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Eidolon ~忘れられた世界で、もう一度~  作者: 秋津 聖


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第6話 森の中ではじめまして2

艶のある黒い毛並み。


翡翠色の瞳。


長い尻尾をゆったりと揺らしている。


さっきまで張り詰めていた警戒心が、一気に緩んだ。


しゃがみ込み、そっと手を差し出す。


逃げる様子はない。


「お前、迷子か? こんなところにいたら危ないぞ」


「ほら、おいで」


その瞬間。


どこからか、深いため息が聞こえた。


「……初対面の相手を迷子扱いするとは。随分と余裕があるな」


「……ん?」


思わず周囲を見回す。


誰もいない。


視線を戻す。


黒猫がこちらを見上げていた。


「……今、喋った?」


「喋ったが?」


「いや……待て。猫だよな?」


「見た目は猫だが? 他に何に見える」


黒猫は落ち着いた様子で腰を下ろす。


ただの猫ではない。


それだけは分かった。


「私はNERO」


(ネロ……確かイタリア語で黒だったか。ずいぶん安直な名前だな)


「黒いから安直だと思ったか?」


「……」


心を読まれた。


今さら誤魔化しても意味はない。


「思った」


「少しは否定しないのか」


呆れたように尻尾を揺らす黒猫。


そして、真っ直ぐこちらを見つめる。


「高尾朔」


「君を待っていた」


「……俺を?」


「そうだ」


森を吹き抜ける風が木々を揺らす。


さっきまで穏やかだった空気が、少しだけ張り詰めた気がした。

第5話、6話を読んでいただきありがとうございます。


ついに異世界……ではなく、まずは森へ転移しました!


異世界転移と言えば森スタート。

これはもう定番ですよね(笑)


そして今回登場した黒猫のネロ。


モデルは我が家の猫様です。


猫って自由気ままなのに、なぜか人の心を掴む不思議な存在ですよね。


ちなみに朔の荷物に修理道具が入っていましたが……


異世界に来ても仕事道具を持ち歩いているあたり、ある意味すごい店長です(笑)


これから朔とネロの異世界生活が始まります。


楽しんでいただけたら嬉しいです。

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