#65 小さいナナキの大冒険
よろしくお願いします。
子猫になりましたナナキです。
猫になって30分ほど経過しました。
後10分ほどで休憩地点のキャンプ地に着くとのこと。
僕はまだ子猫のままで、ナティに抱っこされている。
幸せなんです~♪
「その状態って歩けるの?」
ルナイラさんが質問してくる。
確かに……でも、さっきは普通に体動かせてたしなぁ。
どこまで動けるかも試しておくべきか。
「みゃ!」
「下ろしますにゃ?」
「みゃあ」
「はいにゃ」
ナティがそっと僕を床に下ろしてくれる。
周りを見ると、目の前にルナイラさん達の巨大な足がある。
……ちょっと怖い。猫ってこういう風に見えてんだなぁ。そりゃ人が近づいたら威嚇するよね。
とりあえず前進。チョコチョコチョコと歩く。
後ろを見る。
……全く進んでないな。
でも歩きにくいは無い。どうなってるんだろうね?
「みゃ」
「歩きにくそうではないな。まぁ、全然進んでねぇけど」
「ですね。まぁ、ケンタウロスの方達が普通に歩いてますしね」
「そう言やぁそうだな」
確かに!
ふとナティとルナイラさんが静かだなと思って2人を見ると、ナティはポヤ~ンとトリップしていて、ルナイラさんは口を押えて肩を震わせていた。
なんだよ!ルナイラさん!
「だって……ぷくく……頑張って歩いてるのに……くふっ!……全然進まないんだもん」
子猫に何を求めてるんだ!
すると、ルナイラさんはポーチからあるものを取り出した。
「ほ~れ♪ねこじゃらし~♪」
「みゃ!?」
僕の目の前でフリフリとねこじゃらしを振られる。
そ……そんなもの!
僕は目を離せずに振られるのに合わせて顔を動かす。妙にうずうずする。
ふん!こんなものになんか負けないぞ!
ねこじゃらしなんかに負けない!キリッ
「みゃ!みゃみゃみゃ!みゃー!」
「ウリウリ~♪」
「マジで猫になってやがんな」
僕は思いっきり前足を伸ばして、飛び付いていた。
はっ!僕は何を!
「上~♪」
「みゃ!!みゃ~みゃあ!」
今度はルナイラさんはねこじゃらしを振りながら上へと上げていく。
それに合わせて僕も上へ前足を伸ばし、後ろ脚だけで立つ。よくテレビで見る「ちょうだい♪」ポーズだ。
ルナイラさんはそのまま後ろにねこじゃらしを移動させていく。
「みゃ!みゃあ!みゃあ…みゃう!?」
「あはははははは!!」
「ぶふっ!くははははは!」
「………くふっ!」
「かわいいにゃ~♪」
僕は頑張って前足を伸ばし続けて仰け反り、耐えきれずに後ろに転ぶ。
はっ!僕は一体……!
それを見たルナイラさんは腹を抱えて大笑いし、フルレッドさんは噴き出して笑いだし、ケーンさんは口を押えて震えている。
ナティは頬を押さえてイヤンイヤンと悶えている。
ナティは構わない。大いに悶えてもらいたい。
ただし!他の人達は笑うな!また猫にしてやる!
「み゛ゃう゛~」
「す……すまん……悪いとは思ってるんだ……くはは……!」
「でも、普段のナナキを知ってるからこそ笑っちゃうのよね……!」
ルナイラさんは涙を浮かべて笑う。
ふんだ!
「みゃう!」
僕はナティの足元でルナイラさんに背中を向ける形で丸まる。
拗ねます。起こさないでください。
「にゃあ」
するとナティが僕を抱っこする。
甘えます。邪魔しないでください。
「みゃ~♪」
「にゃあ~♪」
「……ラブラブねぇ」
ナティの腕に顔をスリスリする。流石に胸にはスリスリ出来ません。鼻血が出る。
こんなことをしながら休憩地点に到着した。
僕はナティに抱っこされた状態で馬車を降りる。
そこにオアン達がやってくる。
「せんぱ~い♪……はどこですか?」
「みゃ」
「……え?」
「みゃ」
「おぉ?ナナキ?」
「みゃ」
「……スキルか?」
「みゃ」
アヤナはポカンと固まり、NJとオアンは首を傾げて現状を理解する。
ナティが代わりに説明してくれる。
それに納得するオアン達。
ねぇ?鑑定持ってない?
「アヤナが持ってるぞ」
「あと2時間ですね」
「みゃ~」
やっぱり3時間くらいなのか。
なんでこんなに長いんだ?
すると、アヤナが僕の頭を撫でる。
「みゃ~」
「か……かわいい!先輩が……天使に!」
「まぁ、こんなナナキはここでしか見れんわな」
アヤナが何かに慄いている。
まぁ、リアルでは子猫になんかなれないからね。僕の方がまだ大きいし。
出発は1時間後ということで、僕達はまったりすることになった。
僕は地面に下ろしてもらい、ググ~っと伸びをする。
「みゃあ」
座っているナティの横でのんびりとするが、それも暇なので少し冒険してみることにする。
「みゃ!」
「ニャニャキ?」
「みゃ~」
僕はピョコピョコと走り始める。
ナティはそれに小走りで付いてきてくれる。アヤナも何故か付いてくる。
走っていると、目の前に馬の脚が現れる。
「みゃ!?」
「あぁ?また子猫?でも昨日のとは違うな」
「それはニャニャキですにゃ」
「あぁ?あの猫男?」
「みゃあ!」
「……お前も可愛いな」
バルダエアさんは僕を見て、頬を赤らめてボソッと呟く。
しかし……本当にデカいな。見上げる首が痛い。
バルダエアさんは手を伸ばそうとするが、僕が小さすぎて届かない。
「………」
「……みゃあ」
「にゃあ」
するとナティが抱き上げてくれる。
そして、なんとナティからバルダエアさんに僕を手渡す。
あれ?
バルダエアさんは昨日のナティのように僕を抱っこする。
おぉ……!またナティの抱っこと違う。優しいのは変わらないけど。
「お前も撫でると気持ちいいな」
「みゃあ~♪」
「先輩が……デレてる……!?」
バルダエアさん。いい匂いだし、撫でる手付きがやば~い♪
ナティの気持ちがよく分かった。
「ありがとよ」
「みゃあ!」
「にゃあ」
「……羨ましい」
バルダエアさんは僕をナティに返し、礼を言って去っていく。
僕は再び地面へと下りて走り出す。
冒険の続きだ!
すると、今度は怪獣が現れる。
「みゃあ!?」
「がう?」
「どうしたん?コベリ」
「みゃあ!?」
「ん?三毛猫?」
怪獣の後ろから大怪獣が現れた。
まぁ、コベリとベリスケさんなんだけどね。
でっかい。コベリでもでっかい。
「ニャニャキですにゃ。スキルで子猫ににゃってますにゃ」
「ナナキ君?」
「みゃ!」
「……色んなスキルがあるねぇ」
「みゃあ」
「あ。ウニャミスさんは今、倒れ込んでるから近づかん方がいいよ」
「みゃ!」
「にゃ!」
「がう!」
何故かコベリも頷く。
ウニャミスさんは無事なんだね。まぁ、回復魔法使われてたしね。
「この後もまだ拷問続くらしいから。下手に近づくと暴走しそうなんよね」
近づきません!
するとコベリが僕の目の前で横になる。
「がう!」
「みゃ?」
「あぁ~……背中に乗れってことかな?俺がコベリによくやってるから」
マジでお父さんしてたよ。
せっかくなので登らせてもらう。
おぉ!ふかふかだな!
「がう!」
「みゃあ!」
コベリが僕を背中に乗せたまま、歩き出す。
これも面白いな。
「ベリスケ。コベリは……ぶふっ!」
「あ。ラーン?どうしたん?」
「な……なんふぇもにゃいぞ!(なんだ!?コベリと子猫のコンビは!可愛すぎるだろうが!)」
ラーンさんが鼻を抑えながらこっちをガン見している。
それにナティとアヤナが何か同意するように頷いている。
僕とコベリとベリスケさんが同時に首を傾げる。
そしてラーンさんとアヤナが崩れ落ちた。
なんやねん?
ナティがそっとまた僕を抱っこする。
「これ以上は危険ですにゃ」
「みゃ?」
「がぅ?」
何が危険?
とりあえずベリスケさん達に礼を言って離れる。
そろそろ時間?
「アヤニャさん」
「はい?」
「はいにゃ」
「え?」
「みゃ?」
ナティが僕をアヤナに渡す。
アヤナはポカンとしながらも、僕を優しく抱っこする。
おぉ……アヤナの抱っこもまた違う。
「みゃあ♪」
「……ふふ♪」
「にゃあ」
アヤナは僕の顎を撫でる。
おぅ♪これやべぇ。気持ちええ~♪
アヤナの顔が近い。なんかリアルとは違うなぁ。優しい顔だ。
まぁ、ずっと優しいけど。
「ありがとうございました。先輩。ナティさん」
「みゃあ」
「はいにゃ」
アヤナは満足したのか僕の頭を最後に一撫でして、ナティに返す。
ナティは笑いながら、僕を抱っこする。
うん。落ち着く。
ナティとアヤナが仲良くなって良かった。
次の休憩場所は時間がかかるので、ここで昼食となった。
と、言うことは。
「はいにゃ。ニャニャキ」
「みゃあ」
ナティがお皿にご飯を乗せてくれて出してくれる。
サンドイッチなんだけど、クッションか!っていうくらい大きい。
うん。半分も食べられん。
とりあえず齧り付こうとすると。
「みゃ?」
ナティに抱っこされた。
これは……もしや……!
「はいにゃ。あ~ん」
「みゃ……みゃ~ん♪」
一瞬の躊躇。されど僕に断る、嫌がるなんて選択肢はない!
すぐに笑顔で応じます!
「う……うらやましい!」
「マジでラブラブだな」
「良い事だな」
「まぁ……なぁ」
すぐ近くでアヤナ達が見ているが、気にしない。
そんな余裕はない!
地味に初ア~ンなんですよ!これに浸らない僕なんているだろうか!?嫌!いられない!
「みゃ~♪」
「にゃ~♪」
幸せな時間。あれだね。好きな人の前で赤ちゃん返りする男いるけど……その気持ちがよく分かってしまった。好きな人がお母さんしてくれるって意外といいもんだね!このスキルに感謝しよう!
ご飯を食べ終わると、少しまったり。
そこにリフォンが下りてくる。お前もデカくなったな。いつも僕の頭に居たのに。
「きゅあ!」
すると、コベリのように僕の前にしゃがみ込む。
乗れってこと?
「きゅあ!」
「みゃ!」
ならばお邪魔します!
よじ登って背中に乗る。
すると、リフォンは翼を動かして飛び始める。
おぉ!すげぇ~!
「きゅあ~!」
「みゃ~!」
「あれは楽しそうだな」
「そうだな」
「グリフォンに乗って笑う先輩……!最高です!あぁ!このゲームを始めてよかった!」
「ですにゃ!」
「意気投合したなぁ」
「いいことだろ」
空を飛ぶってやっぱりいいね!
リフォンはまだちっちゃいから僕達を乗せて飛ばないからね!リフォンも楽しそうだ!
リフォンは空を旋回して、急に急降下する!
ひゃっほー!
「がう?がう!」
「きゅあ!」
「みゃ!」
「え!?子猫だ!」
「あらま。ナナキ君」
「本当に子猫になってるんだな」
どうやらコベリを見つけたようだった。
リフォンはコベリの頭に乗っかる。コベリは立ち上がった状態で歩き出す。
「が~♪」
「きゅ~♪」
「みゃ!」
「ぶふっ!ま……まひゃはにゃぢが」
「はい。ラーン」
「す……すみゃにゃい。ベリシュケ」
「可愛いです!」
「いいなぁ~」
「やめろ助平猫。穢れるでしょ」
「えぇ!?」
「あんた、さっきまで何されてたのか思い出せ」
「ぐふっ!」
なんか遠くで黒猫が胸を押さえて蹲っているが、気にしない。
楽しいな!
残念ながら出発時間になってしまった。
そして再び馬車に乗って走り出す。
次の休憩所は3時間ほどかかる。
乗っている間に戻るだろう。
ちなみに。
「いやああああああ!!」
ドコン!
「ぎゃう!」
「てい!てい!」
「ぐふ!ごお!」
「おら!」
「ごう!?」
ウニャミスさんは今度は簀巻きにされて台車に乗せられている。
馬車にぶつかって転げ落ちると、少女ケンタウロスが2回踏みつけて、なんと最後には大人ケンタウロスさんが蹴り飛ばして、台車に戻す。
上手いな!?そしてエグくなったな!?
「ナナキ。もう見ないの」
「みゃ!」
僕は忘れることにした。
「さっきは随分と楽しそうだったわね」
「みゃあ!」
楽しかったです!
「ナティが後ろにいたのがもう御袋さんだったな」
「ホントにね」
「にゃあ~」
ルナイラさんとフルレッドさんの言葉にナティは頬を染めて照れる。
本当にいい人だよね。
リフォンは遊び疲れたのか、寝転んでお昼寝中。
嬉しそうに飛んでたもんね。何かを乗せて飛ぶなんて初めてだったのかな?
「隙あり!」
「みゃ!?」
「にゃ!」
いきなりルナイラさんが僕を抱き上げて、胸に押し付ける。
あかん!柔らかいのが!柔らかすぎる!
「おいおい……」
「ふっふ~ん♪アヤナやバルダエアに抱っこさせてたの見」
「みゃ!?」
「にゃ!?」
フルレッドさんが呆れているが、ルナイラさんはしてやったりと話していると突如ルナイラさんが消える。
慌ててナティが僕を受け止める。
え!?どこ行ったの?
「あぁ~……セクハラに引っかかったな」
「みゃ?」
「軽度のセクハラは3時間ほどGMがいる説教部屋に転送されてお仕置きされるんですよ。まぁ、こっちでは10分くらいですけど」
「みゃ!?」
「にゃ!?」
マジで!?ウニャミスさんは何故?
「みゃあ?」
「あ?あぁ~あの黒猫はその場でやり返されてるからだな」
なるほど。納得。
少しすると、ルナイラさんが四つん這いで帰ってきた。
「ぐすっ!……ぐすっ!」
なんか泣いてる。
「どんな説教されたんだ?」
「ぐすっ……1時間正座でショタコンの痴女扱いで説教された挙句、猫にされてムキムキの大きな男達に代る代る抱っこされた……ぐすっ」
『………』
想像だけでも辛過ぎてなんも言えん……!
僕の逆の事をしたのだろうけど……何故ムキムキの男なのか?せめてルナイラさん好みの男にしてあげたらいいのに。
……説教だからか?
「まぁ……これに懲りたらもう少しナナキを男として扱ってやれ」
「ぐす……うん……」
「みゃ~ん」
馬車の端っこで体育座りをしているルナイラさんを慰める力は僕にはなかった。
ありがとうございました。




