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孤児になった私が貴族⁉ 事故死した父が公爵家、母が男爵家出身だった。  作者: 田舎娘


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 33 魔法袋作成開始

 新年会も無事に乗り越え、ダンカンやランディーも帰って行った。行きも帰りも船を利用している。川の上流になれるためだ。もちろん、その時に絹糸を持ってきてもらっている。塩の精製も許可が出ているので、ダンカンに精製方法を教えておいた。

「こんな簡単に……。」

 驚いていたが、上質な塩の精製は、アンビー地区の頑張りにかかっている。私に教えられるのは、海水をろ過して水分をとばすことだけだ。でも、確か、にがりを取る方法があったはずだ。水分を全てとる前に再度ろ過するんだったはず。もし、苦みが強ければ、遠心力で水分を飛ばして~?取り合えず、布にくるんでくるくるしてみてと言っといた。正し、正解かは分からない、とも。

後は、ダンカンとレオに任すしかない。頑張って。



 私は、領地のことは頼りになる仲間に任せて、学院生活を満喫することにした。

 今は、学院の三年生初頭だ。私の目標はマジックバッグを作ること。

 担任はもちろんジャスだ。さらに学院一魔法に詳しいギデオン様も加わった。

「付与魔法が重要らしいな任せろ。」


 殿下からは、注意事項が飛ぶ。

「完成までは他言無用だ。魔法袋は良いことにも悪いことにも使われる。完成すれば領土を拡大したいと思う輩も現れるだろう。国として魔法袋は重要だ。そして他国にはその製造方法は秘密にしたい。この授業は国へ逐一報告される。もしそれが嫌だったら魔法袋は諦めることだ。」

 諦めるつもりはない。報告されても問題無しだ。



 最初の授業は今できることのおさらいだ。

 空間の拡張はできるが、魔力が続かない。魔力を使わずに維持できる方法は?

 時間経過はストップの魔法応用でなんとかなるが、やはり魔力を必要とする。

 重さ軽減は全く目処が立っていない。


「待て待て。魔力さえあれば重さを除外した袋は完成するのか。」

 ギデオン様が慌てている。

「できますが維持できません。ですから完成ではないのです。かなり魔力を食うんです。」


 見てみたいと言うのでジャスが作る。魔力量は少ないが、三人で一番魔法操作に長けている。私や殿下は、まだジャスにおよばない。ジャスの作った魔法袋もどきを興味深く調べているギデオン様だ。

「これだけでもすごいな。魔力食いさえクリアできれば、重さ軽減がなくても国中、いや各国が欲しがるぞ。」

「でも、これじゃあないんです。これじゃない。」

「ヴィアンカ、其方はどこを目指しているんだ。わかるように説明しろ。」

 私の叫びを殿下が窘める。

 今作れる魔法袋もどきは、魔力を込める本人でしか使えない。何より魔力を常に必要とする。つまり

「誰でも使えて、魔力を食わないものが完成品です。それ以外は考えられません。」

「「「贅沢だな。」」」

 私の願いは、むなしくも無視された。

 一番の問題は魔力の維持だ。


「ジャス先生、冒険者ギルドにある拡張部屋は、どうやって維持しているのですか。」

「あれは、どうしているんだろうな。」

 当たり前すぎて知らないらしい。

「殿下、王城にもありますよね。どうしているのですか。」

「私は詳しくはないが、毎日係りの者が朝のお勤めだと言ってなんかしているぞ。」

 ギルドでも何か当番があるのか?

 殿下には、お勤めの詳細を宿題だ。次回はギルドに見学だ。それまで各自であれやこれやと考えることになった。


 それにしても、

「ジャス先生。生徒みたいですよ。」

「仕方ないだろう。オレは人生は長いが、貴族としては一番下っ端だ。さらに、教え子が、雇用主だぞ。オレの立場も考えろ。」

 それもそうだ。ここは、素直に

「ゴメンナサイです。」

 ジャスが驚いている。なんで?


「お嬢。あった頃より穏やかな顔つきになったな。」

「エッ。」

 ジャスの言葉を聞きつけた殿下とギデオン様が不思議そうにしている。

「ジャス。大人になったということか?」

「イイエ。」


 ジャスによれば、出会った頃の私は、気持ちがピーンと張りつめていて、ちょっと触ると切れそうなほど余裕がなかったらしい。労わると、それがきっかけでどうにかなりそうで、心配だったらしい。

「うん。成長したんだな。そう思うと、兄さんは嬉しいぞ。」

 誰がお兄さんだ。私は一人っ子だ。

 でも、考えれば、七歳からジャスは側にいてくれた。あの頃の私を支えてくれたのは、ジャスとリリーだ。伯爵家で働くときも、すぐに承諾してくれた。家族みたいなもんかも。

「これからは、お兄様とお呼びしてよろしいですか。」


 ギョとしたジャスに吹き出しそうになった。それでも、ジャスに頭ポンポンされた時は、泣きそうになってしまった。

 殿下とギデオン様まで、

「ヴィアンカは、この年で結構苦労しているんだな。」

「あらためて考えると、十五歳にして波乱万丈か。」

 だから、

「そうですよ。牢にも入ったことがありますしね。」


 それからが大変だった。変に労わられ、居心地の悪い思いをしてしまった。

 なんだか、三年生の初めての授業は、私へのご機嫌取りになってしまった。


「ジャス先生、授業をしましょうよ。」

「次回は、冒険者ギルドと商業ギルドの見学に行きますよ。」

 だってさ。


冒険者ギルドと商業ギルドで何かヒントがあれば良いな。期待しよう。


あと四話です。

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