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後悔するって

結局その後、サナと真田は店を出るとカラオケに行った。むしろ空いてるお店がカラオケしかない状態だったからだ。サナはそのカラオケで真田と歌いまくっていた。

真田にはその歌がなんのかさっぱりわからなかったが、ヒシヒシとジェネレーションギャップを感じてしまっていた。


朝の5時になり、カラオケも追い出された二人は結局、馬場のサナのマンションにタクシーで向かった。タクシーの中ではすっかり遊び疲れたサナがまた真田に寄りかかって寝ている。(ほんとこのシュチエーション多いな…)真田は思わず苦笑いする。いつも2人は全力で遊んでチカラつき、高田馬場にもどるという日々を繰り返していた。


高田馬場のマンションにつくと、真田はタクシー代を払いサナとともに降りた。


「今日は本当にありがとう、わたし、幸せでした!!」


サナは元気にいう。真田も笑う。「うん。うん。」とご満悦だった。


真田は、前の時と同じように自分からサナを抱きしめた。サナの細い体がこわれそうなくらい強く抱きしめる。だが、サナは苦しいとも言わず離れようとしない。しばらくすると真田は


「じゃぁな」


というと体を離す。サナは目をつむっていた。

だが真田はサナのほっぺにキスするとそのまま駅へ歩き出した。


今度は、振り向かずひたすら歩く。


前と違って今日はちゃんと理由がある。


サナの為に、あいつの為に、俺は消える


というかっこいいテーマを自分で無理やりつくり歩く。朝から思い描いていたとおりにしてみたが、これは結構辛いことだと真田は思った。


サナはきっと俺が見えなくなるまで、俺をいつも見送ってくれる。

それは知っている。きっと、また前のように戻れば

暖かく迎えてくれるだろう。もしかしたら今日はひとつになれるかもしれないとも思ったが、とても今日は戻れなかった。


彼女はTOTOに会って自分の道を進むだろう。

その時に、自分がまた必要かどうかはわからない。だが、陰謀などというものに自分が必要なんて思えないし、どう考えてもサナの力になれるとは思えなかった。



このひと月、日記の謎解きに協力するという名目で、真田はサナの近くにいれた。これは神様がくれたご褒美のようなものだ。もうこれ以上そんなものにあやかっていたらバチが当たる。


いや、本当は自分が辛い思いをするのが嫌なのだ。


真田は今日ほどサナを愛おしいと思った日はなかった。



誕生日にちゃんと会ってくれてお祝いさせてくれた


プレゼントも喜んでくれた


そして真田が謎の涙を流したときにみた、強い優しさ…



真田は今日、確信してしまったのだ。

サナを好きになっている自分のことを。だから、ここで苦しまないために舞台から降りる決心をしたのだ。


これからは、橘とともにユキを探そう…そして時計を返して全て終わりにしよう…真田はそう心の中で誓っていた。


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