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嫁き遅れ伯爵令嬢は逃げられ公爵に愛される  作者: えとう蜜夏
第二章 公爵家

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14 婚約式へ向けて

 結局、公爵家で婚約式などの準備や使用人の補充、館の補修、私の身の回りの物などを揃えるだけで慌ただしく毎日は過ぎていった。


 驚いたのは公爵家の家令のエバンスから今後の予定を聞かされたときだった。


「婚約式を三か月後に、結婚式は半年後でとか……」


 ――無理でしょう? 


 エバンスの持ってきた予定表と公爵家の来賓リストに唖然としていた。


「招待状に当日の料理、会場の設営……」


 ざっと必要なことを書き出してみると眩暈がしてきた。


「旦那様とご相談をしてみられては」


「ええ、もちろんよ。リチャード様がご当主なのですもの」


 正直丸投げしたいくらいだけど頻繁に王宮へ呼ばれてくたびれて帰ってくるリチャード様を見ていると可哀想になってきて私にできるものはと公爵家の執務について教えてもらっている。


 マナーやダンスの先生も週に何回か来てもらえることになった。


 彼らから基本はできていると言ってくれたので少しは安心した。


「婚約式と結婚式か……」


 夜に王宮からお戻りになったリチャード様に相談してみた。


 リチャード様の私室でワインを片手に隣り合って座っていた。


 優雅に思えるけれど正直お互い疲れすぎてワインでも飲まないとやっていけない。


「ああ、もう結婚しているのだから式なんてしなくてもいいじゃないか」


 リチャード様が砕けた様子で嘆く真似をする。


「あら、でもリチャード様には仮初にも花嫁がいるという宣伝をしないといけません。不名誉な噂を払拭しないとなりませんもの」


「……仮初ではない。真の花嫁だ。君に出会って、君だから私は結婚したのだ」


 リチャード様はやや不機嫌そうにそう言ったので私はどう言っていいのか分からずワインを飲み干した。


「ワインを飲みすぎそうです」


「これくらいのワインで酔いはしないよ。まあ、婚約式は必要最低限で行うとして、結婚式は王族も招いて大々的にしなければならない」


「まあ、王族をお招き……、そうですわね。リチャードは公爵様ですもの」


「面倒だが仕方がない」


「あの、それとリチャードのご両親は?」


 実はリチャード様のご両親とはまだお会いしていない。


 リチャード様が公爵に就いて一年余り、前公爵夫妻はお具合が悪くて領地の別荘に引っ込んでいると聞いている。


「……母の具合が良くないので、父だけでも来てくれるだろう」


「そうですか。でも一度お会いしてないので気になっておりました」


「会わなくていい」


 リチャード様は私に強めにそう言い切った。


「でも、それは……」


 ご両親にお会いしたいと言うと決まって不機嫌になるリチャード様にそれ以上言えずに黙り込んだ。


 だけど、リチャード様のご両親なのに婚約式まで全く会えないなんて、まるで反対でもされているように感じるじゃない。私はサイモンの婚約者に会いたかったのよ。会ったら会ったでいろいろあったけれど。それでも弟の結婚相手に会いたいと思うのが普通よね。


 だけど貴族の婚姻は家同士のものといっても過言ではない。


 今はリチャード様の両親と相談もなく進めている現状だった。


 うちは良いとして、公爵家としては良いのかしらと心配になる。


 私のほうは父だけだから特に気になることもないけれどリチャード様の方はいろいろとあるんじゃないのかしら。


「とりあえず、近々の夜会で君はデビューする段取りになっている。そのときに婚約も発表する」


「はい。分かりました」


 夜会のドレスも超特急でお願いしてあって縫い上がったものから届けられた。


 デビューの衣装は落ち着いたモスグリーンの生地にグレイの縁取りのあるドレスにしよう。


 もう若くないから落ち着いた感じのドレスにしてもらった。


 若くてもロエさんのようにあのピンクばかりのドレスは着るつもりはない。


 ロエさんは髪もピンクだから全身ピンクだったのよ。

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[一言] 全身ピンク…… 林家パー子?( ・◇・)?
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