35 不思議空間の存在
ここは国王の執務室にある応接室だ。国王、宰相、第二王子、ギデオン様、私とジャスしかいない。
「またお前たちか。いろいろと判明することは歓迎することなのだが、その度忙しくなる。お前たちは我を過労死させるつもりか。」
ギロリと睨まれた。主に私が、なんで。
「まあまあ陛下。おかげで貴重な建物が失われなくなるのです。我々も頑張りますよ。」
宰相さん、頑張ってくれてありがとうございます。だわ。
「そうだがな。で、今までわかったことは何だ。」
第二王子が説明する。
「今のところ王宮・冒険者ギルド・商業ギルド以外の建物で、見つかったのは図書館です。さらに両ギルドの資料室と図書館等に付与されている魔法は劣化防止です。冒険者ギルドの解体場にある部屋は拡張魔法でその一角に時間停止の部屋があります。手前の拡張魔法部屋に人は入れますが、長時間居ると体調を崩すらしいです。時間経過停止の部屋ははいれないため、ドアを開けて放り込んでいるらしいです。商業ギルドも同じです。王城については後で説明します。現在も不思議空間が機能しているのは、付与された魔石に魔力が常に集まってくるからです。」
王城は、秘密らしい。
「ただ王城には、昔ながらの習慣で係がいます。過去に魔力係を廃止した部屋がないか調べています。各部屋の魔石を取り出して調べてはいないのですが、私たち三人の鑑定で、拡張部屋、時間停止、劣化防止の三つの魔法名が出ているので確定と思っております。ですがこの三つの魔法を使える人間が居ないのが最大の問題です。さらに解明しておりませんが、それらの魔石は周りの魔力を吸い込んでおります。この魔法は見当もつきません。拡張魔法は三人とも使えますが、魔力が続きません。なので魔石が重要なのでしょう。将来に魔力を付与できるよう努力していきますが、うまくいっておりません。三人共ライトならすぐ付与できたのですが、複数の魔法を一つの魔石に付与するのが、なかなか成功しません。付与魔法の得意なアールベアル公爵家令息から勉強中です。」
「今まで、魔石は使い捨てでしたし、付与された魔石に魔力を注いで継続的に使用すること。さらに一つの魔石に付与を重ねがけするなど考えたこともありませんでした。なかなか成果が出せません。申し訳ございません。」
ギデオン様が国王にこうべ垂れている。
「いや今回のことは歴史に名を残すほどのことだ。よくよく心して臨んでくれ。」
宰相は
「使い捨ての魔石の付与魔法を継続可能にする。それだけもだけでも大発見ですよ。」
慰めてくれた。
魔石って使い捨てだった。なんてもったいない。でも屋敷の光とか寮の光の魔石を取り替えたことがない。どうしてだろう。考えているうちに、王様との会見は終わった。これから冒険者、商業ギルドとの会議だそうだ。もちろん私は参加しない。するのは当然第二王子だ。頑張れ、殿下。
疑問をジャスに聞いた
「あー。あれは一晩だけの使い捨てだ。くず魔石(小さい)を使っているしギルドや国で価格を調整している。ギルドでは赤字が出ない程度に買い取っているし買取の上限数が決まっている。付与するのもライトは簡単で魔力も食わないから引退したものとか奥様の小遣い稼ぎになっているぞ。俺もやった事がある。家では使わない部屋には使用してないし、必要な部屋は夜になる前に取り替えてある。ちなみに使用人は自前だ。使い終わった魔石に魔力を注いだことはないぞ。」
知らなかった。今度やってみようとなった。だって、父様や母様が生きていた時は魔力を使った照明なんて知らない。暗くなったら寝るんだよ。
各ギルドとの会談の結果は
『商業ギルド、冒険者ギルドの資料室や倉庫等には現在再現できない魔法が施されている。その内容は不明だが建物等を壊してしまったら再建は不可能。また国立の図書館にも同じような魔法が施されている。』
以上の内容が各国にも発表された。ついでに詳しいことは我が王国への一言も秘密裏に添付された。
我が国では、他にもあることを期待した。
『不思議なことが起こる建物や部屋不思議な空間と思える場所があれば教えてほしい。その空間が本当に不思議空間であれば、金一封を進呈する。』
発表後、宝探しのようになってしまった。そして唯一不思議空間と認定されたのが教会だった。教会の付与魔法は浄化だ。ただ教会はそれ以上の解明を良しとしなかった。
「教会が人々の心を癒す存在と証明されたことは喜ばしい事ですが、我々は過去の偉人たちの功績の上に立っているに過ぎません。これからも人々の心に寄り添い続けるだけです。」
すごい。さすが聖職者だ。欲まみれの私と違すぎて、ちょっぴり神様に懺悔してしまった。でも、この教会は、前に学院に教師を送り込んできた教会とは別の教会だった。やっぱりね。
国の資料のおさらいの結果、忘れられた不思議空間があった。備蓄倉庫だ。残念なことに魔石はかれてしまっていた。そこで国所有や各領地の倉庫を古い建物を中心に調べることとなった。
そうそうオフレコなのだが、王城の一部に劣化防止が施されているところが見つかった。そこはなんと秘密通路だ。第二王子が私だけに教えてくれた。
「王族以外口外禁止だ。」
そりゃそうだわ。王城ってかなり古いんだ。聞けば、建国前から立っていたらしい。だから、誰が建築したのか、不明だそうだ。
我が家の秘密通路は?
残念なことに魔法は付与されていなかった。
少しずつ不思議空間が分かってきたが、魔法袋は頓挫している。特別に宝物庫にある魔法袋を見せてもらったが、鑑定ははじかれた。魔石もなかった。
ただ魔法袋の布に魔力を感知し、布に魔石が鏤められているのを発見した。だが、私たちは、魔石を鏤めた布に魔法が付与できなかった。ならと付与した魔石を砕いたら魔法が失われてしまった。
魔法袋の作成は煮詰まっていた。
あと二話です。
とうとう、魔法袋が成功します。
最終話は、ヴィアンカの結婚です。
最後まで、お付き合いください。




