表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
268/270

【番外編】

「よかったわね、レイちゃん。おめでとう。お姉さんもうれしいわ」


 妖艶な微笑みを浮かべるつぐみが、優しく私の肩を抱き寄せてくれた。

 足元では、羊の姿をしたタオさんが「メェ」と鳴きながら、私の足にすりすりと頭を擦り付けてくる。言葉は喋れなくても、そのふかふかとした温かな毛並みから、純粋な祝福と喜びの感情が真っ直ぐに伝わってきた。


「これからママンになるんだから、もっともっと強くならないとね」


 幸子が満面の笑みで、私の顔を覗き込む。

 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなり、視界が涙で滲んだ。


(……私がお母さんに)


 ずっと、一人ぼっちだった。孤独な暗闇の中で息を潜めて生きてきた私を、サトル様が見つけ出してくれ、優しく手を引いてくれた。彼と出会って、私の世界はどこまでも広く、色鮮やかなものになった。

 そして今、私のお腹の中には、彼との愛の結晶である『新しい命』が宿っているのだ。


 ポロポロと涙が頬を伝うと同時に、かつての過ちが脳裏をよぎった。

 白面に唆され、心の隙を突かれた時のこと。あの時、私の弱さのせいで、サトル様や大事な人たちをひどく傷つけてしまった。

 また同じ過ちを繰り返すのか?

 今度も自分の心の弱さのせいで、まだ見ぬ愛しい我が子まで危険な目に遭わせるというのか?


 ――答えは、絶対に『否』だ。


 娘か息子かはまだ分からないけれど、私とサトル様の子だ。

 この子も、サトル様も、周りにいる大切な人たちも、絶対に私が守り抜いてみせる。

 強く、誰よりも強くならなければ。


 私がぎゅっと拳を握りしめ、魂の底から覚悟を決めた、次の瞬間だった。


 ゴォォォォォォッ……!


「……え? なに、これ……」


 私の中から、信じられないほどの凄まじいパワーが、まるで火山が噴火するように湧き上がってきた。

 ひんやりとしていた霊廟の空気がビリビリと震え、私を取り巻く霊力が、目に見えるほどの眩い光となって立ち昇る。

 幸子たちが驚いて一歩後ろへ下がるほどの、圧倒的な熱量と力。


 守るべき存在を得た『母としての覚悟』が、私の霊力の底を、限界すらもいとも簡単に突き破って引き上げたのだ。

【おしらせ】

※3/1(日)


新作、投稿しました!


ぜひ応援していただけますとうれしいです!

URLを貼っておきます!

よろしくお願いいたします!


『【当て馬】妻はもう辞めます 〜自分を殺して尽くしてきた天才錬金術師ですが、前世を思い出したら夫への愛がスッと冷めたので、隣国で気ままに店を開きます〜』


https://ncode.syosetu.com/n7058lv/


広告下↓のリンクから飛べます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ