ロリコンヒーロー アースライトニング
時間にして、ほんの一瞬。時間を超越して、私はパパとママに会った。
体感時間が現実を遥かに超えての邂逅。現実味には欠け過ぎる出会い。
それでも、確信があった。アレは、偽物なんかじゃない。消えゆくパパの魂が、最後に見せてくれたかけがえのない時間だ。ママの勇姿、可愛さ、偉大なるロリ母性の尊さ。その全てが誇りとなって胸に響き渡る。私の母親は、立派な人物だったと、胸を張って言える。
その、女神幼女からほとばしる萌えを、凄まじい幼女パワーを力に変えて、叫ぶ。
「運命も次元も突破して、幼女の力が宇宙に響く!」
爆発的なエネルギーが、全身を駆け巡る。とめどなく溢れる力が、粒子となって煌めいていく。
「究極合神、アースライトニィィィィング!」
ロリコンの、魂の叫びが宇宙に響く。爆発的なエネルギーが、宇宙空間を振動させる。
ただそれだけで、周囲を漂う電磁球は全て爆散した。幼女への思いを込めた叫びが、膨大なエネルギーとなって、周囲を駆け巡ったのだ。
今の私なら、叫びだって武器になる。これが、拳や蹴りだったら、もう想像もつかないよ。
白銀の装甲に、深紅の装甲が重なっていく。全身に二つの装甲が重なり合って、私の纏う神武は、一回りも大きくなった。
背中には、二つの噴射口のある巨大なバーニアが追加されている。以前シグナムの乗っていた、大型機動兵器ジークフリードの背中についていたのとも違う、まるで翼の様な異名な形のバーニアだった。その姿は、遥かなる神話上の生物、鳳凰の羽を思い起こさせる。
名前は、フェニックスウイング。うん、見た目まんまだよ。
そして、元々貧相な私の胸を守ってきた胸部装甲の真ん中に、こぶし大の宝石が埋め込まれていた。これがパパの神武、鳳凰の核なのだと、直感で悟る。
「核むき出しとか、これ設計した奴何考えてたんだよ……ま、いっか。カッコいいしね!」
そう、胸に宝石とか、最高にロマンだ。命の象徴たる心臓部に、エネルギーの塊を置いとくのは、悪くない考えだと思う。
今なら、パパの気持ちが分かる。彼が感じた、大いなるロリの力を、全身に感じる。
鳳凰は、パパの魂だ。ユグドラシルなんか目じゃない。この形態は、二つのロリコンスピリットが合わさっての、最強最大の、神武だよ。
「たかが矮小な神武、その二つが合体しただけだ! 調子に乗るなよ小娘が!」
要塞兵器のあちこちにあるカタパルトから、無数の機動兵器が出撃していく。どれも、シグナムのヴォルケンと同じか、それ以上のサイズだ。
形も、人型から戦闘機まで様々。銃を持ち、機銃を構えて、四方八方から一斉に襲い掛かって来る。
以前の、機動兵器一体にすら苦戦した私から見れば、絶望的な状況だっただろう。
だが、不思議と恐怖は感じなかった。むしろ、感謝したいぐらいだ。
「この力、ほっとくと暴発しちゃいそうなんだよね。どっかで発散させなきゃって思ってたから、ちょうどいいよ」
ロリと母性。決して相いれぬ、もし相いれたとして、完璧には交わるはずの無い二つのロリコンスピリットが、完全に一つになった。エネルギーは二乗化し、抑えきれない程全身を満たしていく。
「鳳雷弾、ロック完了! ライトニングボルケーノ、出力全開!」
バイザーに映る敵機体は、一つ残らずロックされている。両手両足に光るクリスタルも、紅と蒼の入り混じった輝きを放っている。それも、以前とは信じられない程の強く、美しい光だった。
オーバーロードを起こして、大爆発しちゃいそうだから、さ。遠慮なく、ぶっ放させて貰うよ。
「ロリも母性も、全部まとめて、ぶち抜けぇぇぇぇぇ!」
全身から、蒼の雷弾が、赤の炎弾が、次々と発射されていった。さっきの叫びとは桁違いのエネルギーが、宇宙空間を揺らした。
一瞬の静寂が、宇宙を包み込む。
次の瞬間、辺り一帯を照らすほどの大爆発が巻き起こった。
あるモノは弾に砕かれ、あるモノは、膨大なエネルギーに耐え切れず、爆散していく。
周囲を覆う敵機は、一瞬にして全滅した。数にして、数十機はいた筈だ。それらを一瞬にして破壊した力に、改めて驚かされる。
「トンデモ兵器にも程があるよ、ははは」
思わず、ため息がこぼれる。コレ、やろうと思えば国一つ消しちゃうんじゃないかと、本気で思えちゃう位のパワーを感じる。
『気を抜かないで。コレで奴も、本気で貴方を潰してくる』
L2ちゃんの言う通り、ユグドラシルも本腰を入れて、攻めてきたみたいだ。
「おお、アノ図体でパンチたぁ、豪快だねぇ」
あまりにも巨大な右腕に、エネルギーフィールドを纏わせて、ぶつけてくる。
『アレは、周囲にエネルギーの渦を作っている。だから、無駄口叩いてないで、とっとと逃げなさい』
彼女の言う通り、周囲に漂う機体の破片が、巨大な腕が纏うエネルギーの渦に吸い寄せられては、分解して塵になっていく。
「真っ直ぐでいいねぇ、気に入ったよ。純粋な、パワー比べといこうじゃない」
『いい加減にしなさい、このバカッ!』
L2ちゃんがブチ切れた。まぁ、傍から見たら無謀すぎるよね。幅だけで数キロはある拳に、人間の体で立ち向かおうなんてさ。
首を鳴らして、身構える。
フェニックスウイングに力を込める。まるで、背中に炎の翼が生えたみたいだ。急加速し、突っ込んでいく。
右腕に、雷のエネルギーを蓄積させて、一気にぶっ放す。渾身の力で、ぶん殴る。
「龍王、雷撃破ァァァァァッ!」
圧倒的な質量と渾身の力とがぶつかり、莫大なエネルギーの余波が、当たりの宇宙にまき散らされる。
「ぬ⁉」
「ははは、残念だったねぇ」
私が、呑み込まれたりは、しなかった。ユグドラシルも、流石にビックリだろう。なんせ、ご自慢の巨腕が、何の変哲も無い人間に、止められてしまったのだから。
私も、雷桜も鳳凰も健在だ。右拳は、アースガルドの拳にヒビを入れて、埋め込まれている。
その、ヒビ。巨腕のほころびに向けて、左腕に炎を纏わせて、叫ぶ。
「炎帝、爆裂破ァァァァッ!」
灼熱の左拳アッパーカットを、ヒビに向けて放つ。拳のヒビから、膨大な熱エネルギーが入り込んでいく。
アースガルドの右腕が、内部から膨れ上がった。内部での爆発は、連鎖的に誘爆を巻き起こしていく。右腕が、爆発して吹っ飛んだ。
「グォォォォォォ!」
ユグドラシルが、苦悶の声を上げる。
右腕を吹き飛ばされたものの、アースガルドは機能停止しなかった。人類最強の兵器は、右腕一本潰した所で、倒す事は出来ないみたい。
それでも、かなりのダメージは与えたはず。あの巨体だ。体勢を立て直すのは、そう楽なモノじゃあ無いだろう。
その間にも、左腕に残った砲塔から、ビームを執拗に打ち出してくる。
でもね、今の私にさぁ。
「そんなモノ、効いてたまるかよ!」
雷桜と鳳凰の防御フィールドが合わさった、このアースライトニングのフィールドは、雷桜とは桁外れの硬さだった。構えを取ってもいないのに、直撃コースのビームをはじいていく。機体には、傷一つ付かなかった。
「フェニックスソード、起動ッ!」
背中のフェニックスウイングが分離し、柄の形に変形していく。
それは、まさに刀身の無い剣だった。持ち手を握りしめ、ママを想って幼女エネルギーを込めていく。
柄から、エネルギー刃が伸びていく。それも、とんでもない大きさと長さだ。正確な距離は分かんないけど、アースガルドの直系を超えているので数十キロはあると思う。
「バーニング、ブレイザー! どっせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!」
刃渡り数十キロの、超絶ド級の剣で、アースガルドの左腕を肩の付け根から両断する。
両断された左腕は、要塞から離れていき、爆発四散した。
「何故だ⁉ 何故、貴様の様な、たった一人の人間を滅せぬ! 小娘一人に、圧倒されなければならぬのだ!」
自身の武器たる要塞の、両の腕を潰されたユグドラシルが、叫んだ。何故、一人の人間に、自分が勝てないのかが、理解できないらしい。
ま、そりゃそうだろう。こんな、超ド級の兵器を自在に操れる。かつて人類そのものを相手取って勝利した奴からすれば、たった一人の人間に圧倒されるなんて、悪夢でしかないはずだ。
人類を滅ぼせても、たった一人のロリコンを殺す事すら出来ないんだからね。滑稽だよ、ははは。
その彼に、言ってやる。何故、私が貴方に勝てないのかを。腕を組んで、堂々と。
「それはね……私が、ロリコンだからだよ」
「……は?」
ユグドラシルは、全く理解できないみたいで、唖然としている。だから、分かるまで言ってやる。人間の、ロリコンの底力をね。
「私、ロリコンだから、さ。さっき、パパが幼女を、最強のロリを見せてくれたから、そりゃあパワー出るよ。ロリ萌えスピリットの奔流が、無限のエネルギーを生み出しているんだよ」
事実、この形態は思いの力で無限のエネルギーを引き出す。それってつまり、私が幼女を想う度に、無尽蔵にエネルギーを引き出せるって訳だ。
「……ちょっと待て。オイ待て。幼女って、自分の母親だろう⁉ お前、頭おかしいんじゃないか⁉」
「それがどうした文句あるかぁ!」
自分が、どうしようもない変態だってのは、私が一番知ってるよ。でも、それがどうした。誰かに迷惑かけてる訳でも無いのに、人に余計なこと言われる筋合いなんて無い。
「それにね、私思うんだけど、女性皆幼女なんだよ」
「……お前は、何を言っているのだ?」




