超銀河バカ姉
ユグドラシル、本当に理解出来ないみたいだ。全知全能が聞いて呆れるよ。
ま、私もこの時代に来てから悟った真理だから、さ。こうして、自分の口で言葉にした方が、理解できていいかもね。だから、思いっきり宣言してやろう。
「どんな女性でも、幼女だったんだよ、分かる?」
「ま、まぁ当然だな。子供時代の無い人など、存在せぬ」
「そうそう。その延長線上に、大人がいる。だから、さ。大人って言っても、子供の大きくなった姿なんだよ。子供時代の影響が、出まくってるんだよ。大人の女性でも、立ち振る舞いとか性格とか見れば、どんな幼女だったのか、想像つくんだよ」
事実、私やパパがそうだ。寂しい子供時代を送ったからこそ、バカやってないと生きれなくなった。他人の身勝手な好意に疲れ果てて、純粋な幼女しか愛せなくなった。そんな、子供時代の延長線上に、今の私達がいる。
「だから、さ。人類皆幼女! 大人だろうと、妄想の翼を羽ばたかせれば、ロリ時代をイメージして、萌えられるんだよ! ハァハァ出来るんだよ! 幼女エネルギーを、爆発出来るんだよ!」
きっかけは、シグナムの「イメージで何とかなる」という言葉。自覚したのは、橙子ちゃんのおっぱいで、幼女エネルギーを貯められたから。彼女のロリ顔と低身長のせいだと思ってたけど、ママと邂逅して、悟った。どんな人でも、可愛らしい幼女の時代があったのだと。
この世界には、いや、どんな時代でも幼女は溢れている。そんな世界が、人間が、私は大好きだ。人の数だけ、愛してる。あ、ショタはノーザンキューで。
「これぞ、人類皆幼女! ワンフォー幼女! オールフォー幼女!」
胸いっぱいの思いを、吐き出す。この身に滾る、幼女への、人類への愛を込めて、全身全霊の思いを、一気にぶちまける。
「私は、幼女が、人間が、大好きだぁぁぁぁぁ!」
溢れる思いが、叫びが、エネルギーとなって宇宙を駆け巡っていく。膨大なエネルギーの余波で、周囲を漂う機体の残骸が次々と爆散していく。
ああ、スッキリした。胸に詰まった、ドロドロとした欲望を一気に吐き出すと、気持ちがいいもんだねぇ。己の欲望に正直に生きる人生は、これだから止められないよ。
ただ、その代償にもキッチリと向き合わなければならない。ソレは、バイザー越しにやってきた。
『バカ姉が、バカ姉が、超銀河バカ姉になっちゃったぁぁぁぁ!』
穂村ちゃんの泣き声が、宇宙に響いていく。
『もうやだこんな姉! もう絶対、ぜ~たいにお姉ちゃんなんて呼ぶもんかぁ!』
なんだか、過去最高にブチ切れてるなぁ。今度こそ、姉妹の縁切られちゃうかもなぁ、困ったなぁ、ははは。
『怜ちゃん! 叶わないって諦めてたけど、そんな事無いんだよね! 私にも、まだまだチャンスはあるんだよね!』
『貴方は黙っててください!』
叶わないとか、チャンスとか、橙子ちゃん何言ってるんだろう。私達は親友で、それ以上でもそれ以下でもないはずなんだけどなぁ。
なんつーか、私の欲望で、とんでもない事になっちゃった気がするけど、ま、いっか。今は、目の前のコイツを倒して、皆の元にしなきゃだね。
ティスちゃんやシェリーちゃんにも、まだまだ話したい事いっぱいあるし、グノーディアやシグナムに、パパの事で聞きたい事も沢山ある。
その為にもこの戦い、絶対に敗けられないよ。
「フハハ、ハハハハハ‼ 何という狂人。お前程狂った面白い人間は、私が会った者、いや、有史以来初ではないだろうか!」
うるせぇよ。あと、人間舐めんな。良くも悪くもロリコンなんて、この世に腐る程いるわ。
「故に、惜しいな。貴様の様なバカは、脳だけ取り出して、じっくりと研究したかったものだが、そうもいかん。私は、神として。たかが人間如きに敗ける訳にはいかぬのだ」
「随分と、上からだねぇ。そんなんだから、イライラするんだよ」
コイツに腹立つ理由は、初めから自分を上に置いて話してくる上、それがこの世の真理で、さも当然の様なふるまいだからだ。だから、好意だろうが、限りなく上から目線なので、傲慢にしか映らない。相手が、自分と対等だという事を、思う事すら出来ない。
その傲慢さが、命取りだ。相手を、尊敬しない。見下す事しか出来ない。そんな態度など、私から言わせれば隙だらけだ。
今まで戦ってきたロリコン達は、違った。グノーディアも、シグナムも、パパも私を見下す事無く、全身全霊で立ち向かってきた。だから、強かった。つけ入る隙が見当たらなかった。勝てたのも、全部偶然、運が良かっただけだ。本来、一介の女子高生でしかない私が、あんな強者に勝てるはず無いのだから。
「アンタみたいな、傲慢で、見下す事しか出来ない神様もどきに、敗ける訳ないでしょ!」
でも、だからこそコイツには敗ける気がしない。いくら図体がデカくたって、心が矮小な奴に、ヒーローが敗けてたまるかよ。
「神様もどき……か。その思い上がり、アールヴ共々、後悔させてやろう……」
ユグドラシルが、唸る。そして胸の部分。要塞の中心部に、光が、エネルギーが集まっていく。
『まずい……コントロールが奪取された。主砲が、主神の投槍が、発射される!』
「主神の投槍? それがどう――」
『最大出力なら、地球を塵に変える』
「……え?」
L2ちゃんの報告に、呆然とした。余りのバカげた兵器に、唖然としてしまった。
それが、命取りになった。ユグドラシルの意図を察した私は、大急ぎで殴り込むなり斬りつけるなどして、発射口を潰すべきだった。
刺し違えても、止めるべきだった。そんな事を本気で思える程、奴のやろうとしている事は止めなければならなかったのだから。
「地球もろとも消え失せるがいい、このロリコン共が!」
主砲が、主神の投槍が発射される。全高数十キロにも及ぶ人型要塞の胸部から、エネルギーの奔流がほとばしる。ホントに、星一つ砕いちゃいそうな大きさのビームだ。
後ろに地球が輝いていようが、お構いなし。ここで私が避けたら、地球が滅んでしまう。
ティスちゃんやシェリーちゃんといった、アールヴ。M3君やグノーディア将軍といった心のある機械。ついでにシグナム。それに、今さっき確認したが、シャトルが地上に降り立ったので、穂村ちゃんや橙子ちゃんだって、確実に消滅する。
「そんなの、放っとけるかぁぁぁぁぁ!」
眼前を覆い尽くす、超ド級のビームでも、避けらんない。フィールド張って、防ぐしかない。
「フレイムボルテックフィールド、全開!」
アースライトニングの全エネルギーを、防御に回す。フィールドで、どうにかビームをくい止める。
「ぐ、ぐぅぅぅぅぅぅ」
それでも、長くは持ちそうに無かった。一瞬でも気を抜いたら、雷桜と鳳凰の合体が解けてしまいそうだ。雷桜単体のフィールドでは、瞬時に呑み込まれて、塵一つ残さず消されてしまうだろう。
「それでこそ、ヒーローだなぁ、怜奈!」
くそう、アイツ私が庇うって知ってて、主砲を地球に撃ちやがった。例え、どんなに無謀でも、私がロリコンだから。幼女の為に命を張れるって知ってるから、地球を撃ったのだ。
「最大出力だ、そう長くも保つまい。理想と欲望を胸に、消えるのだな!」




