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#59 寂しかったんだ

1章に掲示板回を入れました。


よろしくお願いします。

 勝利宣言を聞いて、ナティを降ろすとポン!と元に戻ったナナキ。


「にゃ?」


 キョロキョロと周りを見る。ナティはなんかこっちを見てフニャ~ンとしている。

 なんかプレイグが崩れ去っている。何が起こってん?


「にゃ?勝負はどうにゃったにゃ?」

「お前さん達の勝ちだよ。覚えてねぇのか?」


 ダンディ・ボンドが近づいてくる。

 え?勝ったの?全く覚えてないです。


「なんだ?じゃああの王子状態知らねぇのか?」

「王子ぃ?」


 首を傾げる。なんのこっちゃ?

 すると、目の前にウィンドウが現れる。


「決闘はリプレイ機能がある。ムービーフォルダに入ってるからな」

「にゃんと!?」


 初耳です!

 そしてリプレイを見る。途中まで飛ばしてキスの所から見る。

 うん。諸々の事情で今後この動画は封印です。

 動画を見終わった僕は崩れ落ちる。

 恥ずかしいなんてレベルでねぇだ……!


「じゃ、俺は帰るぜ」

「あ……ありがとうございましたにゃ……」

「おう。また面白いの見させてくれよ」


 そんなつもりないやい!

 ピュン!と消えていったダンディ・ボンド。

 部屋の中には崩れ落ちた女神と猫、倒れている猫2匹、そして幸せそうにフニャ~ンとしている天使お1人が残される。

 

 しかし……なんであんな姿になったんだ?記憶もないし。


『……あれは君達が一番望んでいた姿ってことだよ』

「にゃ?」


 プレイグが拗ねたように腕を組んで座り、こっちを見ていた。

 僕はナティを頑張って正気に戻して話を聞く。


「僕達が望んだ姿ですにゃ?」

『もっと正確に言えば君達が妄想していた姿だよ」

「「にゃ!?」」


 なんでそんなものが!?


『私達、神だって君の思考読んでるでしょ?このゲームは思考もログ化してるよ。そして、思考ログを読み込んで一番共通しているもので【愛の奇跡】の効果内容を決めてるんだよ』

「ということは……」

『君達は常日頃から「ナナキ王子様」をイメージしてるんだね!よっ!このラブラブカップル!』

「「いにゃーーーーーー!!」」


 顔を真っ赤にして蹲る僕達。


 悪いですか!?この世界で好きな人といたらかっこいい姿妄想するじゃん!!かっこよく戦いたいじゃん!助けたいじゃん!スタイリッシュで行きたいじゃん!!


 ってナティも王子様想像してるんだね!頑張って目指す!


『無理だからあの姿になってるんだよ?君にあの姿は無理だよ。身長半分以下だよ?この世界で伸びると思ってんの?タマ師匠がケット・シーで一番高いかんね?普通あそこまで伸びないかんね?【奇跡】って言葉の意味わかってる?』

「うにゃーーーー!!」

「ニャニャキ!?」


 プレイグが僕の夢を砕いた。そうだよね!!叶わないことが起こるから奇跡なんだよね!!

 ゲームでも叶わないのかー!?


「大丈夫ですにゃ!私はいつものニャニャキの姿をそう思っているのですにゃ!!」

『そうそう』


 プレイグも同意する。いつの間にか黒ナナキ達もプレイグの横に座って頷いている。

 

『まぁ、いいじゃん。強くなることは事実だし。損は無いじゃん。ちなみに変身時間は3分くらいだね』

「滅多に使えにゃいにゃ……」

『クールタイムはどうなんだろうね?まぁ、後はキスしなくても使えるようにすることだね』


 ウルト〇マン?

 検証するためにキスとか出来ません!

 まぁ、そんな毎日キスなんてしないからクールタイムも大丈夫だろう……多分。


『さて、とりあえず』


 プレイグと黒ナナキ達が立ち上がる。


『アトラクション制覇!!おめでとーーう!!』


パァーン!!


 クラッカーを鳴らして叫ぶぷプレイグ。その横でどこから出したのか黒ナナキ達が花吹雪を撒く。

 いや。その花吹雪はこっちにやるもんでしょ?なんでプレイグにやってるのよ。


『よくぞクリアしたな!!クリア報酬を受け取るがいいぞ!!』


 プレイグが金色の箱を2つ出現させて、僕達の目の前に置く。


『中身は出てから見るように!!』


 見せてくれないんかい。

 ところで……。


「いつまでその偽物を使うですにゃ?」

『ん?可愛いからずっと使う!』

「「にゃ!?」」

『気に入っちゃった!!御供にする!!』

「「やめてにゃ!」」

『なんでよ!!神の御供だぞ!?喜ぶところじゃん!別に君達自身でもないし!!』


 だけど恥ずかしいじゃん!ここに来る人に見られるじゃん!


『他の奴の前になんか基本出ないよ。言ったでしょ?スペシャルだって。最初にここに来た奴だけの特権なの』


 ということは、これから来る人にはただのアトラクション?


『そうだよ』


 なんでこんな分かりにくいところに作ったの?


『そこなんだよ!!というか、ここは本来【草木の迷路】をクリアしたら来れる所なの!!なのに誰もまだクリアしないじゃん!!君達ゲーマーなんでしょ!?もっと粘り強く挑んできてよ!!あんな所にある迷宮なんだから怪しんでよ!!それにあの洞窟ももっと探索して!?オープンワールドゲームなんだから細かい所まで探りなよ!!そしたらここへの裏口も見つかるのにさぁ!!』


 なんか急に座って、どこから取り出したのか分からんクッションをバンバン!と叩きながら抗議を始めた。

 でも洞窟はネズミがなぁ……。


『逆じゃん!!あんな辺鄙なところにあんなネズミがいるから、「なんかあるんじゃね?」ってなるんじゃん!!なのにさぁ!!「ふぅ……でっかいネズミだったなぁ。ここはこいつの巣か。帰ろう」って倒して満足するんじゃないよ!!普通もっと宝とか探すじゃん!!それがゲーマーでしょ!?なんで皆サラッと帰るの!?』


 小芝居も交えて抗議が続く。

 今は第2の街に行くことを優先する人が多いから、もう少ししたら増えると思われますが。


『暇じゃん!!他の街の連中も全然クリアしないもん!!遊戯神なのに誰も本気で遊びに来てくれないんだもん!!ぐすっ!やっど来だど思っだら強運で逃げりゅじざぁ!!ざい゛ごばお゛う゛じに゛な゛りゅ゛どがい゛びわがんにゃ゛い゛!!にゃんだびょう゛~!うわあ~~ん!!』

「「にゃ!?にゃあ!?」」


 途中から涙声になって最後には大泣きを始めた。 

 僕達は慌てて黒ナナキ達とプレイグを慰める。


『ざびじがっだの゛ぉ~!!ゆう゛れ゛い゛じがいな゛い゛んだも゛ん、ごごぉ~!!あ゛ぞびだがっだのぉ~!!う゛あ゛~~~ん!!』

「ゆ、幽霊はともかく!分かったにゃ!その子達と遊んでいいにゃ!時々遊びにも来るにゃ!」

「ですにゃ!!」

『ぐずっ!……ぼんど?』

「ホントにゃ!次はにゃかまとか連れて来るにゃ!」

「ですにゃ!」

『ぐずっ……約束じてくれりゅ?』

「「にゃ!」」


 もはや神様だなんて頭から吹っ飛んでます!ちっちゃい子に泣かれたら勝てんよ。

 流石にちょっとかわいそうだった。


 多分プレイヤー達が自分の迷宮やアトラクションをどうクリヤーしていくのか、すごく楽しみにしてたんだろうね。だって遊戯神なんて、このゲームの世界にとってある意味一番重要だもんね。この世界の真実を知っているからこそ……気合を入れていたんだろう。

 だって彼女はゲーマーという言葉や概念は知っていても、本物は知らないんだから。

 そうか……この子は僕達がこの世界でどう楽しむのか、一番楽しみにしてて、一番考えてくれてたんだ。


「約束しますにゃ」

『ふぇ?』

「もっとこの世界を見ますにゃ。もっとこの世界で楽しみを見つけますにゃ。もっともっとこの世界の不思議を楽しみますにゃ!!次は必ずプレイグ様の期待に応えて見せますにゃ!!」


 プレイグの右手を両手で握りながら僕は宣言する。

  

『ほんと?ちゃんと見つけてくれる?』

「「にゃ!」」


 2人で力強く頷く。さり気なく黒ナナキ達も頷いている。

 

『分かった……これからも頑張る!!』

「「にゃ~!!」」


 今度は猫4人で花吹雪を投げる。これはプレイグメインで正しいよね。


『よし!!お前達に私の加護をあげる!!』


 プレイグがこっちに手を伸ばすと、僕達の体が一瞬光る。

 おぉ~これで3つ目だよ。これって多いの?


『多いよ。というかスタート時から加護を持ってるなんて君だけだよ』

「にゃ!?」

『というか、これでさらに幸運になったよ』

「「にゃ!?」」

『そりゃ神の加護なんだから幸運が増えるに決まってるじゃん。運が絡みそうなものは基本「良い事しか起きない」って考えといた方がいいよ?特に2人揃っている時はもうヤバイだろうね。今ならもうサイコロ6個以上振っても全部「6」が出るんじゃない?』

「「にゃにゃ!?」」


 なんてこったい!?


『あ。それと卵にも加護あげたからね!ちゃんと孵化させてね!』

「「にゃにゃにゃ!?」」

『言っとくけど、その卵には月女神も加護付けてるからね』

「「にゃはぅ!?」」


 え!?どんな子が生まれるの?怖いこと言わないで!


『【草木の迷路】はゴブリンの影響消えたら、ちゃんと攻略に来てよ!』

「「にゃ!」」

『じゃあ……帰れ!』

「「にゃ!?」」


 そんな乱暴な!?

 すると周りの景色が変わり、浮遊感を感じる。

 どこに行くんですか!?


 そして再び重力を感じる。


「ぶにゃ!?」

「うにゃ!?」


 地面に叩きつけられた。

 頭をフルフルとして、周りを見る。

 後ろに何かの祠のような物があった。


「プレイグ様の祠かにゃ?」

「そうかもしれにゃいですにゃ」

「もう夜だにゃあ」

「ここで休みますにゃ?」

「だにゃ。あ。ベルヒムに連絡してみるにゃ」

「にゃ」


 テレフォ~ン。

 

『ナナキィ!!!無事だったか!!!』

「ふにゃう!?」


 耳がキーン!とした。ちょっとタイム。


『どうした!?ピンチなのか!?ピンチなんだな!?どこだ!?今すぐ行くぞ!!』

「だ……大丈夫にゃ。無事だって連絡したかっただけにゃ」

『そうか!よかった!』


 だから声量を下げてください。

 

 そして、あったこと簡単に話す。

 プレイグ様のことは内緒。特別だって言ってたしね。


『あの洞窟の下にそんなところがあったのか!じゃあ、あのインフォはナナキ達のことだったのか!』

「インフォ?」

『昨日、新しい迷宮が見つかったってインフォが流れたんだ!』

「にゃ?僕達には来てにゃいにゃ」

『発見者に来るわけないだろう!』


 そんなもんなんだ。

 とりあえず攻略して、今は祠のような所にいて野営することを伝える。


『そこなら分かるぞ!明日にでも迎えに行く!』

「いや。無理しにゃくても」

『大丈夫だ!安心しろ!ではな!』


 切られた。やっぱりあの人勇者気質だよ。暗黒騎士なんて諦めようよ。

 ここって村から近いんだな。


 とりあえず、テントを張る。

 焚火を起こして、リフォンを呼んで晩御飯の準備をする。


「きゅあ!きゅあ~♪」

「ここって見張りはいりますかにゃ?」

「結界はあったにゃ。多分、大丈夫にゃ」

「にゃ」


 焼き魚をモキュモキュと食べながら話す。

 両手で魚を持っているが、尻尾でイチャイチャする。これはナティとしか出来ないよねぇ。


「もらった報酬開けますかにゃ?」

「そうだにゃあ。今のうちだにゃ。……ちょっと怖いけどにゃ」

「にゃ~」


 しかしベルヒム達の前で開けるのも大変なことになりそうなので、ここで開けることにする。

 今回もお互いのことを考えながら開けることにする。


「ニャティからどうぞにゃ」

「はいにゃ!にゃにゃにゃ~」


 ナティは箱を持って祈るように唸りながら開ける。


「……ハットですにゃ?」

「だにゃあ。ん?このマーク、ブーツと一緒だにゃ」


 白い羽が刺さった赤いハット。羽のすぐ近くにブーツと同じく肉球とハットのマークがある。

 鑑定すると、

___________________________________________

名前:忠義猫のハット(長靴猫シリーズ)

Rank:Legend

効果:精神B+、知力B+、スキル【混乱耐性B】付与

主のために鬼と戦い、王へと導いた伝説の猫が被っていたとされる帽子。

魔道具にまで昇華しており、被った者が常に冷静でいられるように守護する。

___________________________________________

 うん。これも凄くない?

 装備で耐性スキル自体滅多に手に入らないし、それがランクBなんてヤバいよね。


「はいにゃ!」

「にゃ!」


 受け取ってポフッと被る。そして、鍔を少し摘まんでポーズを決める。


「どうにゃ?」

「かっこいいにゃ~」


 ちょっと渋めに声を出してみる。

 ナティはポ~っと顔を赤らめて、うっとりと僕を見つめる。

 ならば良し!


「きゅあ?きゅあ~」


 リフォンが僕の頭の周りを飛ぶ。少し寂しそうだ。

 あぁ。これ被ってると頭に止まれないね。

 顎紐が付いていたので縛ってハットを後ろにズラす。


「きゅああ!」


 すぐさま頭の上に乗るリフォン。まぁ、普段はこれでいいか。


「じゃあ、次は僕にゃ!うにゃにゃにゃ~」


 次は僕がナティを思いながら箱を開ける。

 出て来たのは、


「……エプロンにゃ?」

「ですにゃ」


 出て来たのはフリルが付いた青いエプロン。

___________________________________________

名前:ベテラン奥様のエプロン

Rank:S

愛する夫のために多くの料理を作った女性が使っていたエプロン。

これを身に着けると【中級料理人】同等の料理が可能となる。

*女性のみ装備可能

___________________________________________

 

「料理が出来るにゃ!」

「頑張りますにゃ!」

「きゅきゅあーー!!」

 

 料理器具は一応一通り買ってある。調味料もある!

 

 明日から……ナティの手料理が食べられるどー!!!



ありがとうございました。


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