#40 その封印を解きなさい
よろしくお願いします。
僕達は神殿内で休憩していた。
「全く酷い目におうたぞ」
「だから謝ったではないですか」
「アガタン!まだ火は出せないの?」
「アガタン言うなと言うに。後5時間は無理じゃな」
どうやらアガタはまだしばらく力は振るえない様だ。
僕はリフォンを頭に置きながら、長椅子に座って休憩していた。
その右側ではナティが座って果物を食べている。
そして、左側には何故かニュウが座って居眠りしていた。
少しこっちに体重が掛かっているようにも感じる。
ナティはまだ気づいていない。
けど、ニュウを起こすのも申し訳ないしなぁ。
微妙に緊張して休んでる気がしないぞ。
……訂正、美少女に挟まれて微妙なんてレベルではなく緊張しとります。
何故か周りはこの光景に突っ込みも、からかいもしない。
なんだ?この当然となっている雰囲気は。
僕は首を傾げたくなる。
「しかし、この後はどうするかねぇ。交代しても厳しいのは変わらないよ?」
「そうだな」
「でも、さすがにこれ以上の救援は厳しいですわよ?」
だよなぁ。
ただでさえ、ここに来てくれただけでもありがたいもんなぁ。
それにもう僕が知っている人いないし。
「青影は?」
「他の島にも悪魔が来てるみたいですわ」
「あぁ~」
フルカス以外にも来てるのか。
防げるのか?これ。
ちょっと不安になった。
「そろそろ交代をお願いします!!」
外から声が聞こえてきた。
「仕方ないねぇ。とりあえず行くよ!!」
ラドンナの言葉に全員が頷く。
フルレッドさん達と交代するが、魔獣の量は変わっていないように見える。
「減ってねぇな!?」
「増えてないだけマシだよ!」
「そういうことじゃな!!」
アガタ達は前に出る。
ラドンナも月女神の迷宮で手に入れた魔弓で矢を放つ。
「とう。えい。や」
蘭羅が気が抜けるような声で、薙刀を振るう。
しかし、ドワーフの力で振るわれる斬撃は敵を一振りの元に斬り捨てられる。
「【大車輪】わー」
グルグル回りながら薙刀を振るう。
その横ではオクリがハンマーを振り回して、魔獣をミンチにしている。
「おりゃ!てりゃ!ふんにゃー!」
振るうたびにドゴン!ドゴン!と大地が揺れる。
しばらく戦っていると、魔獣の行動に変化が出て来た。
「あいつら!降りてこなくなったぞ!」
「挑発しても飛び技しか来ませんわ!」
魔獣達が空から降りてこなくなったのだ。
「数が減ってなかったのはそういうことかい!?」
「むー!遠距離技放っても避けられるよー」
ラドンナがイライラしながら矢を放つ。
リヴァランもスキルを放つが、距離があって避けられてしまう。
魔力も減ってきた。
「やばいねぇ!」
ラドンナが顔を顰める。
でも、これ以上はどうしようもない。
「フルレッドさん達に早めに出てもらうにゃ?」
「それでもちょっと厳しい」
提案するが、ニュウは否定的だ。
全員が顔を顰めて考え込んでいる。
「では、私も参加させてもらおう」
突如、声が聞こえ、森から数本の矢が放たれ魔獣を撃ち抜く。
木の上から人影が飛び出し、さらに矢を放ちながらこちらに降りてくる。
現れたのは銀の短髪のダークエルフの男性。
黒のジャケットとズボンに、赤い腰マントを身に着けている。
……なんか昔のアニメに似たキャラクターいたな。
「助っ人か?」
「そのつもりよ!」
続けて現れたのは、黒髪ツインテールに赤いポンチョコートを羽織り、白いストールを巻くエルフの女性。
「『燃やしなさい』【ファイヤー・ショット】!」
魔法を放ち、魔獣を焼き落とす。
……あの人も見た気がするなぁ。
2人はこっちに近づいてくる。
「突然ゴメンナサイね。私達も協力させてもらうわ。私はモーカよ」
「私はナダという」
「2人だけなのかい?」
「そうよ?」
まぁ、フルパーティーじゃなきゃダメとかないしな。
それにしても男女2人のパーティーか。
……カップルか!リア充爆は……自分もでしたね!仲良くしましょ!
「たまたまこの島に来たのだが、そこで襲撃が始まってしまった」
「そこで魔獣を倒してたんだけど、さすがに厳しくてね。他の人達が動くのが見えたから、こっちに来たの」
「まぁ、敵が多くて置いていかれたのだがな」
ナダさんは肩を竦める。
でも、アーチャーとキャスターはありがたいな。
「行けるのかい?」
「出来る限り温存できるように移動してきたからな。それに君達には悪いが、近くで少し休ませてもらった」
「だから魔力もしばらく保つわ」
ラドンナの問いに頷く2人。
何故だろう。
すごく頼もしく感じる。
「じゃ、頼むぜ!」
「いいだろう。矢を回せモーカ!全力で行くぞ!」
「はいはい」
やっぱり未来から呼ばれた守護者さんなんだね!
好きなんですか?
「……大好きだ!」
仲良く出来そう。
モーカさんは後ろに下がって、風呂敷の様なものを取り出す。
それを地面に敷く。
そこには円の中に四角形が掛かれている。
錬成陣?
「そうよ。私は【錬金術師】なの」
そう言って、風呂敷の上に鉄や木の棒を置く。
「いくわよ。【錬成】!」
陣が光り、バチッと赤い雷のようなものが走ると、布の上には20本ほどの矢が出来ていた。
「はい。ナダ」
「すまない」
ナダさんはそれを受け取る。
3本ほど矢をつがえる。
「では、行こう。【トライ・スナイプ】」
矢を放つ。
3本の矢は高速で飛び、魔獣を撃ち抜く。
「私も欲しいねぇ」
「さすがにそこまでは魔力回せないわよ」
「だよねぇ」
「材料も無限じゃないしね」
「そりゃそうだ」
ラドンナはそう言って、魔力の矢を放つ。
ナダさんはどんどん矢を放つ。
20本より多くない?
「見た目は1本だけどね。あれ1本で10本なのよ。放つと矢筒スロットにどんどん補給されるの」
ってことは200本!?
「ますます欲しいねぇ」
ラドンナが羨ましそうにしている。
最近矢が無くて困ってるもんな。
アマゾンは魔力も多くないし。
……ふむ。
「2人はどこかクラン入ってますかにゃ?」
「2人で行動してるのに?」
……そうでした。
「前はクランにいたけど、私達が付き合ってるのが気に入らなかったらしくてね。気分が悪かったから抜けて来たのよ」
「ちなみに、ここはリーダーが付き合ってるから大丈夫だよ」
「あら。それは良いわね。で?リーダーは?」
「これ」
ラドンナが僕を指差す。
これってなにさ!
「へ?」
モーカさんは僕を見て呆ける。
そして、口元を押さえて震えだす。
「で、あっちが彼女」
「にゃ?」
後ろで魔法を使っていたナティがこっちを向く。
それを見て崩れ去るモーカさん。
悪いですかにゃ!
「しゃべってないで集中しろ!!」
ディノが怒鳴る。
すいません!
と言っても、届かないんだよな。
ラドンナの矢もないし、ナダさんの矢で入れ替わってもな。
一矢必殺を邪魔する理由がない。
【月爪乱舞】も避けられた。
……仕事がありません!!
「あるじゃないか。出来ることが」
「にゃ?」
ラドンナが笑いを耐えるような変な顔をしながら、僕に言ってくる。
そしてナティにも目を送り、
「私達を応援しておくれよ。ダンスで」
「「にゃ゛!?」」
固まる僕とナティ。
その言葉にオグマ、ニナ、チルッチ以外のメンバーが首を傾げる。
「いやにゃ!」
「なんでここでするですにゃ!?」
「なんでってバフだよ。バフ」
「バフ?」
「そ。しかもかなり強力なバフ」
ここでやるなんて嫌だよ!
「そんなんあるならさっさとしてくれ!」
「そうですわ!ここが使いどころですわよ!」
「ハリーアップ」
ディノ達が早く使えと囃し立ててくる。
僕達は顔を引きつかせる。
ラドンナと、いつの間にかナティの後ろにいたニナが僕達の肩に手を乗せる。
「さぁ、皆のため、島のために、封印を解きな」
僕達は神殿の扉の前に並ぶ。
僕は達観したような死んだ目をしており、ナティは両目に大粒の涙を溜めている。
その光景を見て、何か申し訳ない気がしてきたメンバー。
「ホントに大丈夫なの?」
リリリが不安になってきた。
ラドンナも苦笑いだ。
「効果は約束するよ」
「ニャティ。僕だけでもいいにゃよ?」
「ぐすっ……。だいじょうぶですにゃ。がんばるにゃ。……ぐすっ」
ナティはナナキだけでやらせないと覚悟を決める。
そして僕達はあのスキルを発動する。
「「【ニャニャニャ】」」
僕達は息ピッタリでコミカルに踊る。
『にゃんにゃっにゃっ♪にゃにゃっにゃっごろにゃん♪にゃっにゃっにゃん♪』
笑顔で踊る僕とナティ。
ナティは両目に涙を溜めて踊っている。
『ぶっはぁ!?』
踊り出した2人に噴き出すメンバー達。
オグマだけは憐みの目で2人を見て、魔獣に目を向ける。
その優しさが今は傷を抉るよ。オグマ。
ファナ、リュリィは鼻血まで噴き出している。
『フレフレにゃんにゃん♪頑張れにゃんにゃん♪イケイケにゃんにゃん♪』
前回と踊りも歌も違う!?
その衝撃を現せないまま、踊り続ける僕達。
『にゃんゴー!にゃんゴー!にゃんゴーゴー!にゃん♪』
モーカさんは腹を抱えて蹲っている。
ナダさんも前を向いて肩を震わせている。
『にゃあん♪』
僕達は抱き合って踊りを終える。
そして、抱き合ったまま崩れ去る。
「よし!!ステータスはかなり上がったよ!!畳みかけな!!」
ラドンナは叫び、メンバーの目を2人から逸らす。
メンバーもそれを汲んで、魔獣に集中する。
「おっしゃあ!!」
「行きますわ!」
「魔力も上がってるわ!」
「魔法も行きますよ!」
「これはすごい。やらせてもらおう!」
スキルを放ち、飛び上がって魔獣を倒していく。
その後ろで2匹の猫がピクリとも動かず、抱き合いながら横たわっていた。
ありがとうございました。
もちろんですが、ナダは剣など生み出せません。
だからこそのモーカです。
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