避けてきたのが俺達だし、ミナトはそういう人間じゃない」
陰キャだし。
陰キャ4人でパーティーを組んだのだ。
強そうな冒険者を見た時は目線を斜め45度に下ろして、端を歩くのが俺達。
俺達が悩みながら待っていると、ノックの音が聞こえてきたので入口の方に行き、扉を開けた。
すると、エルヴィスがいたので中に入れ、部屋に戻る。
「何があったんだ?」
エルヴィスが座りながら聞いてきた。
「俺達の仲間かもしれない情報がSNSにあったんだよ」
「エルヴィス、これ」
アヤカがスマホを差し出すと、エルヴィスが受け取り、じーっと見る。
「確か、お前らの仲間の残り2人は槍と杖が武器だったな?」
エルヴィスが顔を上げた。
「ああ。どう思う?」
「まずなんだが、槍を武器にする人間は少ないことは前にも言ったな?」
「そう聞いた。だから可能性はあるんじゃないかって思う」
「そうだな。それともう1つ。これは町中の話だろ。槍を町中に持っていけると思うか?」
目立つな。
「異世界なら普通だが、俺達が知っている日本では無理だ」
「そこだ。もう人間連中も武器を持って戦っているし、合法化されているのかもしれない。しかし、あれだけ武器を毛嫌っていたこの国で町中に槍なんか持って繁華街を出歩けるかどうかは怪しい」
確かに……
となると……
「空間魔法か」
「だと思う。この暴れた男というのは空間魔法で槍を隠していた。そして、人間共はまだ魔法を使えていない。いや、多少は使える奴もいるかもしれないが、空間魔法を使えるとは思えない」
つまり、この男は……
「クラスメイトの誰かか」
「だと思う。槍を持った奴は?」
うーん……
「何人かはいると思う。異世界では剣と槍が主流だったし」
魔法使いは杖。
他にも斧や弓というのもあったが、基本は剣か槍だ。
「大村君の可能性は十分にあるわね」
「そうだな……問題はどうするかだ。エルヴィス、熊本には行けるのか?」
「そりゃ行けるが……行くのか? その大村って奴とは限らないぜ? 最悪は別のクラスメイトとやらでトラブルの元だ」
それはそう。
他のクラスメイトとの接触は避けようっていう結論になったばかりだ。
「それはわかっているが、ミナトだったら合流したい。異世界で同じ町にいた高宮さんと北浦さんが同じ九州にいたし、ミナトとリクも九州にいる可能性は高いんだ」
「そうかい……じゃあ、熊本に行ってみるか?」
「行く方法はあるか?」
問題はそこだ。
「阿蘇山近くまで車で送ってやる。そこから人間側に歩いていけばいい。お前達は間違いなく人間だし、攻撃されることはないだろう。人間側は同士討ちを必要以上に避けるからな」
それは自衛隊だからだと思う。
「帰りは……どうするか」
俺達、車を運転できないんだよな。
「俺もついていってやろうか? 一緒に熊本に行き、捜索する。そして、結果はわからんが、捜索を終えたら車の場所まで戻って、別府に帰ればいい。そこからは当初の予定通り、小倉だ」
ん?
「いや、お前はゴブリンだろ。人間の町に行けるのか?」
人型と言わればそうだが、とてもではないが、人間には見えんぞ。
「方法はある。見ておけー」
エルヴィスがそう言うと、魔力を感じた。
そして、エルヴィスが光りだす。
「眩しっ」
「何よ……え?」
「あれ?」
光が止むと、エルヴィスの姿が消えていた。
しかし、魔力は感じるし、どこかにはいる。
「姿を消す魔法かしら?」
「ちげーよ」
「ん?」
声がしたので床を見ると、スマホくらいのちっちゃいゴブリンが座っていた。
「おー、可愛い!」
そうか?
ゴブリンだぞ。
「へっへっへ。どうだ? これならバレないだろ? 見つかっても気持ち悪いフィギュアだ」
自分で気持ち悪いって言うかね?
「小さくする魔法なんてあるんだな、変わってるな……」
「お前の錬金術とやらよりは変じゃねーよ」
まあ、それはそうか。
実にごもっともなツッコミパート2.
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