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第二次スーパーロリペド大戦 ②

「ティ、ティスちゃん⁉」


 バイザーから、ティスちゃんからの通信が響いた。


「は、早く逃げて! このままだと、皆殺され――」

『私達は、心配ない。だから貴方は、目の前の敵に集中する事』


 その、無感情なロリボイスは、まさか!


「L2ちゃん! ホントに、返してもらってたんだね!」

『イエス。完璧に修理されて、元の性能を100%取り戻せた』

『元々、L2はアースが妹の為に作ったアンドロイドなのです。製作者故に、修理は容易かったみたいですよ』

「シェリーちゃん……」


 シェリーちゃんの声も、バイザーを通じてバッチリ聞こえてくる。


「皆、早く逃げてよ! このままじゃあ、地球の生き物は皆殺されちゃうんだよ!」


 皆と話せるんなら、早く教えなくちゃならない。このままじゃあ、皆殺されるって。


『心配ないと言ったはず。坊ちゃんは、この事態も予測して、私に託した』

「託した⁉」


 パパ、貴方はこうなるって分かってて、L2ちゃんに何したの?


「な、何ぃ⁉」


 突如、アースガルドにあるアンテナが、一つ残らず爆発した。ビームやミサイルの砲塔も、次々と爆発していく。


『坊ちゃんがアースガルドに残した、最後の置き土産。再び人類殲滅コードが放たれた時、アースガルドの機能を無効化していく、アンチプログラム。私は、そのコードを託されたのですよ』


 パパが残した、幼女を守る為の最後の置き土産。

 パパ、ありがと。貴方は、紛れもなくヒーローだったよ。


『愛奈は私の母になってくれた人だ。このパスワードには驚かされましたよ。アナベル様が知ったら、何を思うのやら』


 ……ヒーローだよ! パパは、ロリ母性に目覚めちゃっただけなんだよ!


『ユグドラシル、でしたっけ。アンタの言動、バッチリ世界中に流しときましたから、直接支配している連中以外は、皆アンタの敵ですよ』


 おお、抜け目ない。流石、L2ちゃんだねぇ。ちゃっかりしてるよ。


「おのれ、ハンの忘れ形見どもめ! 軍団を派遣し、今ここで、滅してくれる!」


 切り札を失い、怒りで我を忘れたユグドラシルが、ティスちゃん達に殺意をぶつける。

 でも、あの娘達は、そんな独裁者の脅しなんかに屈しない。


『言ったでしょう、幼女を守ってみろと! 今が、その時です!』

『こーんな面白れぇ世界、テメェの我儘で壊させてたまっかよ! 今だけは、手ぇ貸してやるぜ、怜奈ぁ!』


 地上ではグノーディア将軍が、シグナムが、ティスちゃん達を守る為戦ってくれていた。


『隊長、その体高かったんですからね! あんま、壊さないで下さいよ。労災降りないんですから!』

『さぁ、最後の残業だ。暴れてやろうぜ、ベイビー』

『怜奈。彼女達は僕たちに任せて! 僕たちもエリートなんだ。マグナムガードとして、皆を守ってみせるよ!』


 M3君……。バカ、バカだよ皆。最っ高の、大馬鹿だよ。


 通信越しから聞こえる喧騒から、ティスちゃん達の戦いは生半可なモノでは無い。

 皆命懸けで、生きるために戦ってんだ。私だけ、諦めてなんかいられないよ!



 脱出用シャトル内でも、通信はオープンにしているため、L2の声もバッチリと聞こえている。とにかく今は、地上の彼女と連携して、怜奈をサポートしていかなければならなかった。


「L2。よくやってくれました。おかげで、首の皮一枚繋がりましたよ」

『イエス。しかし、怜奈がアレに勝てなければ、意味は無い。アースガルドの主砲は、最大出力なら星一つ砕く威力がある。今は、ハッキングで停止させているけど、奪い返されるのは、時間の問題。こちらが絶対的不利なのは、依然変わらす』

「……相変わらすですねぇ。もっと、明るくいきましょうよ」

「事実を述べただけ」


 現実的な元同僚に、思わずため息が出る。彼女もまた、坊ちゃんに使えたアンドロイドだが、愛想が無いのと、時たまとんでもなく辛辣な所は、数百年たっても一向に改善されてはいないと見える。


『貴方が何の勝算も無い戦いに、怜奈を焚き付けるとも思えない。切り札の一つや二つ、隠し持っているはず』

「おお、鋭い。たった今、封印を解いたところですよ」

『……まさか⁉』

「その、まさかです。雷桜、鳳凰の最後の大舞台。派手にぶっぱなしてやりますよ♪」


 持ち帰った坊ちゃんの遺体。話しながらも、その中枢にあった鳳凰を取り出し、最終調整を施す。少々罰当たりな気もするが、娘を守る為ならば、きっと笑って許してくれるだろう。


「発射準備も、完了。自動操縦への切り替えも、問題無し……と」


 手動で、シャトルに命令を打ち込んでいく。私がいなくても、怜奈の大切な人達が無事戻れるように。


『あ~すみませんが、機長は間もなく、等便から退場致します。あ、ご心配なく。自動操縦によって、地上への降下は保証致しますので』


 館内放送で、シャトルを出る旨を伝える。ドアの向こうから喧騒が聞こえてきたが、今は一々答えている時間も無い。怜奈が息絶えれば、この切り札は無駄になってしまうのだから。


「そんじゃま、家庭用メイドロボD3、最後の大仕事といきますか」


 シャトルに積まれた発射装置に捕まり、遠隔操作打ち出して宇宙に飛び出していった。



『怜奈さん、雷桜の切り札を起動させます! 今向かっていますので、どうにか合流してください!』

「切札⁉」


 D3ちゃんが、言った。雷桜の切り札を起動させると。


 シェリーちゃんの説明書に、もう一つ解析不能のブラックボックスがあったのを思い出す。


 おそらく、そのブラックボックスこそ、D3ちゃんの言う雷桜最後の切札なのだろう。この、絶体絶命の状況を打破するきっかけになればいいんだけど、さ。


『視認距離まで到達しました。肉眼で確認してください! 12時の方向です!』

「じゅ、十二時ってことは、真っ直ぐなんだろうけど……って、えええ⁉」


 向かってくるD3ちゃんを見て、心底驚いた。なんと彼女は、ミサイルに掴まってやってきたのだ。片手で側面に掴まり、グングン迫ってくる。


 それも、ほぼ生身で。私みたく神武を纏う訳でも無く、宇宙服を着こむわけでも無い。本当にメイド服のまま、ミサイルに掴まっていた。アンドロイドだからこその、芸当だろう。


 とはいえ、掴まっているのはミサイルだ。いつ狙撃されて爆発してもおかしくない。至近距離で爆発でもすれば、木っ端みじんになるのは確実だろう。


「ちょっと、無茶し過ぎじゃないかなぁ⁉」

『坊ちゃんや、貴方の馬鹿が移ったんです。何が何でも、届けますよ!』

「……ったく、皆大馬鹿過ぎるよ!」


 彼女の気持ちを無駄にする訳にはいかない。一体何を届けようとしているのかは分かんないけど、彼女を信じて、私に出来る事をしないとね。


「GMフルブースト、起動! 出力最大!」


 雷桜第一の切り札で、出力を限界まで上げる。装甲が青白く輝き、エネルギーが全身に満ちていく。


「ライトニングメテオ! ぶち抜けぇぇぇぇぇ!」


 エネルギーの塊となって、電気の檻を蹴り破る。体制を立て直し、D3ちゃんと合流すべく、ミサイルに向けて突っ込む。


「させぬ!」


 だが、私が合流する直前、彼女の乗るミサイルは、要塞から放たれたレーザーに打ち抜かれた。ミサイルは爆散し、破片が辺りに散らばっていく。


「そ、そんな、D3ちゃん……」


 彼女は、宇宙の藻屑になってしまったのだろうか。私の無茶で、死なせてしまったのか。

 そんな思いで押しつぶされそうになった時に、バイザーから声が響いた。


『怜奈さん、こっちを見てください!』

「D3ちゃん!」


 彼女は、生きていた。爆発で下半身は吹き飛んだけど、上半身は残ってたらしく、宇宙に浮かんでいる。


『受け取って下さい。坊ちゃんの、魂を!』


 まるで、雷桜の飛雷拳の如く、彼女の右腕が私に向かって打ち出された。その手には、赤く光る宝石が埋め込まれた剣が握られている。


 剣が、私の胸部装甲に突き刺さった。胸がぺったんこだったのが幸いして、剣が肉にまで至らなかったのだが、装甲に深く突き刺さっている。


「こ、これって⁉」


 そして、エネルギーが流れ込んでくる。雷桜とは違う、燃え滾る炎の様な、全身の血を熱く燃え上がらせる力。全てのモノを、灼熱に包むこんでしまうような、圧倒的な力。


 それでいて、空に輝く太陽の様な、優しく、暖かくもある光り輝く不思議な力。


 D3ちゃんが、叫ぶ。全身全霊、最後の力を込めて。


『鳳凰、アクセラレーションッ! フェニックスモード、起動ッ!』


 雷桜、鳳凰。二つの神武が、かつてない程に輝いた。その赤と青の混じった輝きは、何よりも力強く、そして暖かかっった。


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