サナは行く!
真田は、それはそれは驚いた。
橘と2人で探して探して見つからなくて、昨日リカの話してくれた内容により「TOTO」は、店ではなく人であるとやっとわかった所なのに、なんとサナはご本人様に会ったと言ったのだから当然だ。
「それは…どういうこと?」
「う〜んとね…ナンパされた感じ?」
サナはあっけらかんという。サナは、昨日の出来事を覚えている限り話した。かなり無謀なことをしてしまったとサナ本人も大いに反省していたが、珍しく真田は彼女の蛮行に特につっこまなかった。むしろただただ驚いていた感じだった。真田は、自分を落ち着かせゆっくり話し出す。
「おれは、サナにはこの件について首をつっこむのをやめてほしいって昨日思ったんだ…なんかとても闇社会的な匂いがしたもんでな。」
真田も昨日のリカの話しと橘と話し合ったことの結論をより詳しくサナに説明する。しかしどう説明してももう手遅れの感がある。相手がサナ本人と接触してしまったからだ。ご丁寧にお住まいまで、彼女は教えている。これはあかーーんと真田は頭を抱えた。
しかし…なんか話がうますぎる…と思った。だいたいこの広い東京の中で、しかも真夜中の新宿、しかもナンパ という手段でTOTOがサナに接触したという事実は、なんともおかしすぎると真田は思った。
むしろTOTOがサナを最初から知っていて、話しかけるタイミングを待っていたという方が自然だ。橘のはなしでは、真田と橘はマークされているという。となればサナの情報だって当然知っているはずだ。
「私、明日行ってみようと思うの。このTOTOって人のとこ」
サナがまたさらっと恐ろしいことを言った。真田は、即座に「やめろ!」と言ったが、サナは頑として首を縦に振らない。
「もう家もばれたし、なんかされるんならにげれないっしょ。だったらこっちから乗り込んでやるわ〜」
その言い分をきいて、真田は(これは、なんかあるな)と思った。こいつはなにか目的があると…日記のユキもそうだが彼女も大金に惹かれているんだろうか…どちらにしてももはや、サナを止める手段を真田は持ち合わせていなかった。
「じゃ、俺もついてこうか?」真田は諦めの声で言ったが、サナは大丈夫だよと小声で呟いただけだった。
「ほんとに、大丈夫だから!あ、でも新宿にはいてね。終わったらご飯行こうよ」
サナは、すこし元気な声を絞り出して言った。真田も「それはもちろんいいけど…」と若干不満げに言う。
「多分だけど…私になんかしたかったら昨日の時点でしてるはずでしょ?なんと言っても車に2人っきりになったんだし」
「確かに。でも…もうそういうのダメ!」
「…へっ?」
初めて怒られたとサナは思った。まぁ普通に怒られて当たり前のことをしたのだが、真田が自分に怒るのは意外に思えた。
この人なりに一応心配してるんだと思うと意外ですこし笑ってしまう。
「なんで笑ってるんだよ!」
「まぁまぁ、元をいえばしんちゃんが、リカって娘とアフターとか行くから悪いんじゃん。」
「げっ?」
「だってそうでしょう?あのまま店で話すとか、電話でいいじゃん。そしたらあの後も一緒に入れたじゃん」
「それは、理由が…」
「どんな理由よ」
真田はこの時初めて、サナの素晴らしい口撃をうけていた。畳み掛けてくる素晴らしい口撃だ。落ち着いて考えれば、小学生でもしっている「知らない人についていっちゃいけません」というフレーズを全く無視した挙げ句、すっかり問題をすり替えられ真田が悪いことになっていた。
「まぁまぁ…」真田がしょうがなく折れる。サナは「別にいいけど、と、いうわけだから明日いってくるね」
と、真田は行くことを応援しなければならない了承せざるをえない状況に追い込まれた。
でも、こういうとこがおもしろいなぁと真田もやっぱり最後は笑ってしまった。
「ねぇねぇ、しんちゃん、みてみて!」
サナは急にTOTOの名刺を見せた。ちゃんと住所と、携帯だが電話番号も書いてあった。真田は、橘からもらったiPhoneのことを思い出し、写メをとって橘に送った。その後まじまじと名刺を見た。
「しかし、店の名前も結局TOTOか…。」住所を調べてみたが、JR新宿駅の東口を出てすぐのところだ。池袋のマクドナルドは結局、アテが
外れたなと思った。
「明日、TOTOと連絡がとれたら、すぐに時間を教えて」真田はサナをまっすぐにみてそう言った。
「うん。もちろん!でも…池袋じゃなかったね。それが意外」
「だな。でもTOTOに会えば、全部解決するんじゃない?」
真田がそう言うと、サナは首を横に振る。
「いや!ダメ!絶対に終われせない!私の誕生日までは!!」
真田はばからしくなり、いつの間にか店員が持ってきたジンジャーハイボールを一気に飲み干した。




