表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/121

#7 同意と見てよろしいですな?

よろしくお願いします。

 見習い広場から離れて宿を目指す。

 お空はもう薄暗くなってきている。お店も閉店準備をしていたり、家に帰っている子連れの親子の姿も見受けられる。

 まぁ、僕達も同じように見られている可能性は高いが。


 そうして歩いていると、急に暗くなったように感じた。


(こんなに急に夜になるのか?)


 そう思い上を向くと。

 こっちを見降ろしているでかい顔と目が合った。


「にゃ゛!?」

「ナナキちゃん?……!?何をしているの!?」

「む」


 驚き声を上げるとシィナさんが気づき、その存在との間に入ってかばってくれた。

 改めてその存在を見ると


(で!……でけぇ!)


 その男は身長が3m近くあると思われる。ただでさえ僕には他の人が大きいのに、目の前のはもはや山でしかない。引き締まった体に赤髪をマンバンスタイルで纏めている。目つきは鋭いが親友の方が怖いので特に威圧感はない。


 僕をかばってくれたシィナさんもさすがにその大きさに顔を引きつかせる。


「巨人族?」

「すまない。怖がらせるつもりはない。知り合いと思った」


 大男は頭を下げて謝罪する。それでも頭の位置は僕より全然上だが。

 しかし、知り合い?他にもケット・シーがいる?


 シィナさんと目を合わせるも顔を横に振られる。


「私はギルド職員だけど~残念ながらこの子以外にケット・シーは報告されてないわ~。他の街ではないかしら~」


 大男は首を傾げる。


「ケット・シー?違う。知り合いはウェア・キャット。そっちは?いたか?」


 大男はシィナさんに尋ねる。

 シィナさんは耳に手を当てて少し考えるように黙っている。

 いや。耳というよりはピアスに触っているようだ。どうやら念話機能がついているようだ。


「……。申し訳ないけど~ギルドではウェア・キャットも確認できてないわ~」


 シィナさんは申し訳なさそうに答える。

 大男は眉尻を下げる。


「そうか。迷惑かけた。ありがとう」


 大男は去ろうとする。


「今から他の街に向かうのは自殺行為よ~。それに2,3日で着く距離でもないわ~」


 シィナさんが声をかける。

 大男は振り返る。


「宿を探す」

「あなたが泊まれる宿は1つだけよ~。私たちも同じところに向かってるから~一緒に来なさいな~」


 大男の言葉にシィナさんが返す。

 大男は少し考えてからシィナさんに頭を下げる。


「すまない。お願いする」

「私はシィナよ~。こっちはナナキちゃん~」

「ニャニャキですにゃ。男ですにゃ。よろしくですにゃ」

「オグマ。ハーフジャイアント」


 オグマさんと共に3人で歩き始めようとすると。


「あー!猫ちゃん見っけ!って大男に捕食されかけてる!?」

「大丈夫よ。ファナ。となりに職員さんがいるじゃない。なんでいるのかは分かんないけど」


 再び3人は足を止める。


 顔を向けた先には、ギルドで僕の後ろにいて鼻血を出していた2人の女性プレイヤーがいた。

 2人は僕達に近づいてきて、僕に声をかける。


「猫ちゃん。無事でよかった~。首根っこつかまれて連れていかれたから心配してたんだよー」

「あの時は迷惑かけてごめんなさいね」

「いえ。そちらこそ大丈夫でしたかにゃ?」


 どちらかというと鼻血を出していた2人の方が危なかった気がする。


「……ええ。大丈夫よ。なんとか治まったわ。自己紹介しとくわね。私はリュリィ。エルフでプリーストやってるわ」

「私はファナ。犬のビーストマンでファイターだよ」

「ニャニャキですにゃ。男ですにゃ」

「正確にはナナキちゃんよ。シィナよ」

「オグマ。ハーフジャイアント。マーセナリー(傭兵)」


 全員自己紹介するもリュリィさんとファナさんは僕の男発言に固まっている。


「「男?」」

「にゃ?」

「そうよ~。この子は立派な『おとこのこ』よ~」


 なんかシィナさんの言い方に含みを感じる。気のせいだろう。……気のせいだ!

 2人はまだ固まっている。


「…おとこのこ?…男の子?……男の娘!!」

「その言い方はにゃんか違うと確信できるにゃ!!」


 ファナさんが何かを確信したようだがとりあえず否定する。

 リュリィさんも回復し3人に尋ねる。


「どこに行ってるんですか?」

「宿よ~。この2人が泊まれる宿は限られてるからね~。ギルドからの紹介制になってるのよ~」


 シィナさんが答える。

 2人は少し残念そうにする。紹介制ということと2人の種族を考えると泊めてもらえないだろうからだ。

 しかし、諦めきれないのがファナさんである。


「む~。ご飯とかは食べれますか?その宿は」

「……。それぐらいは大丈夫だと思うわ~」

「「行きます!」」

「……しょうがないわね~」


 シィナさんは諦めて案内を再開する。

 その後ろで僕達はフレンド交換し、ギルドで決まったことを3人に話す。

 3人は納得していたが、同時に残念な顔をした。


「そうかー。それだと一緒に狩りはまだ行けないわねー。残念」

「でも、大変なことになりそうね。妖精族は。……国の話は掲示板に載せとくべきかしら。結構重要な話な気がするわ」

「そうだね。ケット・シーのことはともかく、この国では妖精族は危ないってのは他の街にも知らせとくべきだと思う」


 リュリィさんとファナさんは話し合っている。

 全部は困るけど、この国では妖精族は狙われやすいことは、伝えておいた方がいいかもとは僕も思う。ただ…。


「ギルドの支援については隠しておいてくださいにゃ。シィニャさん達とおにゃじことが他の国で出来るか分からにゃいですし」

「そうね。分かったわ」


 僕の話にリュリィさんが納得する。どうやらリュリィさんが書いてくれるようだ。


「あいつは無事だろうか」


 オグマさんが不安そうに呟く。


「ウェア・キャットなんでしょ?大丈夫じゃない?」


 ファナさんが答えるも、


「しかし、ウェア・キャットとケット・シーは見分けがつきにくいと言われている。ということはウェア・キャットのことをケット・シーと思うものもいるのではないか?」


 オグマさんの言葉に全員がはっとなる。

 前で聞いていたのだろう。シィナさんもこちらを向いて目を見開いている。どうやらその発想は出てなかったようだ。

 シィナさんはすぐに顔を引き締め、ピアスに触り念話を始める。

 今は話しかけないほうがいいだろう。


「シィニャさんが動いてくれるにゃ。オグマさんのおかげにゃ。これで探してる人も安全に過ごせるようににゃるにゃ」


 僕はオグマさんに話しかける。

 オグマさんは顔を少し和らげ「ありがとう」と小さく呟く。

 僕達はそのまま歩いていた。

 すると、シィナさんが振り返る。


「やっと着いたわ~。あそこが宿よ~」


 シィナさんが指さす建物を見る。ギルドと同じくらい大きい。

 オグマさんが泊まれるくらいだから大きいか。


「名前は『朝日の止まり木亭』よ~。……あら~?エリマ?」


 宿に向かい入ろうとすると、中からエリマさんが出てきた。

 仕事は終わったのだろうか。


「やっと来たねぇ。待ちくたびれたよ。……ずいぶん増えたねぇ」


 エリマさんは眠たそうにぼやき、僕達を眺める。

 確かに+3人は多いか。


「見習い広場に寄ってたのよ~。その帰りに3人に会ったの~。まぁ、ここに泊まるのはナナキちゃんと彼、ハーフジャイアントのオグマ君だけよ~」


 シィナさんの説明にエリマさんはオグマさんを見る。


「ハーフジャイアントねぇ。そりゃまた。……ふむ。中々に鍛えてるねぇ」


 エリマさんはオグマさんを見て評価する。確かに良い筋肉である。僕にも寄越せ。背丈と一緒に。

 僕がオグマさんに妬みのオーラを送っていると、エリマさんがふと僕とオグマさんを見比べる。


「ふむ。……ナナキ君、それにオグマ君とやら1ついいかい?」

「にゃ?」

「なんだ?」


 僕とオグマさんの2人にとはなんだろう。

 シィナさんも首を傾げている。


「2人で戦ってくれないかい?」

 


 『朝日の止まり木亭』の地下にはなんと訓練場があった。


「にゃんでこうにゃった?にゃんで宿にこんにゃところが?」


 僕が疑問を口にすると。


「ここは元々冒険者ギルドの支部として建てられてねぇ。まぁ、結局今の支部の数で十分だってお上からお叱りがきて頓挫したんだよねぇ。で、もったいないから私とシィナが多種族に対応できる宿にしようって提案したんだよ。ギルド直営だからお国も簡単に踏み込んでこれないし、賄賂受け取った従業員は簡単に辞めさせられるしねぇ。安全のために好き勝手弄れるってところも大きかったかねぇ」

「ここはエリマさん達が建てた宿だったんですかにゃ」

「そうよ~。だから自信をもって紹介できるし~好きなように支援できるの~。ここはギルドマスターですら好き勝手に『させない』から~」


 本当に怖い2人である。もうギルドマスターになったほうがすっきりするんじゃないかと思う。


「さて、ルールは素手のみで武器の使用は不可。魔法はありだよ。もちろん、殺すのは禁止だよ。降参または気絶で終了だ。いいね?」


 2人が頷いたとき、目の前にウィンドウが出現する。


≪PvP:Ver2申請されました。受諾しますか?≫

はい/いいえ


 2人は『はい』を選択する。すると。


『合意と見てよろしいですな?』


 声が響く。だれ!?どこだ!?

 僕とオグマさんが立っている訓練場の端の土が突如盛り上がり、何かが飛び出てくる。

 おぉ!?


 降り立ったのはレフェリー服を着たおじさんだ。


「「「だれ!?」」」


「私の名はミスターやずち!ただいまこの戦いはPvP:Ver2として認められました!これよりナナキ選手対オグマ選手の試合を開始します!ルールは簡単!相手を戦闘不能にした方が勝ち!」


 なぜ急に仕切り始めているのだろう。

 僕達はエリマさんを見る。


「彼は戦神の神使だよ。彼の審判は絶対公平だ。安心して戦うといいよ」


 結構すごい人だった!?

 僕とオグマさんは顔を見合わせて頷く。

 仕方ない。受け入れるとしよう。

 僕とオグマさんは構える。


 ミスターやずちが腕をあげ、開始とともに振り下ろす。


「それではPvPファイトォ!!」




次がいよいよ戦闘です!


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ