再会
街の外れ、林に囲まれた道をどれだけ歩いただろうか。この道の先には小さな孤児院があった。
庭をぐるりと背の低い樹木で囲まれ、その樹木に混じって1人の人影があった。
筋骨隆々で明らかな巨体を一生懸命に縮こめて、樹木に体を隠し庭の中を覗き込んでいる。
「全然隠れられてねぇよ。思いっきり丸見えだ馬鹿野郎」
ビクッ!っと体が震えた巨体の男は、低い樹木の影から声の主を覗き込んだが、樹木に隠れているのは顔だけで、その巨体は樹木の外から丸見えだった。
「な、なんだぁギンジかぁ」
巨体の男はヌーっと樹木から体を起こすと、知った顔の登場に赤い髪の頭をかきながら、安堵の声をあげた。
「なんだぁギンジかぁ…。じゃねぇよ!このクソボブがぁ」
ギンジは叫びながら疾走すると、ジャンプ一番。ボブめがけてクロスチョップを敢行した。
ボブは何食わぬ顔で頭上で両手を握り、真下に振り下ろす。
「ぐべっ!」
ボブの一撃を背中に受けて、ギンジは地面に叩きつけられた。
「だから、ギンジの攻撃は直線的すぎるんだってば…」
「うるせぇ!この犯罪者め」
ギンジは、困り顔で見下ろすボブに悪態をついてヨロヨロ立ち上がる。
「あぁ…そうだった…」
思い出したようにボブの顔が沈んだ。
「逃げる時にね…掴まれた腕を振り払ったら憲兵が転んじゃって、打ち所が悪かったんだろうね…。あぁ終わったなぁって思ったよ」
ボブは、諦めたような寂しい笑顔でギンジを見つめ返した。
「で、死ぬ前に育った施設にお別れでも言いに来たんだろ。お前らしすぎて全然探さなかったじゃねぇか…。馬鹿野郎…」
ギンジはボブの鍛え抜かれた腹筋に拳を一撃入れる。
「ああ、ゴメン…」
「んで、一目見たら戻る気だったんだろ…。馬鹿野郎…」
拳を替えて、もう一撃入れる。
「ああ、ゴメン…」
「帰ったら死ぬんだぞ。馬鹿野郎…」
また一撃入れる。
「ああ、ゴメン…ボスには迷惑かけられないよ」
「馬鹿野郎…」
「ゴメン…」
ギンジの一撃が入る度に力がなくなっていき、最後には、ただ拳が触るだけだった。




