↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Subjects Runes【完全版/累計800万PV】~高速詠唱×現代知識で貴族社会を成り上がる戦記ファンタジー~  作者: くまひこ
第4章 王国の剣メルクリウスの帰還

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/242

第114話 メルクリウス領の青写真

 楽勝だと思ったクロリーネのサポートが失敗し、家族からキモオタ扱いされた俺。


 だが焦ることはない。アルゴにはこれからゆっくり理解させればいいし、今は領主の仕事に専念する。


 プロメテウス城3階の一室を領主の執務室として使っているが、今日はその部屋に両親とフリュの4人で集まり、新しい領地運営方針を立てる。




 さてメルクリウス男爵家の領地だが、城塞都市プロメテウスの西側に広がる丘陵地帯しかなかった所に、城塞都市ヴェニアルの東側全域と王都へ繋がる街道沿いの平野が新たに加わった。


 またヴェニアル子爵の臣下だった二つの騎士爵家アドリテ家とマルティー家がそのまま俺の臣下として忠誠を誓ってくれた。


 結局ウチが手に入れたのは旧ヴェニアル領の1/3だけだが、元が山地ばかりで平地の少なかった状況から見れば、実質倍増以上の領地拡大に感じられる。


 そんな中でソルレート領からの亡命者たちが住む街を新たに建設することになるが、今回の領地の拡大によりその場所が決まった。


 旧ヴェニアル領の北部に位置するマルティー騎士爵領の最北端、マーキュリー伯爵支配エリアとの境界にもほど近くに、王都方面への取引を行うための商業・物流拠点、そして職人たちを集約した家内制手工業の拠点となる新都市を建設することにした。


 その名称も商都メルクリウス。


 また今回の領地拡大を機に、領地の名称を旧来のプロメテウス領からメルクリウス領へと変更する。




 そのメルクリウス領の主要産業だが、


領都:城塞都市プロメテウス

   主産業:商品取引所、物流、鉄、酪農

都市:城塞都市ヴェニアル

   主産業:物流、穀物、木材、石炭

都市:商都メルクリウス

   主産業:物流、穀物、木材、手工業製品

街 :アドリテ

   主産業:穀物

街 :マルティー

   主産業:木材、鉄



 アドリテ、マルティーは生産に特化させて効率化を図り、小売りを除く商業機能を商都メルクリウスに集中させる。


 かなりの大掛かりな引っ越し作業になるが、穀物相場で得た潤沢な資金もあることだし、公共投資に資金を投入することで経済の活性化と雇用対策にもなるだろう。


 一方、城塞都市プロメテウスは完全に自領の中に入ってしまい、防衛拠点としての役目がなくなり最も安全な街となった。


 そのため取引所は商都メルクリウスに移さずここに残して、帳簿取引の品目も木材、石炭を追加して穀物、鉄と合わせて4品目に拡大した。


 もちろん現物取引の品目も多岐に渡り、アージェント王国有数の人、モノ、カネの集積地を目指していきたい。




「父上、領地の治安の状況は?」


「旧プロメテウス領内の盗賊はほぼ一掃したが、旧ヴェニアル領内はこれからになる。こちら側に逃げた賊もいたので結局全部倒さないといけないことになったな。やれやれだ」


「それなら前と同じで、治安維持部隊と騎士団が連携して進めた方がいいね。それで騎士団の整備はどう」


「旧ヴェニアル騎士団から800騎が加わったので現在は1500騎。規模だけなら男爵家の標準的な水準に到達したから今度は治安維持部隊の拡充が課題だな。それとアドリテ騎士団とマルティー騎士団のそれぞれ100騎がウチの戦力として数えられる」


「了解。あと、城塞都市ヴェニアルと商都メルクリウスのそれぞれを治める代官を置きたいんだけど、ウチの分家筋で誰かやってくれる人はいないかな」


「確かに代官は必要だが、まじめにやると結構な激務だぞ」


「ウチの親戚はみんな大雑把だし、誰もやりたがらないか・・・」


「いや、騎士爵位をくれてやったら、やりたいヤツはいくらでもいるぞ」


「爵位ってそんな簡単に授与できるんだ」


「簡単じゃないけど、男爵以上は国王陛下が授与するが騎士爵位は伯爵が授与できるから、アウレウス伯爵にお願いすればいいんじゃないか」


「おそらく大丈夫だと思います。お父様に騎士爵位を2つお願いしておきますね」


「じゃあ代官の人選は父上に任せる。次に旧ソルレート領の革命軍の動きについて、何か情報は入ってる?」


「ジルバリンク侯爵を始めとしたシュトレイマン派の貴族たちが鎮圧に向かったらしいが、革命軍が未だ領都を占拠したままらしい。このまま新教徒どもが勢いづけばアージェント王国の各地に飛び火しかねないため、だいぶ焦っているようだ」


「近隣の領地にも被害が及んでいるとか?」


「ああ。ベルモール子爵やロレッチオ男爵の領地がそこと隣接しているが、暴徒が村を襲わないよう騎士団と自警団が連携して守りを固めているらしい」


「ウチは城塞都市ヴェニアルがあるから、暴徒が入り込む心配がなくて良かった」


「外から入ってくる分にはまず大丈夫だが、新教徒の活動家なんかどこにでも潜んでいるし、どこから暴動の火の手が上がるかわからん。やつらの裏工作には注意しておいた方がいい」


「分かった。貴族だけでなく領民の草の根レベルの情報網も構築しておく必要があるな。母上とフリュは旧教徒の教会や各ギルド長に相談して、何か方策がないか検討してみてくれないかな」


「分かったわ」


「お任せください」



          ◇



 週末領主を終えた俺は、週明けフリュとともに再び学園に戻って新年最初の魔法実技の授業に臨んだ。


 この日も、魔力の向上を目指して様々な属性の魔法を順に発動させる訓練をしていたのだが、何かいつもと様子が異なる。


 というのも自分の属性以外の魔法の発動には大量の魔力を必要とするため一日にできる練習量は限られているのだが、冬休み前に比べて練習できる量が明らかに増えていたのだ。


「もしかして属性が増えたのか?」


 俺が呟くと、隣にいたフリュも小さく頷いた。


「アゾート様もですか。この感じはおそらく属性が増えてますね」


「フリュオリーネさん、本当なのそれ」


「ええマールさん。わたくしは元々、水、風、雷、闇の4属性持ちなのですが土属性の魔法発動で魔力消費量が減っている感覚です」


「じゃあ先生に聞いてみようよ。シュミット先生~」


 そう言うと、マールが先生を呼びに行った。





 シュミット先生が、魔術を測定する水晶を持ってきた。


「じゃあ、順番に測定していくぞ。まずはアゾートからだ」


 俺が水晶に手を触れると、いつもの赤と茶色の光の他に黄色の光も灯った。


「アゾート、お前に雷属性が増えている上に魔力も240ある。この冬休みに一体どんな特訓をやったんだ」


「魔力を使ったのは管理戦争を戦った時ぐらいですけどね」


「そうか・・・じゃあ次はネオン」


 ネオンが水晶に手を触れると、俺と同じ黄色い光が増えていた。


「ネオンもアゾートと全く同じ結果だ。ていうかお前たち二人はいつも同じだから、どちらか一人だけ測定すればいい気がしてきた」


「それはないですよシュミット先生。こいつは俺のライバルだから、ほんの僅かな優劣の差で一喜一憂したいんですけど」


「僕は何でもアゾートと同じがいいので、先生のその扱いはむしろ望むところ」


「じゃあ次からはアゾートだけ測定な」


「なんでやねん!」


「それでは次、フリュオリーネ君」


 フリュが水晶に手を触れると、青、緑、茶、黄、紫の5色が光輝いた。


「おおおっ、すげぇ」


 周りからは感嘆の声が聞こえるのもそのはず。5属性持ちなんてめったに見られるものではないからだ。


 結局フリュは火と光以外の属性を手に入れたが、光と闇を同時に持つことは聖女以外にできないため、一般には6属性持ちが最高とされている。


「フリュオリーネ君の魔力は400だ。公爵家の血筋とはいえ2年生の段階でこの魔力は尋常ではないな・・・次、他にやりたいものはいるか?」


 フリュの後だと必ず見劣りするため普通は嫌なんだけど、元気に手を上げる猛者が現れた。マールだ。


「マールも風属性が増えているな。魔力も120あるし、フリュオリーネ君の後だからあまり目立たないが、騎士爵なのに1年生のこの時期に3ケタは普通にすごい。では他にいないか? 冬休みにアゾートと一緒にいたやつらは全員調べておいた方がいいぞ」


 先生に勧められてダン、アネット、パーラも測定したが、3人は属性こそ増えていなかったものの、魔力がそれぞれ70、150、140と上昇していた。


 魔力が「ないこともない」程度に低かったダンが倍増させて一気に1年生の平均を超えて来たため、しきりに首をひねりながらアゾートに尋ねた。


「俺は冬休み中に魔法をほとんど使わなかった。なのにどうなってるんだアゾート」


「だよな・・・管理戦争以外に変わったことと言えば、もしかするとジオエルビムの影響かもしれない」


「あの古代都市か・・・」


「ああ。魔導コアの暴走を止めに行った時に、強烈な魔力の奔流に曝されただろ。もしかするとあれが原因じゃないかな」


「確かにそれしか思い当たらねえな」


 そんな俺たちの会話をシュミット先生が聞いていた。


「そのジオエルビムとは何のことだ」


「まだシュミット先生には言ってませんでしたが、冬休みに俺たちが発見した古代魔法文明の遺跡のことです。まもなく王国魔法協会から正式に発表されるはずです」


「ほう、古代魔法文明か! そんな面白そうな事を冬休みにやっていたのなら、今度ゆっくり教えてくれよ」


「え、興味あります? 分かりました、発見者であるこの俺が先生の質問に全て詳細にお答えします。早速今から先生の研究室で」


「やっぱりやめておこう。お前の話は長いから、今度別の者に聞いておくよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。