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「ではお兄様。分かっていることだけで結構ですわ。お相手の事を教えてくださいませ。」

椅子に座り直した兄から聞き出せた情報は3つ。

お名前がアレン・カルディリアということ。

16の時から都で行政官をしている、若くして優秀な実績を残している方ということ。

今は20歳ということ。

翻って私は、侯爵が地方でつくった愛人の子。

お母様は小さな男爵家の出身だったそう。


やっぱり、どこか引っ掛かりを覚えるわ。

お兄様はさっき、アストラバーグに何人もが嫁ぐと仰ったわ。

開戦まで秒読み、とまではいかなくとも仲が険悪な国よ。

「ねぇお兄様。私達は、人質になりにいくのね。」

兄の顔が強張った。焦った様子で口を開く兄を、じっと見つめる。

「我が国の国王も、彼の国の王も、和平を望んでいる。お前たちは、戦争を起こさないための礎として嫁ぐことになる。」

「そう...。」

言い方が違うだけだわ。そんな大事なお役目に、正妻の子ではない私が選ばれるのは、いつ切り捨てても良いからだろう。

「明日は父上と伯母上がこの屋敷にいらっしゃるそうだ。大丈夫、ロゼは物覚えがいいし、教師たちの評判もいい。立ち振る舞いを心配することはないよ」

「お兄様...。」

「さぁ、明日に備えて、部屋へお戻り。寝不足の顔で父上に会いたくはないだろう?」

その言葉にクス、と笑って、それで少し肩の力が抜けた。

「えぇ、お兄様。おやすみなさいませ。」

「おやすみ、ロゼ。」

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