34 各ギルド見学
ここは冒険者ギルドだ。建前は第二王子と王女の私が冒険者ギルドを視察する。だからここが終わったら商業ギルドにも行く予定だ。ドアを開けて受付カウンターへ進む。そこには、いかつい男性と受付嬢らしき女性が待ちうけている。数歩進めてご挨拶しようとした。
したら、横から
「ここは良い所のお坊ちゃんお嬢ちゃんが来るとこじゃないぞ。冷やかしならとっとと帰りな。」
ほう、これが定番の言い掛かりかと思って、振り向けば、
「やあ、久しぶりだな。相変わらず初心者にちょっかいだしているのか。」
「ジャス。お前、冒険者やめたって聞いたぞ。」
どうやらジャスの知り合いらしい。この男はジャスに任せて、殿下と私はご挨拶だ。
「第二王子殿下、ヴィアンカ王女。よくいらっしゃいました。ここのギルドマスターです。」
「仕事中すまんな。視察を受け入れてくれて感謝する。」
殿下とともに少し頭を下げる。上に倣えって楽で良い。
「殿下?王女?」
「そういうことだ。余計なことはしない方が良いぞ。クビが飛ぶぞ。物理的にな。」
後ろで物騒なことを話している。貴重な経験をさせてもらったんだから、クビなんて要らないよ。
冒険者たちが
「殿下?王女?」
と、おののいている間にギルドの応接室へ。すぐに例の部屋を見せて欲しかったけど、ギルマスから何か話があるらしい。
実はギルドもギルドの不思議な部屋の詳細は分かっていない。誰が作ってどうやって維持しているのか、文献を調べても出てこないらしい。
ちなみに王城では、係の者がある場所で魔力を放出する。でも。冒険者ギルドでは特にそんなことはしていない。謎が増えたが、とにかく見学することにした。
ギルドは三階建て。
三階は、ギルマスの執務室とか持ち出し禁止の資料室やさっきの応接室。他に職員のための部屋があり、基本部外者は立ち入り禁止だ。何も変わった感じはしなかったが、資料室だけはなんとなく空気が違った。
殿下、私、ギデオン様、ジャスが資料室に入る時一瞬立ち止まる。ギルマスは不思議そうな顔をしていた。私たち四人は何かある気がしている。
二階は冒険者用の資料室と会議室、研究室が大小に分かれいくつかある。二階は何の違和感も無く見学終了。
一階は受付と例のクエストの広場と酒場の食堂だ。ここも変わりはない。あとは解体場だ。
いよいよ本番だ。ギルマスは
「決してきれいな場所ではありませんよ。」
私の顔を見て忠告してくれた。
「ご心配ありがとうございます。でも大丈夫です。」
軽く流して、いざ、
覚悟して足を踏み入れたのに血のにおいがしない。血生臭くはないけど、大量の血が流れている。この血ってどこに行くのだろう。でも魔力をプンプン感じる。唖然としてしまった。
ここは、例の匂いを消す魔法が施されている。私が最初に習った魔法だ。毎日同じ時間に魔法を唱えるらしい。そうしないと、たちまち血生臭くなろと言う。でも、この魔力は異常だ。
「大丈夫ですか。」
またもや、ギルマスに心配された
「大丈夫です。魔力が溢れているので圧倒されてしまいまして。」
殿下とギデオン様も頷いている。でも、他の人たちはエッて顔してる。ジャスまでエッだ。ギデオン様から、
「ジャスは魔力のみを感じてみろ。ここはこうなんだという概念を捨てるんだ。」
ジャスだけでなく、この場に居る一同が手を止め魔力を感じている。その中で、さすがギルマスだ。
「なんだこの魔力は?」
真っ先に気がついた。ジャスも気がついたようだ。
「ギルマス。例の部屋の案内を頼む。」
隅のドアを開けると、そこには魔物の死体がゴロゴロと転がっている。それも、今死んだばかりという状態のものだ。しかし、部屋の中に入ろうとすると入れない。
「この部屋は誰も入ることができないのです。このドアを通じて出し入れしているのですが、不思議なことにドアより大きいものも入れられることが可能です。そして腐る事がない。先ほども説明しましたが、その原理は不明です。」
ギルマスの許可を取って全属性の三人で鑑定をする。ギデオン様もしている。ついでにギルマスも。
結果は、築年数不明(かなり古い)いろいろと付与された部屋。とか、現冒険者ギルドの建物と出た。いろいろと付与されているけど、そのいろいろって何?それが知りたい。
「なるほどここだな。」
ギデオン様だけが納得している。
「ギデオン。何かわかったのか。」
「殿下、ここに何か埋まっているようです。魔力が集まってきています。」
「どうして?いや今はいい。ここだな。」
改めて一点に集中して鑑定する。
「なんと。」
「そういうことか。」
「これは。」
見学組で納得していると、ギルマスが
「こんな風になっているのか。」
さすがギルマスだ。
不思議なことに、この解体場に魔力が尽きることなく集まってくるのだ。その魔力は一点に集中している。集めているのは巧妙に隠された魔石だ。
「ギルマス。それ以上は口外禁止だ。あともう一度三階の資料室を見たい。」
再度の見学後、応接室でお茶をいただいている。まだ商業ギルドの視察が残っているのに疲れた。お茶がおいしい。
一息ついたところで、殿下がギルマスに釘をさす。
「ギルマス。今日わかったことはしばらく口外するな。もちろん冒険者ギルドの本部にもだ。」
「それはいつまでですか。すでに建て替えたり建て替えを検討している支部があります。発表しなければ解体場以外の貴重な建物が失われます。」
「それは理解できるが、ここで決定できる事案ではない。」
それでも食い下がるギルマスだ。
付与魔法がある解体場の建物は、秘密でもなく冒険者なら誰でも知っている。なら新発見として三階の資料室も同じだとだけ発表することで手を打った。発表は遅くても一か月以内とした。発表に先駆け、冒険者ギルドの上層部との会合を行うことになった。これからの商業ギルドの視察結果により、商業ギルドも参加することになる。
実は、他の各ギルドにも視察に行き確認したが、どれも設立が新しく建物も特別仕様はなかった。
結局、不思議空間があるのは、冒険者ギルドと商業ギルドだけだった。
ちょっとマジックバックに近づいてきた?
近づいたのかなあ?
あと、三話




