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お父様、伯母様、お兄様、私が順にテーブルに着く。

お茶の用意が終わったところで、使用人は全員部屋の外に排された。この屋敷はお父様のもの、つまり使用人もお父様にお仕えする者達だ。けれど排するということは、大っぴらに話してはいけないということだろう。

礼儀として主催であるお兄様と私がお茶を飲み、お菓子の毒味もしてみせて、伯母様とお父様に勧める。

「父上、伯母上、ロゼにはアストラバーグに嫁ぐ事になるとしか伝えておりません。」

「よろしい。ロゼ。これはアストラバーグに渡る其方が知っておくべき事案だ。ただし、無用な混乱を避けるために他言してはならない。」

そう言って、お父様は語りはじめたのは、建国物語だった。


昔々の話。

人々は今よりもっと多く、文明はずっと栄えていた。

人々は暮らし向きを豊かにすることに腐心し、精霊が住まう木や岩、湖、火山に至るまで、自然を破壊していった。すると精霊達は人の住まう地に居られなくなった。精霊達がいなくなると、精霊の力を借りる魔女達が力を損なうことになる。魔女達は、それまで自然と共に生きていた。精霊から力を借りて、それを自然に返して生きていたのだ。そうして世界は成り立っていたが、力を求める弱き人々は止まらなかった。技術の発展こそが人類の使命だと言わんばかりだった。

そしてその時はやってきた。愚かな人間に罰が降りたのだ。...詳しいことは、記録にない。ただ「罰が降りた」事を認識すれば良いのだと、ある魔女は言った。そして、水の精霊がミネツタックを、地の精霊はアストラバーグを、木の精霊はパルベキアを、炎の精霊がリアハングを作った。彼らは国を興した後、中央の聖域に集まった。魔女達もまた、精霊を守るべく聖域に移動した。新たに産まれた魔女もまた、聖域に移動していく。


「ここまでは、アルケリーもロゼも知っているだろう。」

お父様の言葉に、頷く。

「では、ロゼ。なぜミネツタックとアルトラバーグは険悪になったか、知っているか?」

「水の魔女を、拐かそうとしたことがきっかけです。鉱石を掘る時に出る湧水を、水の魔女の力で対処するために。」

「うむ。ミネツタックの歴史ではその様に習うな。では、アルケリー。アストラバーグではどう言われているか。」

「はい。地の魔女をミネツタックが奪おうとしたという説が広く知られています。流れる川を堰き止め、またはより長く大きくするために。」

思わず、お兄様の方を向く。

「そんな話、聞いたことないわ...!」

「そうだろうとも。ただ、アストラバーグでも、水の魔女の拐かしが流布していない。双方の認識が違うのだよ、ロゼ。」

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