#60 愛を込め過ぎました
2章にも掲示板回を追加しました。
よろしくお願いします。
おはようございます!
「「にゃう~~~」」
ナティと2人でテントを出て、一緒に両手を上げて伸びをする。
「どうしますにゃ?」
「ベルヒムが来るって言ってたけど、いつか分からにゃいにゃ」
「きゅあ~」
モキュモキュとサンドイッチを食べながら相談する。
料理が出来るようになったからね!もうサンドイッチの在庫を心配する必要はなくなった!
村からここまでどれくらいなんだろうか?
地図を広げてみる。
「村が……ここにゃ。で、その手前からこっちに来たから……あ、これかにゃ?」
「ですにゃ」
ふむ。簡単に現在地を把握出来てしまった。
そしてあることに気づく。
「う~ん。フィールドボスがいる所の方が近いにゃ」
「その近くにキャンプ地もありますにゃ」
「にゃ。歩いて……夕方くらいの距離だにゃ」
と言うことは、村まで行くと夜になる。
う~ん。無理に村に寄る必要性はない。
どっちに行くにしろ途中までは道は同じなので、分かれ道まで歩くことにする。
テントを仕舞って、焚火を始末して、装備を確認して、祠に一礼して、リフォンを頭に乗っけて。
いざ!出発!
「きゅあ!」
テコテコと歩く。魔獣の気配は少ないし遠い。
「それにしても……色んにゃイベントあったのににゃんだかんだで順調に来てるにゃ」
「そうにゃんですかにゃ?」
「にゃ。【草木の迷路】があのアトラクションに変わっただけにゃ。むしろ迷路行かにゃかった分早いかもしれにゃいにゃ」
「にゃるほどにゃ」
なんだかんだでまだ6日目だもんな。マキナー自爆やゴブリン騒動、プレイグ様のアトラクションと盛沢山だった割には順調だよね?
もうすぐ分かれ道というところで、
「おーい!!ナナキー!」
「にゃ。ベルヒム達にゃ」
村側の方角からベルヒム達が走ってきた。
え?まさかずっとじゃないよね?なんかココアさんが死にそうな顔してるけど。
「無事だったか!心配したぞ!」
「ごめんにゃさいにゃ」
「いいんだ!無事だったらそれでいい!」
「ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!ぜぇ!」
「ココア大丈夫?水飲めそう?」
「ベル。流石に休むわよ。全く、心配だったのは分かるけど走り続けなくてもいいでしょうに」
マジで村から走ってきたの!?
「だから俺だけ先に行くと言ったじゃないか」
「馬鹿言わないでよ。あんただけ行かせたらどこに行くか分かったもんじゃないわ」
だろうね。僕達に会わなかったらどこまで探しに行ったんだろう?
フファンさんがため息を吐きながら呆れる。そしてこっちにも声を掛ける。
「まぁ、無事でよかったわ。あ、鼠の魔獣は倒したわよ」
「ありがとうございますにゃ」
「いいわよ。そっちも大変だったみたいだしね」
フファンさんは肩を竦める。
次はキエラさんが尋ねてくる。
「2人はこれからどうするの?」
「フィールドボスに挑むつもりにゃのでキャンプ地に行きますにゃ」
「なるほどな!」
「私達はどうする?」
「もう倒してるしねぇ」
「俺達はもう少し村の周りを見回るぞ!まだトロールとか出てきているからな!」
ベルヒムが両手を腰に当てて宣言する。
まだトロール出てるの?
すると復活したココアさんが吠える。
「何言ってんのよ!村の周りは元々トロールの生息地よ!あの程度ならいつも出てるわ!」
「え!?」
「やっぱり調べてなかったのね!森の中から出てくるならともかく!森の中にいるくらい普通よ!」
ココアさんの言葉にベルヒムが驚く。
調べてなかったんかい。
「まさか今ベルヒムが言ってた見回りって……」
「森の中まで入っていくわよ」
「………」
そりゃあ出るよ。トロールくらい。
「一度【ツヴァート】に戻るわよ!ちゃんと依頼受けるの!」
「そうだな!」
依頼じゃなかったんかい!!
やっぱりベルヒムに暗黒騎士は無理だよ!
とりあえずベルヒム達とキャンプ地に向かう。
そういえばフルレッドさん達はどうなったんだろうか。
「村には来なかったわよ」
「そうですかにゃ」
まだゴブリンがいるってことなのかな?
「っていうか、歩くのゆっくりね。あなた達」
「足が短いにゃ」
「あぁ……なるほど。でもこれだと時間が掛かるわ」
フファンさんが突如僕とナティを抱き上げる。
「にゃ!?」
「この方が速いのよ」
それは御理解しますが!こ、後頭部に柔らかいものが!!
「フファン。あのね。多分、ナナキ君には刺激強いかなって思うの」
「え?って、あぁ……中身は普通の男だったわね」
「それに彼女さんが怒りそうだよ」
「にゃ!?」
「あら。だったらこうしましょうか」
フファンさんはキエラさんの指摘に苦笑いし、僕をベルヒムの兜の後頭部に張り付ける。
肩車のようになる。
「にゃ?」
「これならいいでしょ」
「きゅあ!」
リフォンは嬉しそうだった。まぁ、普段より高いからね。
キャンプ地を目指しながら歩くベルヒム達。
ナティはココアさんやフファンさん達に交代で抱っこされていた。
僕は変わらずベルヒムの肩に肩車されている。
せっかくなので、
「フィールドボスはどんにゃ奴だったにゃ?」
「ん?確かゴーレムだったな」
「【アイアン・ゴーレム】ね。パーティーの人数に応じて数は変わるわ。あなた達だけなら1体のはずよ」
「ベルヒム達と入ったら増えるかにゃ?」
「えぇ。一応フィールドボスは何度でも戦るわ。倒すと通行証がもらえて、それを入り口で示さないとゴーレムが動き出すって感じ」
なるほど。
しかし【アイアン・ゴーレム】か。
「僕達だと火力がにゃいからにゃあ」
「にゃあ」
「やっぱりそうなんだ」
「でも1人増やすと確実にゴーレムは2体になるわよ?」
「にゃ~……自流考えるしかにゃいかにゃあ。3つの組み合わせって難しいにゃ」
「3つ?」
あ。口が滑った。
とりあえずプレイグ様のことは隠して、アトラクションで戦ったコピー魔物が3つのスキルを組み合わせたことを話す。
「そうか……確かに3つ組み合わせられないなんて聞いたことがないな!」
「そうね。そうか……βの連中はこれを一番隠したがったのね」
「わざと『2つ』って言うところを印象付けるように広めたってこと?」
「そうよ」
あぁ~。そう言うことなのか。確かに誰も3つの組み合わせ試してないなんてのも聞いたこともないな。
「組み合わせられる数は極端に減るはずよ。それを下手に広げたら、それこそ切り札が無くなるわ」
「なるほど!」
フファンさんの言葉にベルヒムが頷く。
確かになぁ。これは黙っておくべきだったか。反省。
「まぁ、今話したんだから広める気は誰もないわよ」
フファンさんの言葉に全員が頷く。
昼過ぎにキャンプ地に着いてしまった。
ここまで歩く速度が違うのか。ということはオグマ達には結構合わさせてしまってたんだなぁ。
「今更種族は変えられないんだから、諦めて運ばれることに慣れたら?」
「女性じゃにゃかったら慣れてきてますにゃ」
「あはははは!なるほどね!!」
キエラさんが僕の言葉に笑う。
オグマに運ばれるのくらいなら何にも問題ない。
でもね、白蓮達に運ばれるのは慣れないよ。だって男の子だもん!!青少年にとってあの膨らみの感触は意識しちゃうよ!
ナティの目が怖いのもある!
「大変だな。小さい種族って」
ベルヒムから同情の視線を感じる。
今の所僕より小さい男性プレイヤーって見てないな。ってか……いる?
キャンプ地にはテントが3つほどあった。
思ったより人がいないな。
「村からだったら早朝に出れば昼前には着くしね。だから、ここで泊まる人は少ないわよ」
「にゃるほど」
と言っても、今はもうおやつ時。流石にこれから挑むのは難しい。
僕達だと確実に深夜になるだろう。
と言うことで僕達はここでキャンプすることにした。
ベルヒム達はこのまま進むらしい。
「気を付けてな!」
「頑張ってね」
「またね」
「ツヴァートで会いましょ」
「「にゃ!」」
4人と別れてテントを設置。
そして、ちょっとお昼寝。
ぐぅ。
起きたときは日が沈む直前だった。
慌てて火を起こして、ランプを付ける。
そして、
「頑張って作りますにゃ!!」
ナティがエプロンと手袋をして気合を入れている。エプロン姿に悶えたいです!
遂にナティの手作り料理が!
僕もある程度出来るけど、手袋が無いので細かい作業は難しい。
「大丈夫ですにゃ!ニャニャキは待っててくださいにゃ!」
そう言ってナティが準備を始める。
鍋とフライパンを取り出し、キャベツ・人参・ジャガイモ・トマト・白身魚を用意した。
野菜を角切りにして、コンソメや塩胡椒などを使って煮込んでいく。
その間に塩で魚の水分を抜いて、塩胡椒と小麦粉をはたいてフライパンで焼いていく。最後は白ワインで蒸し焼きに。
そして出来上がったスープを皿に盛って、最後に焼き魚を乗せて出来上がり。
「出来ましたにゃ!さかにゃのミネストローネですにゃ!」
「うおおおお!!」
すご!美味そー!
「きゅあー♪」
リフォンにも焼き魚を出している。もちろん味付けはいつもより豪華だった。
「いただきますにゃ!!」
「きゅああ!」
パクリ。
こ……これは……!
「ど……どうですかにゃ?」
「にゃっふぅううううううう!!!」
僕は無我夢中で食べていく。
ナティはそれを見て、嬉しそうに自分も食べ始める。
美味すぎるどー!
気づくと食べ終えてしまっていた。
「ふにゃ~……美味しかったにゃあ~♪」
「良かったですにゃ」
「あ。片づけは手伝うにゃ」
「ありがとうですにゃ」
2人で食器を洗う。
リフォン?満腹になって幸せそうに寝てるよ。
洗い終わって持ち上げようとしたとき、妙に食器が軽いことに気づいた。
「にゃ?」
「どうしましたにゃ?」
「にゃんか……にゃべや食器が軽いにゃ」
「にゃ?」
なんでだろ。
ステータスを確認してみると、筋力と知力が強化されていた。
え?
「料理ってバフ効果あったにゃ?」
「今まではにゃかったですにゃ」
「だよにゃあ」
じゃあなんだ?
でも、料理しか心当たりがない。
「……あ、ニャダに聞いてみるにゃ」
「にゃ」
ナダにテレフォ~ン。
『ナナキか。どうしたんだ?』
「今、大丈夫かにゃ?」
『あぁ。問題ない』
僕は料理のバフ効果について質問する。
『料理にバフ効果だと?私も【中級料理人】になったが、そんなものは付いたことがない』
「食材……はニャダが選んでくれたもの使ったからにゃあ」
『ならば尚更……いや、待て』
「にゃ?」
『【ケット・シー】は妖精族だったな』
「にゃ」
『……噂の範囲だが』
「にゃ?」
『【妖精の恵み】と呼ばれる料理があるそうだ』
……嫌な予感しかしません。それって【愛の奇跡】と同じものでは?
『なんでも妖精族が作った料理では時折力が沸き上がるものがあるそうだ』
「時折……」
『あぁ……だが、それは大抵親しい者に対してのみ現れるらしい』
はい。ヒット~。
間違いなく【愛の奇跡】的なものだ。
『おそらく無意識に魔力を込めながら料理をしているからだろうな。それがバフとして現れる』
「……にゃるほど」
『だからバフ効果は基本君しか発現しないはずだ。愛されているな』
「嬉しいけどにゃあ。それはそれで……」
『もちろん大事だな』
ですよねー。
ナダとの通信を終え、ナティにその話を伝える。
「まぁ、気にしにゃくてもいいにゃ」
「はいにゃ。明日からも頑張って作りますにゃ!」
だからと言って、ナティの手料理を止める選択肢はない。そりゃないわ。
マイナスもないんだし、美味しいんだもん。
マイナスがあっても食べるけどね!
ナティの料理を食べないという選択肢はない。
女神様方、今日も僕は幸せですだ。
ありがとうございました。
次回は現実世界パートになります。




