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環状に舞う狩人 — 爪を刻む —
蛇は逃げた。
鼻先を振り、テールを揺らす。
間合いを切る。
だが、親鳥は離さなかった。
MR-Sのライトが、蛇のミラーに張り付く。
昼の輪で仕込んだ走りが、峠の勘と重なり、銀のS14を喰らい尽くす。
ブローオフが短く吠える。
親鳥は煽らない。
抜かない。
ただ背を裂く。
蛇が事故を誘うように急にラインを塞ぐ。
だが親鳥は一拍遅れてかわす。
蛇が焦った。
テールが、わずかに膨らむ。
そこを親鳥の爪が突いた。
ライトの中で蛇が小さく揺れる。
ラインがずれる。
無理なカウンター。
足回りが悲鳴を上げた。
蛇は踏む。
親鳥も踏む。
抜けるはずの直線で、横に並ばない。
わざと鼻先を差さず、背だけを叩き続ける。
「来い……落ちろ……」
親鳥の吐息がタイヤの音に溶けた。
蛇は耐える。
だが、環状の継ぎ目で路面が弾む。
無理に切ったハンドルが、足に刃を入れた。
小さく、しかし確実に。
タイヤが滑る。
蛇のS14がわずかに外に流れた。
壁には触れない。
だが足回りが軋む音が、親鳥には聞こえた。
蛇はもう踏めない。
抜かれはしない。
だが、走れない。
親鳥はライトを落とし、わずかに車間を開けた。
それが狩りの証だった。
ブローオフが短く息を吐く。
親鳥のハンドルに、ピヨの羽音が滲んだ。
蛇の足は、確かに折れた。
夜の輪に、乾いた鉄の匂いが沈んだ。




