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孤児になった私が貴族⁉ 事故死した父が公爵家、母が男爵家出身だった。  作者: 田舎娘


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 27 王族の闇

 朝から叔父様と一緒に王宮だ。ジャスとリンダも一緒だ。


 待たされることなく謁見の間に通された。私が想像していた謁見の間よりこじんまりしている。それに陛下と第二王子と宰相しかいない。普通護衛とかいるよね?なんてボーとしていたら公爵の挨拶が終わったようだ。ジャズにつつかれた。


 私も、ご挨拶しないと。

「ヴィアンカでございます。この度は色々とご配慮頂きありがとうございます。また、我が領内で大変な事件を起こしまして申し訳ございません。」

「いや。そなたたちのおかげで解決したようなものだ。謝罪はいらない。」

 宰相に続いて、第二王子も

「あの後いろいろとあってな。長くなるし座りなさい。」

 ジャスとリンダも座った。私たちにお茶を出した後、メイドは出て行った。しかし話が進まない。無言だ。それが続く。たまりかねたように国王が

「すまんな事件の解決は大いに結構だ。だが、その黒幕がな。さすがに疲れてな。」

「陛下。話がわかりません。」

「すまんな、公爵。だがなあまりにも衝撃的でな。」

「父上、私から説明致します。」

 第二王子が話をまとめる。


 高位の貴族が関わりがあるだろうとは予想した。第二王子が指揮を執りその特定を急いでいた最中、レイナードから連絡が入った。ボルトケ領で束縛した領主の姉と名乗る女が、

「これは王族からの依頼であり自分たちは手足に過ぎない。」

 と主張し始めた。現在の王族は、国王・王妃・王太子・第二王子の四人だ。だが四人とも身に覚えはない。奴隷を買ってどうこうする時間などない。頭を悩ましながら出した結論は、王族でない王族が一人いる。秘密裏に調査したところビンゴ。すでに毒杯を賜っているそうだ。

「まさか…。」

「あの方が…。」


「彼の言い分は研究がしたかった。三属性のうち二つは発表していたが、残る一つは公になっていない。残りの属性は精神魔法だそうだ。」

 王が静かに語り始めた。


「あの人は小さい頃から解明されていないことが大好きでな。そこに自分の持つ精神魔法だ。文献にも詳しく載っていない。載っていたのは、禁句とか封印せよとかだった。最初はどんな魔法なのか知りたかったらしい。周りから使ってはダメだと言われるので、内緒で独学で練習したそうだ。そして精神魔法は人の意識を乗っ取る魔法だと分かった。禁句だの封印だの言われるはずだと思ったそうだ。それでやめておけばいいのに、どこまで人の意識を乗っ取れるのか興味が出てしまった。」


「さらった者を…。」

「そうだ。王都に連れてこられた者は、その実験に使われたらしい。奴の屋敷の地下室から遺骨が出てきた。あいつは表向きは身内の罪を嘆いて、自ら王族を放棄したことになっている。実は王族の仕事から逃れるためだった。研究にすべての生活をかけたかったらしい。研究のため王族を捨てたのに、王族の特権は享受した。学院長の立場も都合が良かったようだ。最後に何と言ったと思う。『私の研究成果はきちんとまとめてある。後世に役立ててくれ。』だよ。彼奴は自分が悪いことをしたとは思っていても、それは研究のための必要悪だと思っている。あくまでも研究第一だったのだ。研究しか頭になくて、だから鑑定の新発見は素晴らしいと心から褒めていたぞ。どこで間違ったんだろうなあ。」


 続きは宰相だ。

「他に与した貴族家はありませんでした。彼に踊らされていただけの家はありましたが、全く知らなかったようです。最初はカムフラージュのために他国へ奴隷として数人連れて行くよう指示を出したようです。ですが、二人の領主が金に目を眩み、規模を大きくしてしまったようです。これにも『馬鹿を手足に使って、己が馬鹿になってしまったようだ。』と。ヴィアンカ様には大変申し訳ございませんが、事実を公にすることはできません。幸い彼には家族はいませんでしたので、病気が発覚して陛下が離宮にて養生させたが儚くなったとなります。ご理解ください。またヴィアンカ様は被害者への賠償を考えを考えと聞きました。それは王家が補填させていただきます。彼の財産ですがね。表向きは、王家がフローラル領への貸し付けになります。ただ、お返しして頂かなくて結構です。」


「フローラル領に全ての責任を押し付けるつもりですか。」

 叔父様が、少し声を荒げている。

「はい。幸い代官も前領主の一族でした。前領主一族の犯罪を領主自ら解決し、全く関与していないのに領主の責任を感じ賠償する。ヴィアンカ様に瑕疵がつかないようにいたします。」

「代官を勧めたのはどなたですか。」

「あれは学園長として生徒の状況情報を詳しく知る立場だ。ゲルツン領主の庶子がいたことを思い出し、偶然を装ってな。代官のなり手が無く困っている者にゲルツン領出身の優秀な卒業生が文官として国に仕えていると呟いたらしい。もともと田舎の領地だ。手をあげる者だといなかったこともあり、出身地だからと無理やり引き受けさせたらしい。事前の調査では一族との繋がりは分からなくてな、国にも任命責任がある。その意味でも賠償金は国が出す。」

「ヴィアンカ嬢いやナイシール伯爵。現在、王太子がかの国へ赴いている。塩のことや川を使っての運送も速やかに許可が出るようになっている。申し訳ないが堪えてもらえないだろうか。」

 第二王子も口をはさむ。さらに陛下まで

「いろいろと思うところはあるだろうが、よろしく頼む。」

 陛下、第二王子、宰相三人で頭を下げられてしまった。よほどがない限り国王に頭を下げられるなんてないだろう。

 学院長のことが表に出れば、王国にヒビが入るのは必須だ。国が荒れると苦労するのは国民だ。モヤモヤはするが仕方ないか。


「陛下。この沙汰はあまりにも一方的です。事情も状況も良く分かります。ですが、ヴィアンカはまだ未成年です。もともと未成年に伯爵家を継がせ、今度はゲルツンとボルトケです。姪は納得の上で、フローラル領を拝領したようですが、思い出してください。姪はわずか七歳で両親を亡くし、貴族という全く知らない社会に放り込まれたのです。さらには、わずか数年でとんでもない状況に追い込まれています。姪は王室の駒ではありません。」

「・・・」

 誰も反論できないようだ。私は、叔父様の態度に嬉しさを感じていた。


「叔父様、ありがとうございます。これまで私は流されるままに生きてきました。父様や母様が死んでからはなおのことです。そして自分の知らないところで貴族になったり、伯爵になったり、ゲルツン領の領主になったり、母様の実家を継いだり、私一人でしたら耐えられなかったと思います。ですけど、叔父様ご一家やジャスやリンダに出会いました。私は一人ではなくなりました。嬉しかったのですが、責任や義務も発生しました。学園へ入学する前に貴族になるかと問われたら、平民になりたいと答えていたでしょう。ですが、今は私が巻き込んだ人たちを見捨てることはできません。私は迷うことなくフローラル領の領主になります。それに様々な苦情は、父様と母様のお墓に置いてきました。私にはアールベアル公爵家がついています。頼りにしております。」

「ヴィアンカ。本当に良いのだな。」

「はい。これからもよろしくお願いいたします。」

 隣でジャスとリンダが頷いている。ここにはいないが代官やランディーもレオもいる。父様や母様しか頼れない子供だったヴィアンカはもういない。共に歩む者達に囲まれこれからも生きて行く。


 生きて行くんだけど、おじさまが暴走した。



「陛下。ヴィアンカはこの通り覚悟を決めたようです。ですので、陛下も覚悟を示してください。」

「公爵、父上の覚悟とはなんだ。」

「殿下はご存じないようですね。宰相はいかがなのでしょうか。事情をつまびやかにせずに、ヴィアンカおよび公爵家を翻弄するのはおやめください。ヴィアンカの覚悟をお認めください。」

「・・・・・。」


 陛下と宰相は難しい顔をしている。殿下は、訳が分からずにいる。

「そうだな。公爵家にはいろいろと苦労をかけた。そろそろ公にしたいとは思っていた。だが、これは王太子を交えて話がしたい。帰国まで待ってもらいたい。ヴィアンカ、その方はアレックスから何か預かっていないか。」

「あります。片手に乗る小箱です。鍵も鍵穴もなく、開きません。」

「今度来る時に、それも持ってきてくれ。」


 とうとう、鍵の無いあの箱の正体がわかるのだ。


読んで頂いてありがとうございます。

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