#70 憧れのマイホーム
よろしくお願いします。
やっと完成!憧れのクラン・ホーム!
「おっきいにゃ~」
「ですにゃあ」
「本当にな」
「きゅあ~」
僕、ナティ、オグマの3人は出来上がったクラン・ホームを見上げている。リフォンはオグマの上。
ホームはナラルスさんの宿よりも少し大きい。イベントを頑張ったとはいえ、ここまでデカイとなんか分不相応な気がしてきた。
見た目はまさに和風の城。屋根瓦だ。
ただね、扉と上の方の壁にキーホルダーと同じロゴマークが描かれている。恥ずかしい!
場所はナラルスさんの宿と同じ通りの一角。この周囲で一番デカイ。
怒られなかったの?
「ナナキ様達のホームだと言えば、皆様むしろ喜ばれたそうですわ。その結果、棟梁達が気合いを入れ過ぎて、私達がお願いした設計より豪華になったようです。ちなみに、棟梁達もナナキ様達のファンだそうですわ」
「「……」」
白蓮が苦笑いしながら、説明してくれる。
僕とナティは目を見開いたまま固まる。声も出ない。
棟梁がファン?気合を入れたら大きくなった?それをご近所様は喜んでくださっている?
「……僕達はどう生きて行ったらいいですかにゃ?」
「そのままでよろしいですわよ♪」
「「……にゃあ~」」
いいんかね?それで。
……今度、挨拶回りすべき?
「それももう終えてますわ」
「にゃ?」
「昨日リヴァと2人で終わらせましたの」
「……なんでゲームでまで営業しないといけなかったのか……」
「「……ごめんにゃさいにゃ」」
「いいよ~。私の家でもあるし~。ご近所さんと仲が良いのは大事なことさ~」
リヴァランが少しげっそりしていたので、2人で頭を下げる。リヴァランはしゃがんで頭を撫でてくる。
マジで申し訳ない。
「ナナキ様達が挨拶回りして頂くのが最良ではありましたが、少し混乱する可能性がありましたので」
白蓮が少し困ったような顔をして話す。
……え?
「そ、それはどういう意味ですかにゃ?」
「まぁ、それは後程。外で話すこともないでしょう」
「だな。というわけで!ナナキ!ナティ!【眠猫御殿】を開けろ!」
「「眠猫御殿!?」」
「こんなデカさじゃ【眠猫庵】なんて似合わないだろ?」
「確かにそうだな」
「観光名所にもなりそうよね」
ディノがなんか凄い名前で呼んだ。ナティと共に驚愕する。
まぁ、確かにデカいからねぇ。
ナダとモーカも頷いている。
「開ける」
「早く部屋を見たいぞ!」
蘭羅が扉の前で促し、オクリもぴょんぴょんと跳ねてワクワクしている。
それもそうですな。
僕とナティが5m程の大きな扉の前に立つ。
……開くの?
不安になりながらも、力を入れて扉を押すと、なんと2m程の大きさでパカッと開く。
「「にゃ!?」」
力を入れていたので、僕達は中にコロリンと転がる。
大きい扉はなんの意味があったの!?
ディノが噴き出して笑う。
「ぶふっ!くははははははは!」
「ふふっ♪」
「俺とラドンナは入れないぞ?」
「大丈夫ですわ。今度はオグマさんが押してみてください」
「む?」
白蓮の言葉にオグマが扉を押すと、今度は扉全部が開いた。
どういうこと?
「センサーのようなものが付いてまして、大きさによって開く扉が変わりますの」
「「「おぉ~!」」」
「オグマさんよりも大きい方が来るかもしれませんし、オグマさんが荷物を運ぶ可能性があるので、この大きさになりましたわ」
「助かる」
「そうだねぇ」
白蓮の説明に簡単の声を上げる僕達。
すげ~!ただ、オグマより大きい人が来るかもって。
「ナナキ様ならあり得るでしょう?それに、竜の卵もありますしね」
「あ」
「そういえばそうだねぇ」
そうだった。あの竜さんと同じならデカイ扉があったほうがいいな。
「ここは食堂ですわね。最も大きい部屋ですし、他のクランとも話すならここがいいでしょう」
「厨房はどこだ?」
「あそこですわ。ナダさんの希望通りになっていますし、少し棟梁達が使いやすいように考えたくれたようです」
「ほう」
食堂はナラルスさんの宿よりも少し広い。本当に店が出来そう。てか、出来るな。
テーブルは少し高めだけど、椅子も高めだし、子供椅子のようなものが数脚ある。
あの椅子が僕達の椅子なんだろうなぁ。ん?なんか少し横長い子供椅子がある。
「テーブルはオグマさんやラドンナさんに合わせましたわ。なのでナナキ様達やオクリ達はこの椅子を使ってくださいまし。で、この長めの椅子はナナキ様とナティ様専用ですわ♪」
「「にゃ!?」」
「これなら近くでいれるわね」
やっぱり!?まぁ、ありがたいけど。これはいいか。嬉しいことだし。
テーブルと椅子は結構多い。キッチンの入り口近くにはカウンター型のテーブルになっている。それもありがたいね。
キッチンはかなりデカイ。もう店やん。
「素晴らしいな。やる気が出る」
「それは楽しみね」
「任せてもらおう」
ナダとモーカがラブラブしている。まぁ、いいか。カップルだし。
ナダのご飯も美味しいから、このキッチンで頑張って頂きたい。
「キッチンの奥は食糧庫ですわ。これは他の場所からも入れるので、料理しない方はそっちから入ってくださいまし。厨房は清潔に、ですわ」
『は~い』
「きゅあ!」
白蓮の言葉に子供のように返事をする僕達。
大事なことだよね。
そして食堂の奥にある通路を進む。この通路も5m近く高さがあって広い。
「通路の奥の右側が食糧庫、正面の大扉が格納庫ですわ。左側の扉はモーカさんの工房になっています」
「あら。嬉しい」
格納庫もかなりデカイ。中には地下への階段もある。すげぇな!!
モーカの工房も立派。色んなよく分からない機材がたくさんある。
「引きこもりになりそうね」
「ベッドはありませんので」
「分かってるわよ」
「では、上に行きましょうか」
2階に上がる。階段を上がると簡単な椅子やテーブルがあった。
「2階は基本男性の部屋ですわ。ここは共有スペースで、3階にも同じものがあります」
「もうホテルだな」
「否定は出来ませんわね」
「ほい。これが鍵だ。クラン・ホームの鍵も兼ねてるからな」
ディノがオグマ、ツヴェルト、ナダにカードキーのような鍵を渡す。
本当にホテルみたい。
「部屋はもう決まってますわ。希望通りの内装になっているかお確かめくださいまし」
「分かった」
「じゃあ、見に行こうかな」
「そうだな」
僕は?
という疑問は無視されて、僕を除く男性陣は自分の部屋を確かめにいった。
リフォンは僕の頭の上に戻る。
「では、上に行きましょうか」
そのまま上に上がる。
「3階はもちろん女性陣ですわ」
そう言って、白蓮は鍵を配っていく。
ちなみにチルッチは「まだチューン中デス!」だそうだ。長くね?
「随分と扉が多いねぇ。下でも思ったけど」
「宿と同じですわ。マイ・ルームは別エリア扱いになりますので」
「なるほどねぇ」
「さぁ!ナナキ様とナティ様のお部屋は最上階ですわ!」
だろうね。いいのだろうか?
「誰も文句言いませんでしたもの」
「だねぇ」
白蓮の案内で4階に上がる。ここが最上階。
女性陣も付いてきていた。
「鍵になりますわ。では、ご覧くださいまし♪」
「「にゃ!」」
ドアはスライド型で、キーホルダーにもなってたロゴが描かれている。
鍵を掲げると、ガラガラ!と自動で開く。
おぉ~!便利!
入ると旅館の玄関のように靴脱ぎ場になっていた。
座敷をお願いしたからね。
僕達は靴を脱いで、奥の扉を開く。
「「にゃあ~……」」
「きゅああ!」
「いかがでしょうか♪」
「これはすごいねぇ……」
「高級旅館だわぁ」
「すごいのだ!」
15畳ほどの和室。なのに暖炉もある!?意外と違和感ないな。職人技!
真ん中に丸いテーブルがあり、座布団が敷かれている。
しかもですよ。庭があるんです!!屋上庭園!?縁側がある。
「ここはリビングになりますわ。庭園はリフォンや孵った竜が少しでも過ごしやすいようにと造った物です」
「きゅあ!きゅあ~♪」
リフォンが飛び出して、庭を飛び回る。庭はリビングと同じくらいの広さだ。
「奥がナティ様に合わせたキッチンになってます」
「にゃ!?」
「ナダさんから料理が出来るようになったと聞きましたので」
「ありがとうございますにゃ!」
「いえいえ♪それで後は物置部屋が1つとお2人の寝室になりますわ」
キッチンは一般家庭と変わらない広さ。でも十分だよね。食器棚にはなんと猫型の皿がたくさんあった。まぁ、ありがたいけどね。
物置部屋はタンスが1つあるけど。それ以外はすっからかん。広さは5畳くらい。
そして寝室は布団が1つに枕が2つ。頭元にはリフォンのだろうかクッションみたいなものがある。寝室は4畳くらい。僕達には十分な広さだ。
というかリビングが広すぎる!
「まぁ、この部屋は客室にもなる時があるでしょう。タマ様などが来られたら、ここに連れて来ないと」
「それもそうだにゃあ」
「この階には客室も2部屋用意してありますわ。タマ様方が来られたらお使いくださいまし」
もう……ここはクラン・ホームなんだろうか?白蓮さん経営のホテルでないかい?
まぁ、いいか。ありがたいことばかりなのは事実だし。
「どんにゃ部屋ににゃっていくかにゃあ?」
「にゃあ。楽しみですにゃ」
「にゃ」
「きゅあ~!」
「リフォンもベッドが出来たにゃ」
「きゅあ!」
寝室のクッションの上にリフォンが降り立つ。横になり、具合を確かめる。
「きゅ~♪」
「気に入ったみたいにゃ」
「よかったですわ」
「テント用にも探しとくかにゃあ?」
「にゃあ」
リフォンはクッションでとろけている。
買っといてあげようかな。クッション位ならテント内でも邪魔にならないしね。
「では、食堂に一度集まりましょうか」
「闘技大会の事もあるしね」
「にゃ」
リフォン行くぞ~。
「きゅあ!」
そして、食堂に集まっていると、
「おう!いい出来だな!」
「お邪魔するわよ~」
「せんぱ~い♪」
「お邪魔しますね」
「こ、ここがナナキの……!」
「落ち着きなさい」
「いらっしゃいにゃ」
フルレッドさん、ルナイラさん、アヤナ、マヤウェルさん、そして銀色の髪や狼のような耳を持つ女性に黒髪サイドテールの女性エルフがやってきた。
お出迎えする僕。なんか新鮮!
「すげぇな。最初からこの規模かよ」
「棟梁さんが張り切ったみたいだにゃ」
「人気者だもんねぇ」
「流石先輩です!」
納得されたよ。不思議。まぁ、どうぞどうぞ。
ところでね、
「いきにゃり抱き上げるのは止めてにゃ。姉さん」
『お姉さん!?』
「あぁ♪……弟が抱っこできる♪最高だわ~♪」
「せめて自己紹介するにゃ」
狼のビーストウーマンであろう姉のホーミは、僕を見た瞬間抱き上げて後頭部に口元を押し付けてスーハーしてる。
僕の姉さん発言にアヤナとマヤウェルさんにエルフの女性以外は驚愕の声を上げる。
やめて!ちょっと息が生温くてヤダ!
抗議しても姉はトリップしていて、聞いていない。
「いい加減になさい!」
「キャン!?何するのよリエナ!!」
エルフの女性ことリエナさんが姉の頭にチョップを叩き込む。その瞬間に僕は飛び離れる。
ナティが近づいてくるが、僕の姉ということで少し混乱気味でオドオドしている。
こんな姉ですまんね。僕もちょっと戸惑っています。
それにマヤウェルさんが顔に右手を当てて、ため息を吐く。
「はぁ~……申し訳ありません。ナナキさん」
「いえ……姉がご迷惑かけますにゃ」
「普段は素晴らしいのですが……弟さんの話題になるとどうも飛び抜けて……。まさかナナキさんの事だったとは」
「僕も最近知りましたにゃ」
ゲームをしていることも、こんな壊れ方するのもね。
「言っときますけどね、先輩。ホーミさんはず~~~~~っとブラコンでしたよ。先輩がいる所ではいい姉を演じようと我慢してたみたいですけど」
「なんでそれがここで崩壊したんだい?」
「ここ数年ほどですが、まぁ、色々リアルでありまして、話しにくくなったみたいです。受験というのもありましたし。それが溜まり溜まって今に至ります」
「弟君がその姿なのも拍車をかけたでしょうね」
『あぁ~』
アヤナの暴露とリエナの説明に全員が納得の声を上げる。
まぁ……僕が一番の原因なんだろうけどね。別に姉を避けたつもりはなかったんだが。
「だって急に出かけても手を繋いでくれなくなったんだもん!!」
「そりゃ中学生ににゃったらそうでしょ。というか、小学校まで頑張ってつにゃいでたこっちの身にもにゃってにゃ」
「それは……流石に……」
「逆になんで繋いでたんだ?」
「不機嫌ににゃったら家でずぅ~っと後ろから抱き着かれるにゃ」
『……アウトで!』
「なんで!?こんなかわいいのよ!?リアルでも可愛かったのよ!?抱っこせずにいろと言うの!?」
完全に崩壊中の姉。白蓮さんにすらアウト宣言されてるのにめげない姉。
「10年前に私達のアウト宣言を無視されたのですから。今更聞くわけないですよ」
「私は4年前にしたわ。もちろん結果はこの通り。ちなみにこの前、ゲームの事を話した夜は5時間同じ話をされ続けたわ」
「本当に愚姉が申し訳ありませんでしたにゃ」
アヤナとリエナさんの言葉にすぐさま直角に頭を下げて謝罪する僕。オアン達もそうだったのか。マジごめん。今度ご飯奢ろう。
「あなたがナティね!」
「は、はいにゃ!」
「弟が欲しければ私を倒して行きなさい!」
「【ピット・フォール】」
「きゃああああああ!?」
なんかナティにビシィっ!と仁王立ちして指差して宣言する姉を、ボッシュートする僕。
姉は悲鳴を上げて落ちていった。
「……あにゃがあったら入りたいにゃ」
「その前に姉を排除したことは見事な判断力よね」
僕は崩れ落ちる。それにリエナさんは冷静にツッコミを入れる。
「何するのよナナキ!」
「【スリップ】!」
「いやああああ!?」
「お見事」
どうやってか姉が穴から這い上がってきたので、即座に起き上がり腕に触ってスキルを掛ける。姉は滑ってまた穴に落ちていく。
その動きにマヤウェルさんが褒めてくれる。
どうも。
「ニャティ。ニュウ。あれはもう気にしにゃいでいいにゃ」
「で、でも……」
「……」
僕は2人に声を掛ける。2人は困った顔で僕と穴を見る。
「待ってください。先輩」
「にゃ?」
「その人は誰ですか?」
「ニュウだにゃ。ニュウともカップルににゃってるにゃ」
「……どうも。でも、私がお願いしただけ。正式に恋人扱いはされてない。ナティにもまだ認められてない」
「……むぅ」
アヤナが少し顔を顰めてニュウを睨む。
しまった。言ってなかったな。
「ちゃんと3人ではにゃし合って決めたにゃ。これはアヤニャでも文句言っちゃダメにゃ」
「……先輩が納得されているならいいです」
「あのブラコンは無理な気がするけどね」
「駄目に決まってるじゃない!!」
アヤナは僕の言葉に納得してくれたが、リエナさんが姉の事を話す。すると、姉が穴から飛び出してくる。
もうスキルが解けたのか。姉が出てきたからか穴が消える。
「弟に彼女なんて認めないわ!それも2人なんて!」
「弟君が自分で決めたことを尊重しないのが姉なの?」
「……むぅ~!」
リエナさんの見事な返しに姉は言い返せずに頬を膨らませて抗議する。
「……大変だねぇ。ナナキもナティもニュウも」
「意外と敵は多かったわね」
「まだまだ増えそうだなぁ。ニュウにチャンス増やしてやってくれよ」
「リアルで知り合いなのが厄介じゃのう」
「抑え役がいるだけマシ」
「確かに!」
ラドンナやリリリ達がテーブルに座りながら、騒動を眺めて感想を言っている。
とりあえず座ろう。話が進まん。
「ホーミ。これ以上騒ぐなら接触禁止にしますよ」
「うっ!?……分かりました」
マヤウェルさんの言葉に流石に姉も大人しくなる。
皆が席に座り、ナダが紅茶を用意してくれる。ウマー。
「まぁ、クラン・ホームに関しては以上ですわ」
「十分すぎるな。で?ご近所さんの困ったことってなんだ?」
気になります。僕達は何を巻き起こしているのでしょうか?
「まぁ、そこまで大げさではありませんが、お2人はもはやアイドルと言えるポジションになってますわ。そのため、お2人が通われるお店や声を掛けられた人達が周囲に自慢したりしているのです。それが宣伝になったり、羨む人が多くて一種のステータス扱いになっていますの」
「「にゃ!?」」
「それは十分大事じゃろうに」
「ってことは、このクラン・ホームも……」
「えぇ。すでに観光名所になりつつありますわ。そしてこの通りの住民はそれを自慢してます」
『……』
厄介ごとが起こる予感しかない!混乱とか言うレベルじゃないぞ!
「それに関してはエリマさん達も動いてくれていますわ。タマ様達も手を打って頂けるようですわ」
「にゃ?」
「エリマさんの話では、このホームはタマ様達の国の所属であるという手続きをしてくれるそうですわ。つまりこのクラン・ホームにおいては治外法権になります。この街の領主も了承して頂けてるようですわ」
「つまり、ある程度は厄介ごとは遠ざけられるわけか」
「ですわね」
話が国単位になったで。もう早くケット・シーの国に行きたい!
「僕達はどうすればいいですかにゃ?」
「いつも通りで構わないでしょう。周りの行動はあくまで一時的なものですわ。これから第2陣も増えるでしょうし、ケット・シーのプレイヤーや他の妖精族も増えるはずですわ。新しいアイドルも生まれるでしょう」
「にゃ~」
そういえば売り切れ状態だったソフトの再販がそろそろか。従妹も始めるって言ってたしな。
「ただケット・シーに関しては少し問題がありますの」
「なんだ?」
「エリマさんやタマ様達からケット・シーのプレイヤーに関しては【眠猫庵】で保護してほしいということですわ」
『あぁ~』
まぁ、今の所僕とナティしかいないから、支援が僕達に集中してるもんね。そうなると僕達が最初から関わった方がタマ師匠やジェジェン先生的には楽なのか。
「ケット・シーに関してはクランというよりは僕とナティで対応するにゃ」
「よろしいですの?」
「にゃ。どうせタマ師匠達に会わせるにゃ。それにクランに入れるかどうかは本人の気持ち次第にゃ。ここにゃら宿はニャラルスさんの所でもいいにゃ」
「そうだな」
「他の妖精族は関係ないの?」
「そこまでは求められないでしょう。それこそナナキ様達が危険になるだけですわ」
「だったらそう問題は無いだろう」
メンバーは特に異論を出さなかった。
あんまり皆に迷惑かけない様にしないとな。
「で、闘技大会についてですが」
「参加一択だろ」
『異議なし』
「「にゃ!」」
だよね。
「もう少ししたら内容も分かるでしょう。パーティ編成は内容を見て、また集まりましょう。クランでの参加が可能の場合は、今回は全員で1チームとしましょう」
それに全員頷く。
「どういう内容なのかな?」
「予選会とかあるのか?」
「エリマさんはその可能性があるって言ってたにゃ」
「じゃあ、あるって考えるべきよね」
ファナが首を傾げるとオグマが声を上げる。それに僕はエリマさん達との会話を思い出して伝える。それにリリリが反応する。
そこにフルレッドさんが声を上げる。
「気ぃ付けとけよ。俺らも住民から話聞いたけど、なんでも戦神が関わるらしいぞ?」
その言葉に全員が僕とナティを見る。
心当たりがデカすぎる僕達は何も言えなかった。
「聞いとくよ?戦神はまだ関わってないね?」
ラドンナが質問してくる。
「本人はにゃいにゃ」
「本人は?」
「PvPで出てくる審判役の神使さんにゃ」
「あぁ。あいつらか」
僕の言葉にディノや全員が納得するように頷く。
「ってことはそこまでじゃないか」
「それはどうかの?この2人は変なところから繋がることもあるしの」
「そうそう」
リュリィが呟くと、それにアガタが異を唱える。それに蘭羅も同意する。
失礼な!それは僕らのせいじゃないやい!
「ちなみにその神使と会ったのはいつですか?」
「オグマの時と、プレイグ様の時にゃ」
『……それだぁ!!』
「「にゃ!?」」
シェーンの質問に答えると全員が突っ込んでくる。
何が!?
「神と戦ってんじゃねぇか!」
「どう考えたってフラグになるじゃないか!」
「あ」
ディノとツヴェルトが突っ込んでくる。
そうだね。遊戯神の戦いに戦神の神使関わってるじゃん。もう繋がってるじゃん。
「これは何かあるな」
「そう覚悟した方がいいわね」
ナダとモーカが諦め気味に結論を下す。
それに周りの同意する。僕とナティもね。
今回の会議はこれにて終了。各自自由行動になった。
「先輩。ホーミさん。1ついいですか?」
「にゃ?」
「なに?」
「あの女はDTO始めるんですか?」
あの女?
「従妹のです」
「あぁ……もうすぐ始めるって言ってたにゃ」
「そうね」
「ちなみに先輩の事は……」
「知ってるにゃ」
「そうですか……」
真巳がどうしたの?
アヤナは少し顔を顰めて考えこみ、そしてナティとニュウを見る。
「お2人に忠告しておきます」
「にゃ?」
「?」
「先輩の従妹は、お2人の敵です」
「にゃ!?」
「!!」
いきなりの爆弾投下!?
近くにいた皆もアヤナの話に耳を傾ける。
「あの女の厄介な所は『先輩に関わることだと異常なほど運が良くなる』ことです」
「あぁ~。確かにそうねぇ」
姉も納得する。
そうなの?
「例えば、くじとかでグループ分けをするとあの女が100%先輩と組みます。別行動しても本当に意図もせず先輩と二人っきりになります」
「どんだけだよ」
「流石にわざとだと何回も疑って監視したこともあります。そういう時は『何故か先輩の方から奴を見つける』んです」
「あぁ~……確かに自由行動してたらよく見つけてたにゃあ」
思い当たる節がありすぎる。本当に偶然ばっかだから疑ったことはないなぁ。
「なので、もし奴がこのゲームを始めるなら。間違いなく【ケット・シー】になって【エアスト】に来ます」
「にゃ!?」
「え!?」
「奴の一番厄介なとこは『排除したくても出来ない状況になる』ところなんです」
アヤナは顔を歪めて吐き捨てるように言う。それに姉も顔を顰めて頷いている。
それにナティもニュウも困ったように僕を見る。
昔は特に問題視してなかったけど、今はちょっと困るかなぁ。
「悪い子ではないのよ。別にあざといことなんてしないし、腹黒いわけでもないの。誰かを押しのけてナナキと居ようとすることもないわ。ただナナキに引き寄せられるように運がいいから、あの子もナナキが運命の相手だって思っちゃってるのよ」
くじを嫌がったことも、アヤナが僕と2人でいても押しのけたことは無いしね。
「先輩の事をしっかり見てるから、自分勝手な事も言わない。だから前なら私達も文句はなかったんですが……」
「ナティとニュウが現れたことで厄介な展開になりそうだねぇ」
「そうなんです。話を聞いている限り、ナティさんは大丈夫そうなんですが」
「ニュウはその運とやらに負けそうってことか」
「はい」
全員が考え込むように顔を顰める。
皆がニュウを応援してるからね。
「困るねぇ」
「こればっかりはナナキがどうこう出来る問題でもねぇしな」
「というか、ナナキに遠ざけさせるのは違うでしょ」
「じゃのう。それにその従妹も別に悪いことはしておらんしのぅ」
「とりあえず、付き合ってることを話してからじゃないとどうしようもないわね」
「それに絶対来るかどうかもまだ分からないですわ」
ニュウは少し落ち込んでいる。
まぁ、ここまで話されたら不安だよね。どうしたものか。
……ナティと話して、ちょっと考えようか。
トラブルが起きない様に願うしかない僕だった。
ありがとうございました。




