どこかで
日本で1年間に行方不明になる人数は約10万にのぼるといわれている。
だが、これは警察に届けられた捜索願の数だ。実際はほとんどが見つかるがそれでも2,000人近くは見つからないという。
だが、警察に届けがないいわゆる潜伏した情報の数は誰にもわからない。
そういう人たちに紛れて、TOTOが夜の女たちを何かしらの理由で消しているとしたら恐ろしいことだ。
確かに水商売の女が消えて、どれだけ真剣に探す人がいるだろうか…と橘は思った。
家族や友達は、また勝手にどこかへいってしまったと思うかもしれないし、店はよっぽど売り掛けとかがない限りはすぐ諦めるだろう。
彼氏…は、その時の状態によるかもしれない…やっぱり騙されていて逃げてしまったかと思うか、全力で探すか…ただTOTOのような組織ぐるみでやられたら一般人に探すのは無理だろう。
以前、リカというユキの友達と名乗る女は、最後にユキはさなやんと合うことができたと言っていた。ということは、さなやんという人物はどうやってTOTOの情報をつきとめたのだろうか…橘はどう考えても謎だった。
今となっては生死も不明だが、一般人の橘にこれ以上調べるのは到底無理がある。
そろそろ、真田とあって情報のすり合わせをしたいと思った。その上で、山本に相談すれば先に進むかもしれない。もちろんそうなると、山本に真田とサナ、さなやんとユキの話をしなければならないが…
だがあれから真田からの連絡はない。明日は月曜日だから真田も会社に出社するだろう。その時に会おう…橘はそう決めた。
「タチバナさん、どうしたの?」
考え込む橘をみて、マリコは話しかけた。「あ、ああ」と軽く返事を返す。
「でも、マリコさんも大変やね。友達が行方不明で…」
「しょうがないの。でもカンだけど、どこかで元気にやってる気がする。もちろんそのミドリって娘もね」
「そうやね」
「もしかして大金を手に、どこかの海でバカンス三昧だったりして」
マリコはクスっと笑った。橘もおもわず笑みがこぼれる。(そうだな、さなやんとユキもきっとどこかで元気に生きてるよな)橘はなんとなくそう思うことにした




