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孤児になった私が貴族⁉ 事故死した父が公爵家、母が男爵家出身だった。  作者: 田舎娘


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11/21

 11 公爵家の家族の一員になった

 次の魔法の授業で光属性クラスはなかった。二人いた教会関係者の生徒は、なぜか無属性クラスに混じっていた。二人とも無属性も持ってたようだ。


 ふと、一人でいくつの属性を持っているのか不思議に思って聞いてみた。するとだいたい一、二属性だった。

「全属性なんて、本当にごくごくまれですよ。」

 と言われた。学園に入る前はジャスとリリーしか身近にいなかったし、ジャスは全属性だ。リリーは平民で魔力なしだ。知らなかった。

 リーナなんて

「私は風属性しかありません。ヴィーが羨ましい。」

 と言われてしまった。



 私と殿下は、今日は土魔法クラスに居る。土魔法は主に農業に役立つような魔法を教えている。要は土地の状況を把握し、足りない栄養を加えて、土を耕す。植える種と相性がいい土にすることができれば最高なんだとか。ここでも土魔法を使えば使うほど熟練度が上がり、より良い畑になるという。農業に特化した魔法だ。


 授業でやることは、いろいろな種に合う土を当てること。五つぐらい候補があって、この種にはこの土とカップリングして行くのだ。

「落とし穴を作って、狩りとかしないんですか。」

「穴を掘るんだったら、身体強化したものに頼む方が早い。」

 この世界の魔法って、分業なんだとボーっとしていた。


「ヴィアンカ嬢、あなたも早く授業に参加しなさい。」

 注意を受けた。

「先生。土の成分がわかるようになるのは、どうすればいいのですか。」

 しばしうなっていたかと思うと

「わからない。」

 なんでも土をいじったり魔法を使ったりしていると突然わかるようになるらしい。これって授業だよね。教えられないって何よ。


 仕方なくもらった種を弄ったり土を弄ったりしてたけど、飽きちゃった。なので、この種ってなんだろうとか、この土をこっちの土に混ぜたらどうなるんだろうとか、遊んでしまった。何気に手を土に突っ込んで土魔法をちょっと流してみた。

『適合可』なんか出た。周りを見渡しても誰も注目していない。私だけ?もう一回。

『適合可』また出た。

 違う土で再度。

『適合不可』だって。

 次々に試してみた。最後の土が『適合最適』だった。

「これだ。」

 声に出てしまったらしい。


「何がこれなんだ。」

 殿下だ。この人はタイミングを計ったように現われる。不思議だ。不気味だ。

 隠す必要もないので、小声で

「種を持った手を土に突っ込んで土魔法をちょっと流してみたら、なんか出るんです。」

「ホォー。なら私もやってみよう。」

 殿下は汚れても平気なようで、手に種を持って土にin。

「出たな。この土は適応不可だそうだ」

 殿下にも出たようだ。それなら、土以外は、どうなのだろう。

「ヴィアンカ嬢、何か思いついたんだろう。なんだ。話せ。」


 殿下にはちょっと待ってもらい、近くのタンポポに似た草に手を伸ばす。

 そして土魔法をちょっと「適合可」

 水は?水魔法もちょっと「水分不足」

 属性にとらわれず自分の魔力を注ぐ。出た。「タンポポ。食用可。水分不足。」

 鑑定魔法も分業だった。殿下にも試してもらう。

「出るな。」

 殿下の結果は「草。食用可。水分不足。」

 二人して頭をくっつけボソボソ話していると、担当の先生だ。


「殿下。全属性同士仲が良いのは分かりますが、今は授業中です。集中してください。」

「ああ。すまない。」

 私は顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。でも、そんなんじゃないし

「でも・・・。」

「ヴィアンカ嬢、話の続きは後でしよう。今は土魔法の練習だ。」

 話すなってことだ。ここはおとなしく

「はい。」

 少し上の空で授業が終わる。



 翌日の放課後、学園長に呼ばれた。部屋には殿下がいた。

「悪いね。急に呼び出して。用件はもちろん昨日の発見のことだ。」

 学院長の属性は三つ。火と土と?だ。三つめは教えてもらえなかった。

 自らの土魔法で検証したらしい。剣でも試してみたら出たとのこと。ただポーションで試したら出なかったらしく、ちょっと残念そうだった。


 学院長は、【鑑定魔法とは無属性の魔法ではなく、己の持つ属性のみの鑑定ができる】と結論を出した。

「お二人はお手柄です。今までの定説が覆り、魔法の可能性が広がりました。」

「学院長。私はヴィアンカ嬢に教えてもらっただけです。功績は彼女に。」

「いえ、あの時、殿下がいらっしゃらなかったら、私は公表することなくおろおろしただけだと思います。私一人の功績ではありません。どうか……。」



 鑑定魔法の取得方法が公になる前に、公爵家にご報告やら、お願いやらをしなければならず、面会希望のお手紙を出した。すぐに返事が来て、二日後となった。


 放課後、教室に迎えに来たのは次男様だ。

「両親からエスコートを仰せつかったよ。それから、今日は外泊許可を出しておくようにだってさ。だから、さっき僕が出しておいたよ。」

「でも、お土産もまだ用意してなくて、手ぶらなんて失礼すぎます。」

「いいの。いいの。なんだか今日は話すことがいっぱいで、寄り道せずにお連れしろって言われてるよ。」

 いろいろ?鑑定の他に何かあるんだろうか。いい機会だから父様のこととかフローラ様のこととか聞いてみよう。


 その前に馬車の中で次男に聞いてみた。

「答えられないようでしたら結構ですので、御質問してもよろしいですか。」

「怖いね。」

 なんて言いながら笑って答えてくれた。


「母上の態度が変わったのは姉上だよ。姉上が母上に、『お母様は今もお父様より伯父様をお慕いしているのですか。それならしかたのないことですが、単なるプライドなら、お父様がおかわいそうです。子供の私たちだって、お母様のあんな姿は見たくありませんでした。』でね、母上は愚かな人ではないから、娘の言葉は堪えたらしい。」



 公爵家では勢揃いだった。ただ長男様の婚約者はいらっしゃらなかった。

「ご無沙汰しております。」

「久しいね。元気にしてたかね。」

「堅苦しい挨拶は、今日は無しです。ヴィアンカ、とりあえず着替えてらっしゃい。話はそれからです。」


 着替えなんて持ってこなかったけど、メイド長に案内されたのは女の子らしい部屋だ。クローゼットからドレスを取り出し、テキパキと着替えさせられた。あたふたしていると、

「この部屋は奥様がご用意されました。ドレス等もいつか必要だろうからと、各三着ずつ作られました。多分謝罪のおつもりだと思います。黙っていただいてください。そしてお礼は叔母様でしょうか。」

 嬉しくて涙が溢れてきた。なのに、そのまま公爵家御一行の元へ連れていかれてしまった。


「こんなにお気にかけていただいて、ありがとうございます。叔父様、叔母様。嬉しいです。」

 そんな私の手を取り、席に座らせてくださったのは長女のシャーロット様だ。優しく背中を落ち着くまでさすっていただき、まだ涙がいっぱいの私を、皆様温かく見守ってくれた。

「ようこそわが家、我が家族へ。」

 もう、また涙が溢れだす。

「ずるいです。ルーカス様。そんなこと言われたら、涙が止まりません。」

 ギデオン様にそっとハンカチを差し出された。溢れた涙を拭いた。

 父様あなたの弟ご家族は暖かい方々でした。


 私が落ち着いたら叔父様、叔母様が、

「今日は私からも話があるんだ。その前にビアンカの話を聞こう。陛下からも君の協力をしろと言われているしね。」


 実は・・・と、土属性クラスで鑑定魔法の新発見をして、それを公表する前にご報告をと言うと、

「どうせ君が発見して、独りでは背負いきれないので、学院長や殿下を巻き込んだんだろう。」

「そんなことはないです。土属性クラスで発見しました。」

「どっちみち、君の名は上がるんだ。あの二人を巻き込んだのは上出来だ。」「それよりお父様。私でも鑑定が使えるようになるの。試してみたいですわ。よろしいでしょう。」


 最初にできたのは次男だ。

「なるほど、こうするのか。」

 一人で納得している。

「ギデオン、一人でずるいです。教えてくださいませ。ヴィアンカでは全属性だから参考になりそうにありません。」


 あとは次男様によるによる魔法教室だ。体内の魔力を探知して、魔力を巡回させながら、鑑定したいものに触れ、触れた魔力をまた体内に取り込む。要は物に触れた魔力を再度体内に取り込むことが必要だった。

「なるほど。」

 私のつぶやきに、皆が

「あなた教え方下手。」

 だって、どんな風に教えたらいいのか分からなかったんだもの。それにしても、さすがギデオン様だ。伊達に魔力が多いだけではなかった。



 食後は場所を変えてのお話だ。家族のみで使う応接室には久しぶりのジャズがいた。驚いているとジャズが頭を少し下げて挨拶して来た。私もうなずき返すけど、なんでジャスがいるのだろう。


 話し合いは公爵ご夫妻、長男様・長女様・次男様で、私とメイド長レイラさん・ジャズだ。ジャズがかなり緊張してるっぽい。


「まず私からね。ヴィアンカにお願いがあるの。」

 シャーロット様は半年後に婚約者との結婚式を控えている。それで一品で良いので私のレシピを使いたいと言う。お相手は公爵家だけども、料理に華がない。ありきたりなもので、物珍しさもない。

「お兄様が話題のカフェをなさっているのだから、話題性が欲しいの。」

 もちろん快諾。


結婚式の晩餐は主に親族で席が決まっているし、人数も決定している。その後の夜のパーティーで、その他の貴族が招待されている。パーティーでは飲み物中心なので、さほど気に気を遣わない。晩餐は、シャーロット様のその後の立ち位置にも影響があるので、公爵家、侯爵家の面目に関わることになる。皆さんに頭を下げられてしまった。


 もちろん、その後はカフェメニューになるらしい。長男様がほくそ笑んでいる。クレープがいいかなあなんて思っていると。

「もう思いついたようね。明日、試食会よ。何が必要?」

 顔に出ていたようで、

「小麦粉・卵・ホイップクリーム・果実各種をお願いします。」

 早速厨房に知らせに行ってしまった。


「次は僕だね。」

 ギデオン様だ。シャーロット様の一年後に、ルーカス様が結婚式を挙げることが決まっているそうだ。そこで、結婚を機に公爵様は長男に公爵位を譲ることになったらしい。ここの公爵邸も長男夫婦に譲るらしい。叔父様は隠居後は、領地に引っ越し領地経営に頑張る。長男は公爵家として政事に頑張る。家を譲るからには長男夫婦の邪魔はしたくない。王都に出てきた時もそうだ。そこで別に屋敷を購入することにしたのだが、そこのメイド長は奥様の筆頭侍女だ。


「僕、あの人苦手なんだよ。父上も母上もいない家で、あの人と顔を合わせるのは嫌なんだ。なのでこの屋敷内の、君の住んでいた別宅を使わせて欲しいんだ。ぼくは寮でもいいんだけど、寮だと研究に没頭して体を壊すからって、許可してくれないんだ。」

 ギデオン様は、あと二年学園に通うそうだ。ギデオン様は魔法の研究方面に進んでいて、今後も研究したいそうだ。すでに、国のある魔法研究所に就職が決まっている。それも、その内定は期限なしで、働きたいと思ったら即採用というものだ。すっごく優秀らしい。


 私は公爵家から独立しているので、これも快諾。

「好きに使ってください。」

「ありがとう。あそこは図書室もある。厨房やトイレもお風呂もある。本館から通いで掃除や食事を用意してもらえば、最少人数で済む。」

 ギデオン様にはもってこいの環境なんだとか。ギデオン様って、ちょっと人見知りらしい。ここでギデオン様も退室だ。



 メイド長がお茶を淹れ変える。これからが本番のようだ。お茶を配り終えたメイド長は私の隣へ。ジャズは私のすぐ後ろに立ち位置を変える。執事までが腰を掛けた。


「ヴィアンカ。このほど王宮からナイシール伯爵邸を下賜された。もともと伯爵家の持ち物で、そこからフローラ様は嫁入りした。今まである国の大使に貸していたが、契約期間が終了した。そのため本来の持ち主であるナイシール伯爵家に戻された形になる。」

 突然のことで

「はあ~。」

 としか言えない。でも、

「家があるってことは維持しなくてはいけませんよね。その費用はどちらから。私に収入ってあるんですか。」

「今のあなたには、ありがた迷惑な話よね。不安になるのは当然よ。領地ごと返してもらう訳ではないようですからね。」

 叔母様の言う通りだ。

「だがな、伯爵としての給金が満額出る。さらに維持に必要な経費は王宮が持つ。現在のヴィアンカの支給金も伯爵家の給金から出ていた。それが満額入るようになり、さらに維持費は王宮が持つ。」

「なぜ、そこまで便宜を図っていただけるのでしょうか。」


「わからん。そこでだ。伯爵家のメイド長に我が家のメイド長が名乗りを上げた。」

驚いて隣を見ると、

「私はもともとフローラ様について公爵家に入りました。母はフローラ様の筆頭侍女でしたので、こちらではメイド長となり、私が引き継ぎました。おぼろげですが、伯爵邸のことを覚えております。なので私はフローラ様のお子様であるヴィアンカ様のお役に立ちとうございます。どうか私をお連れください。年は多少取っておりますが、死ぬまでに後継者は育てます。」

 もちろん快諾。


 でも、公爵家は、

「公爵家は長男が継ぎます。長男の嫁がやりやすいようにすればよいのです。使用人も希望者は領地や別邸へ連れて行くつもりです。安心してちょうだい。」

「公爵家の伝統をないがしろにするつもりはありませんが、婚約者と二人で新しい公爵家を作っていきます。ご期待してください。」

 そう言って長男は退出して行った。


「で、そこにいるジャスだ。先日困り事があったようで相談に来た。」

 ジャズに自分で話をしろと促している。

「先日、実家から至急帰宅せよ、と伝言がありました。」

 帰ってみれば男爵家の上の上の家からジャズの雇用を促されたらしい。なぜと思ってみれば、全属性の有効利用が発見されたので、ぜひ雇いたいという申し出だった。目が私のせいだと言っている。

「情報が早いですね。」

「ああ。王に近いものから漏れたようだ。注意はしておく。」

「でも、ジャズは婿入りするのでは。」


 その婿入りは流れたらしい。とりあえず顔合わせとなった日に、相手にすっぽかされた。子爵家の長女だったのだが、ジャズが男爵家出身で冒険者をしていたのが気に食わなかったらしい。それに令嬢はこの縁談が公爵家からの打診と知らなかったらしく、後で公爵家に謝罪に来たんだとか。

「謝るなら俺だろう。」

 そんな女性は結構です、となったんだとか。で、今回は、上の上の派閥の家柄で断るに断れない。今更窮屈な奉公など考えたくなくて、公爵家に相談に来た。来たら来たで、この話し合いに立ち会わされている。



「ジャズに提案だ。伯爵家に仕える気はないか。」

「「えっ。」」

 私とジャズの声が重なる。私としてはジャズが承諾してくれたら嬉しい。でも、ジャスは自由を手放す。でも、婿はオッケーだったんだよね。どっちなんだ。

「君はヴィアンカを別宅に居る時から知っている。その前の事情も把握しているだろう。しっているものがヴィアンカのそばに居るのは心強い。もし受けてくれたなら、派閥の上には私から事情を説明しておく。」

 ジャズは考え込んでいるが、

「私は何をしたらよろしいのでしょう。」

「とりあえず伯爵邸の執事だな。ヴィアンカが寮に居る間に学んでほしいと思っている。」

「ヴィアンカ嬢は……。」

「それを聞いたら後戻りできんぞ。断るなら今だ。どうする。」

「お話をお聞きします。」

 ジャスが仲間に加わった。




読んで頂いてありがとうございます。

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