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嫁き遅れ伯爵令嬢は逃げられ公爵に愛される  作者: えとう蜜夏
第二章 公爵家

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15/22

15 初めての社交 

章として分割しました。

 ソールズ伯爵家の夜会に招かれてリチャード様と私の婚約式の予定と私の社交界デビューの発表をしていただいた。


 ソールズ伯爵は実は父方の親戚でもあり、サンドストーン公爵家とも親しくしている間柄だそう。


 発表後、会場はざわめいたけれど直ぐにいろいろな方から話しかけられた。


 人波に流されそうなほどになったけれどリチャード様が私の腰をしっかりとホールドしてくださった。


 周囲の人々は突然の私達の婚約に興味津々といったところだ。


 その中から美しい女性が挨拶に来た。


「お久しぶりですわね。リチャード。いえ、今は公爵様でしたかしら? 可愛い方を連れているけれどご紹介をしてくださらない?」


 名前を親しく呼ぶあたり高位の方か、例のリチャード様の元婚約者ではないかと私は感じたが黙ってリチャード様の動向を窺った。


「ああ、久しぶりだな。ラピーニャ伯爵夫人。こちらは私の婚約者のブルーレイク伯爵家の令嬢のリリエラだ」


「まあ、こちらが、噂の伯爵令嬢ですのね?」


 どんな噂か知らないけれど勝手に言わないで欲しいわね。


 私はそう思いながら挨拶をした。


「ブルーレイク伯爵家のリリエラと申します」


 ラピーニャ伯爵夫人は冷ややかな視線を私に向けただけだった。


 私の挨拶は無視された。感じ悪いわね。これが社交界デビューした淑女なの? いえ、伯爵夫人だったわね。


「……でも、ブルーレイク伯爵家の令嬢のことなんて今まで存じませんでしたわ。ふふ」


 この歳まで社交界にデビューしていなかったことと貴族が通う学園も行ってなかったのを当て擦りされているようだった。


 リチャード様の表情がここからでは分からないので彼女の言葉をどう捉えているのか分からない。


 そうよね。


 でも、私から言わせていただくとそもそも伯爵夫人から高位の貴族であるリチャード様に先に声をかけるのはマナー違反じゃないかしら? 私は伯爵令嬢だからラピーニャ伯爵夫人にそこまで見下される謂れもない。


 私は貴族風の微笑みをして見せた。


「母を亡くして領地で家政に勤しんでいましたから」


 母を亡くして弟を育てるために領地の執務のお手伝いまでしていたもの。


 あの時はデビューするためのドレス代も工面できなかった。


 今はリチャード様に用意していただいた上質のドレスに身を包み公爵家の侍女達にお化粧されて別人のようになったけれど。


「ふふ。まあそうでしたの。では公爵様とはどこでお知り合いになったのかしらねぇ。何か特別な事情でもおありかしら?」


 ふふん。といったラピーニャ伯爵夫人の蔑みの笑いまで聞こえそうだった。


 まるで私がリチャード様の弱みを握って婚約させたとでも言いたいのだろうか。


 面倒くさいけれどこれも衣食住の恩返しと思い、どうこの失礼な夫人の言葉に言い返そうかとして口を開こうとすると、リチャード様が私の前に出て代わりににこりと微笑んだ。


「ああ、リリエラが教区の教会で熱心に奉仕活動をしていた姿を見て一目惚れした私が結婚を申し込んだのだ。リリエラのように貞淑で敬虔な娘に会ったのは初めてだった。君とは大違いだよ。君と婚約解消になったのは嬉しい誤算だったな。彼女のような素晴らしい女性と出会えたのだから、一介の騎士の妻になどなりたくないと君が言い出して婚約解消になったから彼女に出会うことができた。これこそ運命の出会いだと感じたのだ」


 そんなリチャード様の言葉に周囲がざわりとした。


 周囲の雰囲気とリチャード様の当て擦りに気づいた夫人は急激に不機嫌になった。


「ふん。洗練されていない娘にとってはさぞかし王都の社交界は物珍しいことでしょう。後悔なさっても知りませんわよ」


「ああ、君こそ数々の戦歴がばれて伯爵家から追い出されないように気をつけたまえ」


 リチャード様の冷たい相貌がラピーニャ伯爵夫人の顔色を変えさせた。そして悔しそうな表情をして去っていった。


「リチャード……」


 私は彼を見上げた。


「彼女の言うことは気にしないように。最初の婚約者だったが、騎士だった私を嫌がって伯爵へ乗り換えた女性だ。今は何も関係はない。ただのキャンキャン吠える雌犬だ。うっかり噛みつかれないようにしてくれ。真面目に取り合うほうが面倒なことになる。さあ、それより君とのファーストダンスを踊ろうか。大丈夫かな?」


「ええ。練習は頑張りました」


 そうして流れ出した曲とともにフロアの中央へと向かった。


 練習の甲斐もあってそれなりにダンスも形になっていた。


 リチャード様のリードも上手なせいもあったと思う。


「……お上手ですね」


「君もね。私は騎士だったので、きっと体幹が良いせいだろう」


 てっきり大勢の貴婦人と踊ってきたことを自慢するのかと思ったらまさかの体幹ときたので思わず吹き出しそうになった。


「何かおかしいのか?」


「今夜はリチャード様のことをいろいろと知ることができたので嬉しいのです」


 そう返すとリチャード様は驚かれたものの微笑んでくれた。


「私も君とこうして踊れて楽しいよ」


 デビューの夜会での私達の評判はまずまずでラピーニャ伯爵夫人以外は概ね好意的な様子で受け入れられた。


 これから社交も忙しくなりそうだった。


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