表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/44

機械将軍グノーディア ①

 現れたのは、機械の体をしたM3君達とは別のロボットだった。


 M3君達と同じく、2メートル近い金属の体なのだが、見るからに格が違う。背中にマントをたなびかせ、装甲も分厚く要所要所をびっしりと覆われている。胸元には、何やら大粒の蒼い宝石みたいなモノが埋め込まれている。


 口ぶりも、大人で紳士的。人間でいうならば、上流階級の貴族や、騎士の隊長さんみたいだ。頭部も、騎士の兜みたいな形状をしているしね。隙間から、カメラの光が漏れ出ている。


「グノーディア……厄介なのが出た」

「L2ちゃん、あの見るからにボスっぽいの、知ってるの?」


 L2ちゃんが緊迫した様子で呟く。どうやら、今の私達にとって好ましくない相手みたいだ。


「アレは、元人間のロボットで、最初のマスターの友人だった男」

「も、元人間さん⁉」

「そう。だから頭部には、AIでは無く脳が詰まっている。アールヴが生まれる前から、もう何百年もあの姿のまま。だから、力量はさっきの素人連中と比べものにならない」

「よく分かんないけど、強敵って事だよね!」

「……まぁ、その通り。ティス氏では、まず敵わない」


 そっか~。つまりは、ティスちゃん、大ピンチだって事だね。だったら、そろそろ準備しとかないと。


「おや、そこにいるのは、L2じゃあないですか。いないと思ってたら、こんな所にいたんですね。会いたかったですよ」

「私は、会いたくなかった。少なくとも、彼女達とは会わせたくなかった」


 グノーディアも、こっちに、というかL2ちゃんに気付いた。口ぶりから、どうやら二人は顔見知りみたい。

 まぁ、L2ちゃんは嫌そうな感じだけどね。将軍も、ほとんどお世辞だったみたいで、肩をすくめて、微笑? を浮かべている。まぁ、ロボットだから良く分かんないけどね。


「L2ちゃん、シェリーちゃん。ゴメン、ちょっと行ってくる!」

「れ、怜奈さん? 行くって、何処へ?」

「準備……。貴方、まさか」

「そのまさかだよ!」


 急いで、先ほどまでいたリビングに直行。私の荷物は……。


「あった! 服も、ちゃんと残ってる。これなら、いける!」


 大急ぎで、衣装を着こむ。ブーツを履いて、バイザー被って、完了。


「これで、良しっと。ティスちゃん、シェリーちゃん、L2ちゃん。待ってて、今行くよ!」


 ダッシュで、玄関まで駆けだし、外に出る。お願い、シェリーちゃん達、無事でいて!


「わわわわわ、これ、何かべとべとするぅ~!」

「……不愉快」

「ちょ、ちょっと。引っ張んないでよ! 痛いじゃない!」


 眼前に飛び込んできたのは、ネットに包まれ、苦しそうにもがいている皆の姿だった。


「ご、ゴメンね。鎮圧用ネットは、何故だかそういう仕様なんだよ。本部に着いたらとってあげるから、我慢してね」

「全く、威勢のいいお嬢さんですね。もう少し、おとなしくしていただきたいものです」


 M3君や、グノーディアが、ネットを引っ張って連行しようとしている。このままでは、彼女達がさらわれちゃうよ!


「私の、ロリに、手ぇ出してんじゃねぇぇぇぇ!」

「ゴギュッ!」


 とりあえず、身近にいたM3君の頭部めがけて、全力の飛び蹴りをお見舞いしてやった。そんな乱暴にしちゃダメでしょ! 幼女の扱いが、なってないなぁ、もうっ!


「お待たせ! 正義のヒーロー、サンダー・ドラゴン。ここに参上! 幼女をいじめる奴は、誰であろうと、私が討つ!」


 よし、決まった。ヒーロー、ここに参上なり!


「あ、それってさっきまで着ていた、ヘンテコな」

「ってか、一々着替える暇があったら、早く助けなさいよ。捕まっちゃったじゃない!」

「着替える必要を、認めない。その行為には、何の意味も無い」


 もう、皆分かってないなぁ。ヒーローってのは、遅れてやって来るもんなんだよ。


「おや、そう言えば、もう一名いましたね。どこのアンドロイドかは知らないですが、中々高性能なようだ。油断は、禁物です。行きますよ、M3」

「aruijdyiiisaoないtuhyijaou@dsuo」

「……今の衝撃で、AIがやられましたか。まぁ初めてにしては、頑張った方でしょう」

「当然! この飛び蹴りで、どれだけの悪党を懲らしめたと思ってんのよ!」

「……ほう。勇ましい事ですが、ヒーローごっこは恰好だけにされた方がよろしいですよ。さもないと、怪我じゃあ済まなくなる」


 グノーディアが腰から二本のサーベルを取り出し、二刀流の構えをとる。口調は紳士的だけど、流石は元人間といった所で、M3君達には感じなかった、人間の殺気を感じる。


サーベルからは、ティスちゃんの斬花と同じ様に、光がほとばしっている。多分、人間の私が触れただけで、大火傷するだろう。いや、火傷じゃあ済まないのかも知れない。


「おりゃあ! あーもう、うっとおしい!」


 ティスちゃんが、絡みつくネットを手にした武器で切り裂いた。槍を構え、加勢に入る。


「ったく、素手であんなのに勝てる訳無いじゃない! 助太刀するから、死なない程度に頑張りなさい!」

「やだ、ティスちゃん。心配してくれるの? 早くも、デレ期が来た?」

「……どうやら、まずアンタから切り刻む必要がありそうね」


 睨んじゃ、やだぁ。ゾクゾクしちゃうじゃない。フヘへへ。


「二人掛かりですか。アンドロイドの方は、頭部に気を付ければ問題ないですが、ティス女史は厄介ですね。神武持ちですし、何より傷つける訳にもいかない。大人として、子供を叱らなければいけませんしね」


 あ、やっぱ私ロボット扱いなんだ。って事は、躊躇なくあの剣で斬りつけてくるんだろうなぁ。


 流石に、ちょっと怖いかな。ナイフならともかく、あんな大振りの得物相手にした事ないし。しかも、あの将軍さん、軽々と振り回してるしさ。絶対、とんでもなく強いよ。


「何よ、震えてるじゃない。邪魔だから、とっとと下がってなさい」


 そういう、ティスちゃんだって、斬花を持つ手が震えていた。彼女なりに、恐怖を押し殺しているのだ。その上で、私に気遣ってくれた。

ホントは、怖くて怖くて、泣き出したいんだろうにね。


「怖いのは、お互いさまでしょ。心配してくれたのね、ありがとう」

「な、何よ! いきなり真顔で、礼なんか言ってんじゃないわよ!」

「あ、照れちゃってぇ~可愛いなぁ、もう」


 ま、おかげで緊張も解けたし、この健気なナイト様の為に、頑張らせて頂きますか!


「そろそろ、構いませんか。いい加減、待つのも焦れてきました」

「あはは、ゴメンね。待っててくれたんでしょ、ティスちゃんが落ち着くのを」


 だっておかしいもん。この人、やろうと思えば、いくらでもチャンスあったわけだし。


「さぁ……何の事でしょうか。そんな感傷、体と共に置いてきましたよ」

「にしては、お優しい事ですねぇ、将軍さん」


 やっぱこの将軍さん。正真正銘の人間、それも相当高潔な人だ。

 だから、強敵なんだろうなぁ。強い奴には弱くて、弱い奴には強い小物タイプだったら、慢心からくる隙だらけで、いくらでもやりようがあるけど、そうもいかないみたい。


 アレは、相手が誰であろうと、敬意を持って一部の隙も無く戦うタイプだろう。そういう奴を相手どるなら……。


「全身全霊。一直線にぶつかるのみ!」


 眼前の敵に向けて、一直線にダッシュ。駆け足で剣の届かない間合いまで、一気に距離を詰めるのみ!


 だがグノーディアは、間合いを見切って、私のスピードに合わせて、左腕の剣を振り下ろしてくる。眼前に、炎熱した剣が飛び込んでくる。


 正直言って怖いけど、だからって止まってられない。ここでブレーキをかけたら、今度は向こうから斬りかかってくるだろう。そうなったら、あの剣を防ぐ術は無い。

だったら……。


「威勢は認めますが、その程度の速さ――」

「じゃあ、無いんだよ!」


 眼前で地面を強く蹴り、垂直に跳躍。一気に距離を詰める。


「なっ!」


 予想以上の速さで間合いに入られたグノーディアだけど、瞬時に思考を切り替えたのか、斬りつけるのを諦め、頭部めがけて持ち手で打ち付けにかかった。


「そぉい!」


 ハンマーの様に振り下ろしてくる左腕の手首を掴み、どうにか持ちこたえる。


「ぐ、ぐぅぅぅぅ!」


 だが、相手はやっぱり機械の体。全身の筋肉を総動員して、どうにか持ちこたえているけど、一瞬でも気を抜いたら、そのまま地面に押し潰されそうだ。


 それでも、どうにか持ちこたえる私に業を煮やしたのか、グノーディアが空いた右腕の剣で、斬りつけにかかる。このままでは、私の胴は真っ二つだ。

 でもね。一人だったら、ここでおしまいだったけど、今は違うんだよね。


「お願い、ティスちゃん!」


「何勝手に信用してんのよ、このバカぁ!」

 そう、今の私にはティスちゃんという、心強い幼女がいる。恐怖を乗り越えられる勇気を持った幼女なら、信頼してもいいと思う。


「させませんよ!」

「そっちこそ!」

「⁉」


 ティスちゃんに気付いたグノーディアは、意識が彼女に向いたため、私に乗せる力を弱めた。そのため、体に余裕が出来たので、右足で胴蹴りを放つ。


「い、痛ぁいい」


 正直言って全然効いてなかったし、足超痛いんだけど、意表はつけたみたい。隙を作るぐらいにはなった。


 そしてその隙を、ティスちゃんは見逃さない。


「だらっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 女の子が出しちゃいけない声を上げて、全力で飛び込んだティスちゃんが、手にした斬花で突撃する。グノーディアも、この体勢では避けようが無かったのだろう。斬花が、彼の右腕を両断した。飛び込んだ勢いのまま、後ろを取って間合いを確保する。


「ほほう。そういう手筈でしたか。貴方も無茶をする」

「違う、信頼だよ! ティスちゃんなら、やってくれると信じてたから!」

「……本当に無茶な方ですね、貴方は」


 斬られた右腕が、手に剣を持ったまま宙に浮く様を見たにも関わらず、グノーディアは、平静そのものだった。残った左腕に力を込めながらも、落ち着いた雰囲気で話しかけてくる。

 やっぱ、元人間とはいえ、機械の体なのかなぁ。斬られた右腕からも、血じゃ無くて、グレーの液体が流れ出てたし。


「そいつ押さえときなさい! 一気にとどめを刺してやるんだから!」


 後ろに下がったティスちゃんが、槍を突き出す様に構え、突進してくる。急所に突き刺して、一気にとどめを刺す気みたい。


「それは、困りますね。他はともかく、頭部は代えが替えが利きませんので。その為、いい加減離して頂けませんか、お嬢さん」

「嫌だね。私、ロリコンだもん!」

「私もですよ。ですがアレは、生きていてこそ、愛でられるモノでしてね!」


 グノーディアは残った左腕でティスちゃんに対抗するため、まずは手首にしがみつく私を払いにかかった。それでも、彼女の信頼に答える為に、何が何でも離すもんか!


 振り回されてく内に、私の両手が彼の武器に触れた。振り落とされない様に、剣の柄の部分を強く握る。

 瞬間、彼の剣が纏ってた光が何倍にも膨れ上がった。まるで、私に共鳴しているみたいに。


「え……」

「⁉」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ