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#41 溢れる思い

よろしくお願いします。

今回はこの小説の世界についての話がメインとなります。

 ナナキとナティによる捨て身のダンスでパワーアップしたメンバー達は、破竹の勢いで魔獣を倒していく。

 

「すげぇな!スキルの効果範囲もダメージ量も跳ね上がってやがる!【スワロー・エッジ】!」

「まぁ、それだけご本人はダメージを負ったようですが。【凍てつく鎌鼬】!」

「だからこそ無駄に出来ない!【破空拳】!」

「そうじゃの。【破空拳】!」

「『ポポピピ』【サンダー・レイン】!」

「敵を切り裂け!【シルフ】!」

「撃ち抜く!【バースト・アロー】!」

「おらー!【スイング・インパクト】!」

 

 その光景の後ろでは、フルレッド達が交代のため出てきていた。

 

「おぉ?なんかすげぇことになってんな」

「あのスキルってあんなに強かったですか?」

「って、わぁ!?ナナキにナティ!?どうしたの!?」

「ナナキさん?あれ?なんか泣いてます?」


 ルナイラとマヤウェルは扉の前に倒れている2人に気づいて、慌てて駆け寄る。

 しかし、2人からは全く反応がなく、ただただ涙しているように見えた。

 それを怪訝な顔で見て、顏を合わせるルナイラ達。

 そこにラドンナが近づいてくる。


「あぁ。交代かい?じゃあ、頼むよ。あと、もうちょっとだからさ」

「それはいいけど、この2人はどうしたんだ?」

「まぁ、ちょっとねぇ」

 

 フルレッドの問いかけに苦笑して濁すラドンナ。

 そして、前に声を掛ける。


「交代だよ!!」

「おう!!俺はもうちょっといけるから、下がりたい奴から下がれ!」


 ディノはまだ少し残るらしい。

 白蓮やオクリもまだやるようだ。


「……俺はナナキ達を運ぼう」

「儂は下がろう。流石に厳しいの」

「休む」


 オグマ、アガタ、蘭羅は休もうと下がる。


 オグマはナナキとナティを優しく抱き上げて、中へ運んでいく。

 それを憐みの目で付いて行くアガタやシェーン達。

 首を傾げながら、見送るフルレッド達。

 疑問は覚えながらも戦いに参加し、魔獣を倒していく。


 

 ナナキとナティは未だに抱き合ったまま停止している。

 床に毛布を敷いて、その上に寝かされている。

 リフォンがそれを心配そうに見ながら、2人の頭元で寝ている。

 その横ではニュウも心配そうに2人を見ながら座っている。

 

「まぁ、必要であったことは理解するが……あのやらせ方はなかったんじゃないか?ラドンナ、ニナ」

「……そうだねぇ」

「言っとくが、あ奴らが怒っても儂らは止めんぞ」

「「…………」」


 オグマとアガタの言葉に。ラドンナとニナは今更ながらに反省し、そして2人がキレたときのことを考えてブルッと背筋が震える。

 

 モーカは静かにナナキ達に近づき、ジィーーーと見る。

 半目で2人を見ながら、


「もう回復してるでしょ?邪魔されず抱き合えるチャンスってとこかしら?」


 モーカの言葉にピクッと震える僕達。

 ……にゃ、にゃんのことでしょう。

 それを見たニュウが僕を無理矢理持ち上げる。


「「にゃあ!?」」


 いきなりの暴挙に驚く僕とナティ。

 ニュウは頬膨らませて、僕をジィーーーっと見る。

 流石に申し訳なかったのか、目を逸らす僕。

 すると、ニュウが僕の顔を胸元に抱き込む。


「!?!?!?」


 僕は声も上げれずに、ピキッと全身を固める。

 や!やわらかい……!


「にゃ!にゃあ!にゃあ!」


 ナティが涙目で慌ててナナキを取り戻そうとする。

 言葉になっていないのが、本人のパニック具合を表している。


「にゃあ!【スイッチ】!」

「あ」


 ナティはリフォンに手を置き、ナナキの足を掴んで、無我夢中でスキルを使う。

 ナナキが消えて、リフォンが現れたことに声を挙げるニュウ。

 

 今度はナティが僕の顔を胸元に抱き込む。

 再び固まる僕。

 ボクニナニガオキテイルノデスカ!?

 

 その騒動に周りもポカンと見ている。

 きっかけとなったモーカさんも、ポカンと固まっている。

 

 ニュウはリフォンを解放し、僕を見る。

 そんなニュウをナティが涙目で見る。

 そこにシェーンが声を掛ける。


「落ち着いてください2人とも。ニュウ」


 シェーンはニュウの頭を撫でる。


「心配していたのに、イチャついていたことに怒るのは分かりますが、今の怒り方はダメですよ」

「…………うん。……ごめんなさい」


 素直に謝るニュウ。

 それにナティも落ち着く。

 解放された僕はベチャっとその横に倒れる。


「こっちもこの状況でごめんにゃさいですにゃ」


 ナティも謝る。

 それにホッとするメンバー達。


「まぁ、悪いのはラドンナとニナじゃしの」

「そうですね」

「「え!?」」


 アガタとシェーンの言葉に固まる2人。

 

 その言葉に思い出したようにバッ!!と目を向ける2匹の猫。

 ビクリと肩を跳ね上げる2人。 


「「にゃあ~(^ↀωↀ^)」」


 瞳を細め、小さく開いた口から薄っすら牙を輝かせながら近づく猫達。


「「ひぃ!?」」


 後ずさるラドンナとニナ。

 しかし、アガタとファナが2人を後ろから抑え込む。


「諦めい」

「今回は2人が悪いわよ」


 そして、神殿内に悲鳴が木霊する。


「「ああーーーーーー!!」」

「「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー!!」」


 それに合わせて猫の鳴き声も木霊する。


 顔を押さえながら床を転がる2人と、爪を尖らせて両手を上げて叫ぶ2匹の猫がいた。


「「にゃーー!!」」


 そこに戻ってきた白蓮達が呆れた目で見ている。


「あぁ。やられたのですね。まぁ、今回は仕方ないですわね」

「ホントにお似合いな猫だね」

「で?ニュウはなんで落ち込んでんだ?」

「あ~。ちょっとナナキに暴走したの。それを誤魔化すためのあれよ」

「あぁ。なるほどな。青春だねぇ」 


 ディノはしみじみと顎を撫でながら、ニュウを見る。

 ニュウは座り込んだまま下を向き、それにシェーンが話しかけていた。


「こればっかりは俺達が余計なことしてもなぁ」

「そうねぇ。でも、このままもダメよ?」

「分かってるがよ。玉砕さしてもやりづらいぜ?」

「……そうね」


 ニュウの恋心に気づいているディノとリリリは話し合うも結論は出ない。

 そこにナダが意外な言葉を口にする。


「ナナキとナティにも事情を話し、付き合ってもらえばいいだろう」

「はぁ?本気で言ってんのか?」

「本気も何もこの世界は重婚は認められている。カップルシステムもな」

「そうなの!?」

「私達からすれば受け入れがたいかもしれんがな。しかし、ここはゲームだ。無理にリアルの価値観を当てはめなくてもいいだろう。そこは本人達次第だ。カップルシステムだって登録して必ずしも恋人として行動しなくてはならないわけでもない」


 ナダの言葉に考え込むディノとリリリ。

 さらに爆弾を放つナダ。


「言っておくが、リアルでも重婚は認められている」

『はぁ!?』


 ナダの言葉にディノ達だけでなく、遠目に聞いていたメンバーも驚く。

 白蓮はその言葉に頷いている。

 ナナキとナティは未だ興奮して聞こえていない。

 ニュウも自己嫌悪中で聞いていない。


「公に宣伝されてはいないがね。3年程前に法律が変わっている。少数だが重婚する家庭も出てきている」

「海外では重婚はもう当たり前だしね。日本の場合は、重婚するのは資産家とかだし、昔ながらの一夫一妻制が根強いから表立って自慢できないのよね。だから、知らない人が多いのよ」

「詳しいな」

「これでも弁護士を目指しているのでね」

「同じく」

「ということは?」

「「リアルでも付き合ってる」」

『……けっ!』


 ナダとモーカの言葉に、何人かがやさぐれる。

 しかし、重婚が認められているなど全く知らなかった。


「法律では決まったものの、未だこの法律については多くの有権者や専門家が反対して議論しているからですわ」

「なるほど。また変わる可能性があると」

「ですわ。けど、おそらくこのまま変わらないでしょうけど」

「その心は?」

「結局、少子化や人口減少を止めるためには、国として何らかの手段を取らねばなりませんわ。たとえ国民には受け入れられないとしても。防衛と同じですわね。国を治める者として、国民のために、国民に反対されようとも出来ることはしなければなりませんわ。何かが起きてからでは遅い。で、人口減少に対しては重婚が対策の1つということです。海外では効果を発揮している国がほとんどです。少なからず、重婚を始めて人口が減った国はない。その事実がある以上、その事実を越えるデータがない限り、反対しても意味はありませんわ」

『あぁ~』

「重婚に関しては、認められただけだ。つまり、『嫌ならしなければいい』ということだ」

「だから、明確に違憲であるとも言えないの。強制でもないから。『時代の流れに沿って、人権を保障するものだ』という言葉を、否定できるものはないもの」

 

 ナダとモーカも白蓮の言葉を補完する。

 それに頷く一同だが、やっぱり今までの考えを変えることは難しい。

 

「まぁ、それを伝えて、本人達で話し合いをさせることだ」

「そういうことね」


 その言葉にため息を吐く一同。

 ナナキはともかく、ナティはやや嫉妬深いのは今までのことから分かっている。

 ナティをニュウが説得できるのか。


 不安しかないディノ達だった。


 しかし心のどこかで、上手く行くのではないか。

 そう考えてもいる。


 どうか、この妹分も幸せになれますように。


 ディノ達はニュウを見て、そう願った。



ありがとうございました。


今回の重婚に関する話は、あくまでこの小説内においてハーレム展開が作りやすいようにするためのものです。


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