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#42 新しい繋がりと楽しい夜

よろしくお願いします。

 僕達はそろそろ交代しようか、と準備を始める。

 そこにインフォメーションが表示される。

_________________________________________

敵将が全て討伐または撤退しました!

それに伴い、魔獣達も撤退を開始しました!


Congratulations!!


防衛に成功しました!

結界が解かれ、帰還可能となりました。


再度、帰還ルートを構築します。

明日、午前10時に帰還を行います。


それまでは、ごゆるりと遺跡攻略なり、キャンプなどを楽しみながらお待ちください!

_________________________________________

 お!終わった!


「やっと終わったねぇ」

「長かったのか短かったのか分かんねぇな」

「まぁ、色々と制限が多かったからの」

「それを考えれば、長かったですわね」

「魔力切れも多かったしね」


 ラドンナ達が戦いの感想を述べる。

 本当に大変だった。

 悲しい思いもしたしね!!

 まぁ、その後良い思いもしたけど。


「この後どうしようかにゃ」

「疲れた。お腹すいた。眠い」


 蘭羅が長椅子でグデッている。

 それを見て苦笑する一同。


「確かに外も暗くなってきてるしな」

「もう矢もないからね。戦いなんて勘弁だよ」

「じゃあ、ここでのんびりしましょうか」


 そこにフルレッドさん達も入ってくる。


「あ~。終わった終わったぁ」

「お疲れ様にゃ」

「そっちもね~」

「そちらはこれからどうするのですか?」

「もうここで休むさ。ここには厨房もベッドもあるしね」

「お風呂もあるにゃ」

「ほう?それは良いことを聞いた」 


 マヤウェルさんの質問にラドンナが答えていると、ナダさんが声を挙げる。

 

「風呂好きなのかい?」

「好きだが、私が嬉しいのは厨房の方だ」

「お!料理できんのか?」

「あぁ。【初級料理人】だ」

「そりゃあ良い!食材は出す!!うちらの料理人と一緒に作ってくれや!宴だ宴!」


 フルレッドさんが大声で周りに声を掛ける。

 宴が決定したようだ。

 楽しみだね!

 冒険者だからこその宴会ってのは憧れる。

 酒は飲めないけど。


 ということで、現在ナダさん筆頭に料理人達が調理中だ。

 フルレッドさん達は、すでにつまみを手に酒盛りをしている。

 ラドンナに白蓮達も混ざっている。


 僕達はご飯が出来るまで、部屋で休むことにした。

 したのだが……。


「ニュウさん。おはにゃしってにゃんですかにゃ?」

「……さっきの事」


 ナティと休んでいると、ニュウが尋ねてきた。

 まだ少し落ち込んでいるようで、元気がない。

 

 ちなみに部屋に戻る前に、ナダさん達に声を掛けられて重婚について説明された。

 リアルの事も、ゲームの事も含めて。

 自分達も何故その説明されているのか、何となく分かった。

 分かってはいたが、受け入れられるかと言われると難しいと言うしかない。


 僕達はベッドの上で向かい合う。

 ナティはニュウを前に不安そうに、リフォンを抱えて僕の横に座っている。

 ニュウもそれが目に入るので、居心地悪そうに座っている。


 もちろん僕も緊張している。

 何故だ?僕が浮気したみたいじゃないか!

 僕は無実です!!

 

「……ディノ達からカップルシステムが2人以上出来る事を聞いた」

「僕達も聞きましたにゃ」

「……ナナキ達はどうなの?」


 今にも泣き出しそうな顔のニュウ。

 でも、これは真面目に答えないといけない。


「少にゃくとも僕は、それを聞いても簡単には『じゃあ増やそう』とは思えにゃいにゃ。今まで女性と付き合ったこともにゃいしにゃ。だから、ニャティ以外のおんにゃの子と付き合えるイメージが湧かにゃいにゃ」

「……私もニャニャキが初めてですにゃ。それに重婚についても初めて聞きましたにゃ。だから……やっぱりニャニャキが他の子と付き合うのは、嫌ですにゃ。……怖いですにゃ」

「……………」


 ニュウは目尻に涙を溜め始める。

 そして、途切れ途切れにしゃくりながら話し始める。


「わ、私…も………付き合った…こと……ない。…好きに……なった…こと……も…ない。ナナキが……初めて」


 涙を流しながらも、ニュウはしっかりと言葉を続ける。


「でも……どうしたら……いいのか……分からない。……我慢しなきゃって……思ってた……けど…どんどん……辛くなる。……友達には……忘れろって………言われた。…けど……忘れ方なんて………知らない。……知らないの」


 ニュウは顔を歪めながら、言葉にする。

 

 それはそうだろう。

 忘れられるもんか。

 好きな人のことなんて。

 たとえ他に好きな人が出来ても、忘れることなんて出来やしない。

 それが普通だ。


「……一緒にいたい。………離れたくない。………忘れたくない。……だから……だから……形だけでいい。……ナティみたいに大事にされなくてもいい。ナナキと繋がっていたい。でも、ナティも好き。2人が一緒にいるところが好き。……だから、忘れられそうになるまで……仲間として………一緒にいさせてください……!」


 ニュウは絞り出すように告げて、顔を俯かせる。

 そこから、ポタッポタッと雫が落ちる。


 僕とナティも、それを見て苦しくなる。

 僕達もニュウが好きだ。

 もっと色んな事を皆と一緒にしたいと、2人で話したことがある。

 そこには間違いなくニュウがいる。

 

「実は……さっきニャティとはにゃしたにゃ。ニュウさんが告白してきたらどうしようって」


 その言葉にニュウは顔を上げる。


「もしニャティと別れさせようとするにゃら、もう無理だけど。もし、ニャティと一緒でもいいと言ってくれるにゃら、パートニャー登録だけでもしてみようって」


 ニュウは目を見開く。

 今度はナティが話す。


「とりあえず、登録するだけですにゃ。その後はニュウさん次第ですにゃ。私はニャニャキを独り占めしたいですにゃ。ですからデートとかも許さにゃいですにゃ。………でも、ニュウさんを嫌いにもにゃれにゃいですにゃ。だから、これから私達に『ニュウさんを恋人として扱ってもいい』と思えるようにしてくださいにゃ。それくらいじゃにゃいと、私は認められにゃいですにゃ」


 諦める必要はない。

 ルールとして認められるなら、無理に恋心を忘れる必要はないのだ。

 大事なのは『相手と他の女性が、それに納得する事』である。

 ニュウがするべき努力はそこである。


「もちろん、嫉妬しますにゃ。邪魔しますにゃ。それでも、本当にニャニャキが好きにゃら、諦めにゃいはずですにゃ。ニャニャキのために頑張るはずですにゃ」


 だから見せてみろ。

 ナティはそう言ってくる。

 ニュウはそれを理解する。


「……ありがとう。……ありがとぉ……!」


 ニュウは大粒の涙を流して、礼を言いながら顔をベッドに埋める。

 泣きながら、言葉を紡ぐ。


「頑張るぅ……頑張るぅ…!ナナ゛ギずぎぃだがらぁ!ナ゛ディもずぎぃ!頑張るぅ!…あ゛あぁぁぁぁん!!」


 これが正解かどうかなんて分からない。

 上手く行くなんて分からない。

 ナティとの関係も変わってしまうかもしれない。

 でも、ナティと決めたこと。

 酷いかもしれないけど、頑張るのはニュウだ。

 僕はそれに正直に応えよう。

 

 ナティはニュウに近づき、頭を撫でる。

 ルフォンも元気づけるようにニュウの顔を舐める。


 僕も、頑張らないとな。

 こんな2人から好意を寄せてもらったのだから。

 それに相応しくないといけない。

 もっと強くなろう。

 そう誓った。


 落ち着いたころに、ご飯が出来たと声を掛けられた。

 僕達は食堂に向かう。

 ニュウは少し恥ずかしそうに後ろから付いてくる。


 ちなみに、ニュウはやっぱりリアルでは中学生だった。

 ………他にも中学生や高校生はいるんだろうか。

 まぁ、無理に聞くことじゃないか。

 その内分かるだろう。


 ナナキは食堂に入った途端、フルレッドさんに首根っこを掴まれて攫われる。

 

「おっしゃー!主賓も来たぞ!!ナナキぃ乾杯の音頭を取れぃ!」


 酔ってんな!?

 僕がすんの!?


「そら、間違いなく今回のイベントのMVPはナナキはんとナティはんでっしゃろ」


 紅玻璃さんがお猪口を持ちながら、コロコロと笑う。

 あれ。バサラさん達もいつの間に?

 バサラさんは紅玻璃さんの横で座っている。


「料理が冷める。早くしてくれ」


 バサラさんが少し睨みながら言う。

 はい!すいません!!

 僕は首根っこ掴まれたまま、コップも持たずに音頭を取る。


「では!今回のイベントの成功を祝って!!乾杯にゃ!!」

『かんぱ~い!!』

「おし!じゃ!ガキはあっちだ!」

「にゃあ!?」


 乾杯終了と同時に、フルレッドさんに投げ捨てられる。

 僕はニュウにキャッチされる。

 ニュウは僕の頭をさり気なく撫でて、ナティの横に置く。


 それを見て、上手く行ったようだと内心ホッとするメンバー達。

 

 僕達はそれに気づかずに料理に舌鼓を打つ。

 リフォンもナティの横でガツガツと食べている。


「猫と言えば魚だろう」


 そう言って、魚料理を出してくるナダさん。

 僕とナティは少し逡巡するも、匂いに我慢できずに口にする。


「「にゃっふぅぅぅん♡!!」」


 僕達は無我夢中で魚を食べ続ける。

 ナダさんは一瞬唖然と見て、これはまだまだ追加がいるなと苦笑して厨房に戻る。


 ナナキ達を見て、周りは爆笑する。

 

 さり気なく紅玻璃がバサラとマヤウェルを見る。


「お2人もああならへんのん?」

「ならんわ!!」

「なりません!!」


 宴は盛り上がる。

 ナナキとナティは相変わらずハグハグと魚を食べ続ける。

 その横でリフォンも食べ続ける。

 その向かいでは蘭羅、オクリ、オグマもバクバクと食べている。

 

 それをモーカ、ニナ、シェーンが呆れた目で眺めている。

 ファナやリリリがニュウにナナキ達と上手く行ったのかと詰め寄り、顔を赤くするニュウにキャーーと盛り上がっている。


 ディノ達は酒が回ってきて、フルレッドやバサラと飲み比べをしている。

 いつの間にかいた青影達が、忍術を手品のように使って盛り上げ、そこにリヴァランが首を飛ばしてお道化る。

 紅玻璃、白蓮、陽影はしっぽりと飲み、アガタ、ルナイラ、マヤウェルも仲良く飲んで笑っている。


 宴は楽しく続いていく。


 明日を迎えれば、それぞれの生活に戻る。


 次は誰がここに加わるのか、それとも減ってしまうのか。


 そんなことは気にしない。


 今を精一杯楽しむ。


 それでいいじゃないかと笑う。


 その中心になった2匹の猫は、幸せそうに魚を食べている。

 

 その尻尾は、さり気なく、恋人の尻尾と絡み合っていた。


 急遽延長されたイベントの最終夜は、良き思い出として過ぎていった。



ありがとうございました。


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