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#66 ちょっと寄り道とお久しダンス

よろしくお願いします。

 ポン!


「にゃ!」

「おかえりにゃ。ニャニャキ」

「にゃ!」


 戻ってきました!ナナキです!

 

「ありがとうにゃ。ニャティ」

「にゃあ」


 お世話になりました!いい経験でした!

 僕は体を動かしてみる。

 ふむ。特に違和感はない。


「大丈夫そうだな」

「にゃ。結局2時間半以上は確実みたいですにゃ」

「だな」


 なんでだろうね?

 そして、ふと思う。


「……自分自身にも使えるのかにゃ?」

「あん?自分に?」

「にゃ」


 なんか思いついてしまった。いや、多分誰もが最終的には一度は思いつくんだろうけど。

 普通は逆だ。他の相手を長く猫にするべきものだろう。

 なのに使い慣れているはずの【ケット・シー】が長く変身するのは少し違和感がある。


「やっぱりジェジェン先生に聞くしかにゃいかにゃあ」

「にゃあ」

 

 ナティが同意してくれる。

 だよね。

 さて、まだ次のキャンプ地までは時間がある。

 やることなんてないけどね!


「次のキャンプ地が今日の最終目的地ですかにゃ?」

「多分な。次のキャンプ地の先も今と同じくらいだ。休憩するとなると、着くのは暗くなるかもな」

「まぁ、次で夜を明かしても翌日の昼には間違いなく着くでしょう」

「にゃあ」

「どうかしたの?」

「にゃ。街の手前で行きたいところがあるにゃ」


 エリマさんに教えてもらったんだよね。

 ナティも行きたいと言っていた。街に着いてからでもいいかと思ったけど、こんなに早く着くなら先に行くのもありだよね。


「う~ん?街の手前でなんかあったかしら?」

「俺は知らん」

「エリマさんから聞いたにゃ。観光ポイントみたいにゃ所ですにゃ」

「観光ポイント?」


 ルナイラさんが首を傾げる。

 まぁ、ちょっと道から離れるから知らないのも無理はないだろうな。

 僕達だって聞かなかったら絶対行くことはなかっただろうな。


「どんな所なんだ?」

「山の上の方にある岩場ですにゃ。夕陽や夜空が綺麗だって言ってたにゃ」

「へぇ~」

「魔獣は出ねぇのか?」

「ちゃんと結界張ってるらしいですにゃ。だから、そこで1泊する気でしたにゃ」


 ルナイラさんも興味があるようだ。

 フルレッドさんは魔獣の出現を気にしていたが、ちゃんと結界を設置しているらしい。

 まぁ、絶対ではないから壊れてないかどうか確認はいるだろうけど。


「私も行ってみたい!」

「俺は別にいいわ」

「私はギルドに報告に行かないといけませんからねぇ」


 ルナイラさんは参加希望。フルレッドさんとケーンさんは不参加。

 どうすればいいの?


「別にルナイラ連れてってもいいぞ?別に街にいたってのんびりするだけだからな」

「だから行く!」

「いいにゃ?」

「はいにゃ」


 ナティからの許可も出ました。

 ルナイラさんがいてくれてたら戦いになったら助かるのも事実。

 お願いします!



 本日のキャンプ地に到着。

 バルダエアさんに明日は寄るところが出来たので、ここまででいいと伝える。


「あ?そうか。気ぃ付けて行けや。また会ったら乗ってきな」

「「にゃ!」」


 ナティと右手を上げて返事をする。

 最近、この返事が気に入ってます。というか自然にこうなったな。

 まぁ、いいか。


「せんぱ~い♪」


 アヤナ達が来た。

 その登場気に入ってるの?

 向こうじゃ見たこともないけど。


「はい!向こうじゃ出来ませんから!」

「そうかにゃ?」

「アヤナは向こうじゃ猫被ってんかんな」

「あぁ~」

「納得された!?」

「だってアヤニャは僕達以外の人といる時の雰囲気が違い過ぎるにゃ」

「だって先輩以外なんてどうでもいいですし」


 相変わらずですな。流石にそろそろ申し訳なくなってきたぞ。

 女友達はいないの?


「いますよ?ちゃんと本性も知ってます。クランでだってルナイラさんや他の女性陣とも仲はいいですよ」

「だったらいいにゃ」

「はい♪」

「そういえば、さっきここまででいいとか言ってたな」

「にゃ。ちょっと寄り道する予定にゃ」

「どこに行くんだ?」


 フルレッドさん達にもした話をアヤナ達にもする。

 ルナイラさんも来ることを伝えると。


「私も行きます!」

「だったら俺らも行くか」

「だな」

「クランはいいのかにゃ?」

「別に街に戻っても、すぐに何かするわけじゃないしな。今だってゴブリン退治したメンバー全員がいるわけじゃないぜ?」

「にゃるほど」


 僕には不満は無い。

 ナティに顔を向けると、ナティも笑顔で頷いてくれる。

 ありがとう。


「じゃあ、明日出発にゃ」

「あいよ」

「楽しみです!」


 アヤナはスキップしながらオアン達と一度クランの元に戻る。

 一応報告はするそうだ。


 その間に僕達はテントを張って、火を起こす。

 まだ夕飯には早いがナティは明日のお弁当を作ってくれるそう。

 楽しみ!

 僕はそれを横目で見ながら、卵を撫でる。

 リフォンは現在コベリの所に遊びに行っている。

 ……僕も手袋が欲しくなった。手伝いたい。

 いや、恋人が作ってくれるのは嬉しいけどね。僕は少しでもナティと共同作業をしたい!


 そこに再びアヤナがやってきた。


「あれ?ナティさんって料理出来るんですか?」

「はいにゃ。この手袋とエプロンのおかげですにゃ」

「……うぇ!?なんですか!?そのレア装備2つ!?」

「ニャニャキが引き当ててくれましたにゃ!」


 アヤナがナティの装備を鑑定したのか、驚いている。

 僕達ってありえないレア装備の塊だもんね。

 ナティは笑顔で自慢する。

 うん。かわゆい。


「せ!先輩!?」


 僕は卵を撫でながら、ブーツとハットを示す。


「これ、ニャティが引き当ててくれたアイテムだにゃ」

「え?……うえええええ!?」


 アヤナは僕の装備を見て目を見開いて叫ぶ。

 だよね。


「どうしたんだ?」


 NJとオアンが声を掛けてくる。

 アヤナは目を見開いたまま、NJ達を見る。


「せ……先輩の装備のレア度が……Legendランク」

「「は?」」


 アヤナの言葉に2人も固まる。

 だろうね。


「ケット・シーせいか、レア物が当たりやすいにゃ。特にお互いの事を思って開けるとヤバイみたいにゃ」

「「「あぁ……」」」


 僕の説明で納得してくれたよ。こんな説明でいいのかね。

 

「いや。お前って遠出した時はびっくりするほどラッキーだったじゃないか」

「だな。何故か地元では効果を発揮しないが」

「うるさいにゃ!」


 余計なお世話だい!

 そうだったかなぁ。記憶にない。


「富士山登山に行ったら降水確率100%だったのに、何故か雲一つない快晴になるし」

「旅行先で欲しい物や食べたい物があったら、どんな人気商品でも絶対残り1つは売れ残ってるなんてのもあるな」

「後は……道に迷ったら親切な地元の方に出会って、穴場スポット教えてもらったり、非売品をもらえることも基本ですね」

「……にゃあ」

「すごいですにゃ!」


 言われれば確かにそうだな。旅行で売り切れとかで泣いたことはないなぁ。

 ナティが褒めてくれるけど、実感がないです。

 まぁ、良い事だからいいか!

 僕は気分良く卵を撫で続けた。



 そして、夜。

 リフォンも帰って来て、目の前にナティの晩御飯が並ぶ。


「今日はアジと海老のフライですにゃ!」

「にゃー♪」

「きゅあ!!」


 リフォンにはアジと海老の炒め物。毎度思うけど、そっちも美味そうだな!

 本日は白いご飯とみそ汁も一緒に頂きます。

 では!アジフライをパクリ!


「んにゃ~んっ!……うにゃっふうううううう!!」

「にゃあ」


 やっぱり最高!

 エビフライやみそ汁も堪能。みそ汁も好みの味です。

 

「よかったですにゃ」


 ナティは尻尾をフリフリしながら喜んでくれる。

 そして皿洗いを一緒にする。

 う~ん……ナティにはお世話になりっぱなしだ。恩返し出来たらいいけど、僕では作り物が出来ない。

 街に着いたら考えよう。手袋とエプロンって実用性のあるものしかプレゼント出来てない事実に気づいてしまった。

 

 リフォンはお腹一杯になったせいか、すでにテント内で就寝。

 ナティが卵を抱えて撫でながら、2人で並んで座り、いつも通り尻尾で繋がりながらほっこりする。

 この時間はたまらんね。


 


 おはようございます!


「「うにゃ~~」」


 本日も心地よい日光の元で、伸びをする。

 そして朝ご飯をモキュモキュ。


「おはよう。ナナキ」

「「おはようですにゃ」」


 そこにルナイラさんとオアン達が来た。

 僕達の傍に座って、4人も朝ご飯を食べ始める。


「観光ポイントってどのくらいかかるの?」


 ルナイラさんが尋ねて来たので、僕は地図を広げて、場所を指し示す。


「ここですにゃ。だから……この後すぐに出れれば僕達でも夕暮れ前には着きますにゃ。山道がひどくなければですけどにゃ」

「なるほどね。ところでナナキ」

「にゃ?」

「この地図はなに?」

「にゃ?……あ」


 しもた。普通に出してしもた。

 4人はジト目でこっちを見る。

 ふっ!でも大丈夫!


「ジェジェン先生がくれたにゃ」

「ですにゃ」

「あぁ……あの教授猫さん」


 納得した様に頷いたルナイラさん。

 よし!ジェジェン先生ありがとう!

 実際にこの地図を提供してくれるように手配したのはジェジェン先生だからね。嘘ではない。


「ナナキ達で夕暮れ前に着くなら大丈夫ね。それに地図を見る限り、そこから街へも一日で行ける距離だし」

「にゃ」

「じゃあ、ご飯食べたら行きましょうか」


 リーダーはルナイラさん。拒否権はないです。

 まぁ、オアンも何も言わないからいいだろう。オアンは嫌なら嫌ってはっきり言うしね。


 食べ終わって、テントの後片付けをして出発!

 ちょうどフルレッドさん達も同時に出発した。

 乗らないでいると、やっぱり凄い迫力だな!バルダエアさん達の移動。


「あの暴走族感がなければ、もっと人気出ると思うんだけどなぁ」

「でも、この世界で暴走族なんて分からないからいいんじゃない?それにあれくらいの方が野党や魔獣、アホなプレイヤーも簡単に声掛けたり、襲い掛からないでしょ」

「あぁ、なるほど」


 NJの呟きにルナイラさんが考えを述べる。

 それにNJや僕達も納得する。

 確かに自衛が必要か。お客さん乗せてるわけだしね。避けれる戦闘は避けるべきか。


「もしかしてバルダエアさんとアルファレアさんって……」

「アルファレアは素っぽいけどね。バルダエアは仲間のために率先して演じてる可能性は高いわね」

「「にゃ~」」

「アルファレアを見て、いい方法だと思ったんでしょ」


 夜にナティとも話題になったけど、バルダエアさんの抱っこと笑顔良かったもんな。

 

 僕達は道を外れて山を目指す。

 魔獣は見られない。


「まぁ、山に近づけば流石に戦いにはなるわよ」

「先輩は私が守ります!」

「いや、ゴブリンの戦いを見る限り、守りはいらんだろ」

「だな。トリッキーではあるようだが」


 まぁね。そういえば、


「オアン達はもうクラスアップしたにゃ?」

「あぁ。俺は【重戦士】だ」

「俺は【メイジ】だ」

「私は最初からレア職の【シャドウ・シーフ】なので、クラスアップのレベルが高めなのでまだですね」

「ちなみに私は【槍闘士】ね」


 おぉ~。見事なバランス!

 そうか。クラスアップするとレベル上限も上がるのか。


「ナナキ達はまだなのだろうが……クラスアップするのか?」

「僕は迷ってるにゃ」

「私はクラスアップする予定ですにゃ」

「ナティってシスターだっけ?」

「はいにゃ」

「シスターの上って……プリーステス?でもプリーステスは初期職にあったし」

「シスターはプリーステスの下位だ。だからクラスアップはプリーステス一択だ。しかしシスターを経由した場合、回復魔法の種類や効果が増えると言われている。そして次のクラスアップもしやすいらしい」


 【ウォーリア】や【フェンサー】の下は【チャンバラ】、【キャスター】の下は【(まじな)い子女】と言うものがあるらしい。

 まぁ、基本選ばないらしいけどね。手間が増えるのは事実だ。

 ちなみにこれらは【底ジョブ】と呼ばれ、スタート時にしか現れないため、地味にレアジョブでもある。

 今の所【底ジョブ】から始めたメリットははっきりしていない。まぁ、まだクラスアップ出来るようになったばかりというのもあるし、覚える種類が増えると言っても、やはり上位職の方が強くて良いスキルを覚えるというのもある。

 

「でもナティが選んだ時点でなんかありそうよねぇ」

「その時はまだニャニャキに会ってにゃいですにゃ」

「会ったことで変わった可能性はあるわよ?2人がやってきたことを考えるとねぇ」

「「にゃ~」」


 ちなみに僕もなんかある気がしてる。でも分かるのは大分先だからね。

 それに今更変えれるわけでもないし。悪い事にはならないでしょ。


「今更だけどさ」

「にゃ?」

「前のイベントで抱き合って倒れてたり、他のメンバーのスキル効果上がったのは何だったの?2人が何かしたのよね?ラドンナ達に聞いても誰も教えてくれないのよね」

「……ノーコメントにゃ!」

「にゃ!」


 誰が言うもんか!

 ナティも力強く頷く。

 

「えぇ~」

「そう言った時点でお前達が何かしたのは分かったがな」

「「にゃ!?」」


 しもた!?

 ルナイラさんは僕達の反応を見て、目を見開きながら僕を掴み上げる。


「にゃ!?」

「見せなさい!じゃないと、もっと人がいる所でやらせるわよ!」

「「にゃにゃ!?」」

「あ~……ナナキ、ナティ。ここで見せた方が黙ってくれると思うぞ?」

「ですね。それだけ隠したい理由を納得してくれると思います」

「「にゃにゃにゃ!?」」


 味方がいない!?

 

「見せてくれたらスッキリするわ!」


 僕はナティを見る。ナティは涙ぐみ始めている。

 だよねぇ。これを見て諦めてくれないだろうか。必要でもないのになぁ。


「頑張って!」


 悪魔がおるで。

 これは逃げられそうにないなぁ。僕だけでやる?


「駄目ですにゃ!あれは2人でやるにゃ!」


 ナティが泣きながらも力強く言ってくれる。

 すまぬ。僕のせいではないが。

 

 僕達は4人より少し離れて、2人で並ぶ。


「「【ニャニャニャ】」」


 スキル名を言う。

 すると、なんと両手にポンポンが現れた。

 はい?


「「にゃんにゃにゃにゃん♪にゃっにゃっにゃっ♪にゃんにゃっにゃんにゃん♪にゃっにゃっにゃん♪」」


 ポンポンを振りながら笑顔で踊る僕達。

 待ちなさい。なんですかこれは!?小道具出るなんて聞いてませんよ!


「「頑張れにゃんにゃにゃ♪頑張れにゃっにゃっ♪フレフレにゃんにゃにゃ♪」」


 バサバサと振りながらお遊戯のようなチアダンスを踊る僕達。

 それを見ているルナイラさんとアヤナは両手で鼻と口を押さえて、目に涙を溜めながら震えている。

 ルナイラさんは笑うのを耐えているんだろう。アヤナは鼻血かな?

 NJとオアンは憐みの目を向けてくる。


「「にゃ~あん♪」」


 そして、最後はポンポンを掲げた後にナティと抱き合って終了。

 ポン!とポンポンが消えて、僕達はそのまま倒れる。


「ぶふっ!……くははは!……こういうこと……!」

「しぇんぴゃいが……きゃわいいしぇんぴゃいが……天使のように……」

「これは……隠したいよなぁ……すまん」

「しかし効果は絶大だな。なるほど」


 ルナイラさんは腹を抱えて蹲りながら笑う。

 アヤナは鼻血を流してトリップ。

 NJは同情してくれて代表して謝り、オアンはステータスを見て納得する。


「満足……したかにゃ?」

「えぇ……ふははっ!……フルレッドにも内緒にしとくわ」

「先輩の天使は私が守ります!」

「意味分からんし、鼻血を止めて拭け。アヤナ」

「まぁ、ケット・シーが増えたらバレると思うけどな」


 僕達は起き上がり、光を失った目でルナイラさん達を見る。

 ナティは僕の背中に顔を押し付けている。

 リフォン。ナティの頭に居てあげて。


「きゅあ~」


 僕は帽子を被る。

 な……泣いてなんかないやい!


「さぁ、行くにゃ」

「そうだな。……マジですまん」

「いいにゃ。いつか……こうにゃってたにゃ。ポンポンが出たのは驚いたけどにゃ」

「あぁ……熟練度があるのか。踊り中はオートみたいだな。鬼畜な……」


 本当だよ。このまま使うと最終的にはどうなるんだよ。

 助けてください。


 ナティがまだ背中から復活しないので、戦闘は4人にお任せした。


「凄いわね!全然動きやすさが違うわ!」

「確かにこれは周りが勝手に言える類じゃないな。色んな意味で」

「だな。切り札ではある」


 4人は喜んでくれているようだ。

 それは良かった。羞恥心を捨てたんだ。それくらいの効果はあってほしい。


 そして昼前、いよいよ山に入る。

 上を見上げると、山頂付近に突出した岩場があった。


「あそこが目的地にゃ」

「おぉ~確かにあそこからなら景色は良さそうだな」

「では、登山と行こう」


 山道は整備されており、登りやすかった。

 ナティも流石に山道に登る際には回復してくれた。

 山道では魔獣は出ず、2時間ほどで少し開けたところに小屋があったので、そこで昼食となった。

 

「はいにゃ!」

「おぉ~!!」


 ナティがお弁当を広げてくれた。

 中はサンドイッチや魚のフライ、卵焼きなどが入っている。

 美味そう!ってか絶対美味い!


「リフォンにもにゃ」

「きゅあ!!」

「ふにゃ~ん♪」

「本当においしそうね」

「うぅ~」

「諦めろアヤナ。料理人じゃないんだ。作れないだろ」


 美味いの~♪

 パクパクモキュモキュと食べる。

 いくらでもお腹に入るぞ!


 1時間ほどゆっくりとして出発。

 目的地まであと2時間といったところだろう。


 リフォンは楽しそうに木々をすり抜けるように飛び回っている。

 迷子になるなよ~。


「きゅあ!!」


 楽しそうで何より。

 そして、夕暮れ前には結界が張ってあるキャンプ地に着いた。

 まずはさっさとテントを張り、火の準備をする。


「ナナキ達はテントも1人用で行けるから、ある意味便利よね」

「まぁ、その分装備は特注ばっかりだけどにゃ」

「にゃあ」

「ドヴァ親方やカラニャさんに会えにゃかったら、どうにゃってたか」


 シャンバラの皆さんがいなかったら、どれだけ金が吹っ飛んでいたのだろう。

 多分、まだ旅に出る余裕もなかっただろうなぁ。


「で?どうするんだ?」

「岩場に向かうにゃ」


 僕達は岩場に向かい、出っ張った大きな岩に登る。

 ちゃんと階段が設置されている。

 そこを登り、ギリギリ端まで進むと、


『おぉ~!!』


 全員が声を上げる。


 岩からは【ツヴァート】が見渡せて、街の向こうに夕陽が沈んでいくのが見える。


「これは……壮観だな」

「あぁ……海外でもこんな景色は見れんな。外壁都市ばかりだからこその景色だ」

「街の明かりも綺麗です」

「ホントねぇ~」

「にゃあ~」


 現実で例えるならばマチュピチュに近いのだろう。

 ツヴァートは山の上ではないが、周りは草原や山で囲まれているから、ポツンと街があるのがまた神秘的だ。

 夕陽に照らされて、そして街の中の明かりが見え始めて、その明かりが星のようにも見える。


 僕達は岩場に座り、静かに夕陽が沈むのを眺めている。

 少しずつ暗くなり、街の明かりが目立ってくる。その変化もまた美しく、目が離せない。


「冒険したって感じだにゃ」

「にゃあ」

「レベル上げとかだけが冒険じゃない……か」

「にゃあ。色んにゃ人に会って、色んにゃ戦いもして、こんにゃ景色を探して見て回りたいにゃ」

「にゃあ」

「先輩らしいです」

「なら、俺らも色々探してみるか」

「そうだな。ナナキが知らない所を見つけて、自慢するのは楽しそうだ」


 それは、きっと楽しい。楽しすぎるだろうな。


 陽が沈むと、空にたくさんの星が輝き始めた。


 暗くなると、街の明かりと星空が鏡のようでとても綺麗だった。

 

 凄いなぁ。


 僕とナティは尻尾を絡める。

 

 もっと2人で、皆で、世界中を見て回りたい。


 僕は改めて、そう思った。


ありがとうございました。

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