#15 友達が増えます
よろしくお願いします。
僕は目を開ける。
体が重く感じる。
天井がいつもと違うことに気づく。
(どこ?ここ?僕は…確か…!!)
僕は自分に何が起こったか思い出し、体を起こす。
周りを見る。
大聖堂じゃないな。ここは……病室?
僕がなぜここにいるのかと考えていたら、扉がガラリと開く。
ナティが入ってきた。後ろにはニナがいる。
ナティは僕を見ると、目を見開く。
「ニャティ!無事だったにゃ!?よかったにゃあ」
僕はナティの姿にホッとする。
しかし、ナティは目から大粒の涙を流し始める。
うぇ!?
「ニャ、ニャティ?」
僕は慌てる。
「ニャニャキ!」
ナティが僕に飛び付いてきた。
僕は慌てて、ナティを受け止める。
どうしたの!?そんなに積極的だった!?
ニナは苦笑いするもどこかホッとしている。
「大丈夫ですかにゃ!?痛いところはもうにゃいですかにゃ!?」
ナティは泣きながら訪ねる。
あぁ。そうか。心配かけ過ぎたのか。
僕は笑いながら頷く。
ナティは涙を流して縋りつく。
「ほんとに死ぬかと思いましたにゃ。ゲームだと分かっていても怖かったですにゃ。にゃにも出来にゃかった自分が、どうしようもにゃく憎かったですにゃ」
ナティの言葉に僕は驚く。
しかし、自分に起きたことを思い出す。
もし、ナティが同じことをしたら自分も同じ思いをするだろう。
そうだよね。指が欠けたりしてたもんね。
「ごめんにゃさいにゃ」
僕は謝る。
ナティはもっと伝えたいことがあった。しかし、様々な感情が渦巻き声が出ない。
それでも、これだけはと絞り出した。
ナティは微笑み、
「ニャニャキ。守ってくれてありがとうですにゃ。本当に……かっこよかったですにゃ」
お礼を言った。
その後、僕の横で顔を真っ赤にしてナティがベッドでバタバタしていると、ニナもお礼を言ってきた。
僕はそれを何でもないと言い、ナティが回復するまで待った。
うん。かわゆい。
そこにエリマさん達が入ってきた。
エリマさん達は僕の姿にホッとする。
「よかった。起きたんだねぇ。ナナキ君。体も問題なさそうだねぇ」
「ご心配かけましたにゃ。大丈夫そうですにゃ。ここってギルドの病院ですかにゃ?」
僕はエリマさん達に笑顔で答え、ピョンとその場で跳ねる。
そして、気になっていたことを質問する。
「そうよ~。ここは冒険者用の病院よ~。普通の病院だと冒険者が入院することに不安を訴える人が多くてね~」
シィナさんが答える。
なるほど。
言い方悪いけど野蛮人でもあるものな。冒険者は。
すると、タマ師匠が出てきて、
「おう。ニャティから話を聞いたぜにゃ。4人相手に張り切ったみたいだにゃあ」
僕は少し俯く。
「でも、あの人たちが来にゃかったらダメでしたにゃ」
結局ダメだったもんな。
タマ師匠は笑う。
「がにゃはははは!にゃに言ってやがる!腕一本潰して魔法殴り消すにゃんて出来る奴、ベテランでも滅多にいにゃいぜにゃ!……漢見せたじゃねぇかにゃ。ニャニャキ。よくやったにゃ」
タマ師匠の言葉に少し泣きそうになった。
タマ師匠の言葉にジェジェン先生が続く。
「全くですにゃ。しかもそんにゃ状況で魔法もスキルも見事に使いこにゃしましたにゃ。これで褒めとかにゃいと国のみんにゃに怒られるじゃ済まにゃいですにゃ」
僕は2人の言葉に頭を下げる。
そんな様子を見守っていたエリマさんが話を始める。
「さて、今回の顛末を話すとしようかねぇ」
「顛末?」
僕は首を傾げる。横を見るとナティとニナも首を横に振る。
PKに合い撃退した。これが全てではないのだろうか。
エリマさんは苦笑しながら答える。
「登録時に話をしただろう?冒険者による殺害も衛兵の対応になると。殺害未遂ではあるが、今回は犯人も動機もはっきりしているからねぇ。衛兵に通報して捕縛。財産没収した上で街からの追放処分だよ」
街の外でもバレたらアウトなのか!?
僕達は思ったより重い処分に驚愕する。
「今回は再犯率が高いと考えているわ~。そのための処分ね~。ギルタグにも犯罪歴は残るから~他のギルドでもかなり厳しい目で見られるわね~。自業自得だけど~」
理由に僕達は納得する。
しかし、僕は少しだけ4人に同情する。
始まったばっかりで武器も金もアイテムも没収されて、街から追い出されるって今後厳しくない?まぁ、説明書とかにはこの世界にもきちんと法律があるとは言ってたからしょうがないけども。
「彼らの財産は換金されてお金は君たち2人と助けてくれた5人に振り分けられる。ここの入院費もそこから払われるよ。今のところ1人6000エンほどになると思われるねぇ」
結構な収入だ。うれしくないけど。
「あとは君たちの依頼の報酬だよ。ナティちゃんが全部持ってたからねぇ。換金して全部で810エンだよ。依頼外の薬草や討伐報酬も含めてね。1人405エン。まぁ、こっちはこんなものだねぇ」
なんか低く感じる。頑張ったのに。
エリマさんは苦笑する。
「まぁ、これから受けれる依頼は増えるからそこで頑張るんだねぇ」
クエストはこれからも受けれるようだ。
絶対に今回より稼いでやる。
「講習に関しては1日おきに行うよ。もちろん依頼によっては数日かかるものもあるからその時は言ってくれれば対応する」
それもありがたい。
「助けてくれた人たちと会うことは出来ますかにゃ?」
お礼は言いたい。
ナティによれば助けてくれた上に病院まで運んでくれたらしい。
「もちろん、お金を渡すときにセッティングするよ。彼らも君の容態を気にしていたからねぇ」
本当にありがたい。
ニナがエリマさんに話す。
「これからも2人だけでクエストですか?」
さすがに心配のようだ。
僕じゃあ不安ですよね。
シィナさんが苦笑して答える。
「講習に関する依頼はそうだけど~それ以外は好きにパーティーを組んでもらって構わないわ~。ただナナキちゃんとナティちゃんは一緒にいてね~」
僕とナティは頷き、ニナはホッとする。
するとナティが質問する。
「あの……生産職の訓練は受けれますかにゃ?」
皆の視線がナティに集まる。
どうして急に?
「ケット・シーのことはケット・シーがよく分かりますにゃ。だから……ニャニャキの装備とか……作りやすいかにゃって」
最後の方は恥ずかしそうに顔を赤くして言う。
僕も顔が赤くなる。
そ、そんなことを思ってくれているなんて!
周りはそれを微笑ましく見つめる。
ジェジェン先生が答える。
「その考えはすばらしいですにゃ。しかし、生産職でもケット・シーの手の問題がありますにゃ」
ジェジェン先生の答えにナティはがっくりする。
剣が振れないんだから、ハンマーなんてもっと無理だよね。
針とかも持ち辛そうだ。
けれども、ジェジェン先生は続ける。懐から手袋のようなものを出す。
「解決策はありますにゃ。これは【創造の手袋】と言ってこれをつければヒューマンと同じように指を使うことが出来、生産行動が出来ますにゃ。もちろん戦闘には使えにゃいですがにゃ」
ジェジェン先生の言葉にナティは顔を上げる。
おぉ!凄いアイテムだな!
「問題は……非常に希少であることですにゃ。残念にゃがらこればかりは譲ることは難しいですにゃ。頑張って見つけるか、買うかですかにゃ。ちにゃみに私は500000エンで買いましたにゃ」
「「「5っ!?」」」
無理だ。高すぎる。
ナティは再びガックリする。
タマ師匠が言う。
「今はにゃいんだから諦めるにゃ。ニャティは回復魔法の練習や戦闘練習とやることがあるにゃ。それをこにゃしにゃがらニャニャキの支え方を見つけりゃいいにゃ」
タマ師匠の答えにナティは頷く。
2人で頑張ろうと僕とナティは誓い合う。
ちなみに今日は6日目。
数日寝込まなくてよかったと思う。
午前は体調を確認し、ナッド達から奪った剣とナイフをエリマさんに渡して換金してもらう。
ちなみにこれは僕個人のお金になるそうだ。
僕の剣も助けた人たちが回収してくれていた。本当にありがたい。
これで少しはお金が浮くな。
午後に訪れるということで、午前はジェジェン先生の講義を受けた。
午後になって、僕達は相談室に訪れる。
そこにはすでに助けてくれたと思われる人達が揃っていた。
「お。きれいに治ったみたいだな。災難だったな」
「助けてくれてありがとうございますにゃ。ニャニャキですにゃ」
「ありがとうございますにゃ。ニャティですにゃ」
「この子たちの友人のニナよ。ちなみにナナキとナティね」
ディノが話しかけてきてナナキとナティは礼を言い頭を下げる。
ニナも自己紹介を行い、名前を正しく伝える。
ディノ達は笑いながら頷く。
「ナが多いな。俺はディノ。ファイターでタンクだな。一応この中では頭張ってる」
「私はリリリ。サモナーよ。無事で何よりだわ」
「ニュウ。アサシン」
「私はシェーンと申します。プリーステスです」
「僕はツヴェルト。メインはキャスター」
お互いに挨拶を終える。
エリマさん達はまだ来ないみたいだ。
「いやー。たまたまダシュの森近辺でブルル・ボアを討伐した帰りじゃなかったら、間に合わなかったな!」
ディノさんは笑いながら言う。
リリリさんは半目でディノさんを見ながら言う。
「笑い事じゃないわよ。ニュウが気づかなかったら危なかったわよ」
ニュウさんが気づいてくれたのか。
ツヴェルトさんが苦笑しながら言う。
「いきなり走り出したからね。リリリが追いかけながら望遠鏡覗いてなかったらナナキ君は無理だったな」
そこまでギリギリだったの!?
ツヴェルトさんの言葉にナティは顔を青ざめ、僕の裾を握る。
「俺からすれば、ナナキはよくあそこまで耐えたことがおかしいぞ?」
「にゃ?」
僕は首を傾げる。
え?そんなにおかしいかな?
ディノさんが続ける。
「いくらこのゲームがHPは分からんとはいえ、あそこまでボロボロになれば死に戻りしてるぜ。普通」
「あぁ、それですかにゃ」
僕は納得したように頷く。
周りは僕を見る。
「僕のサブは【うらにゃいし】ですにゃ」
「占い師?それが?」
リリリさんが尋ねる。
「うらにゃいしには危険感知のスキルがありますにゃ。これはある程度レベルが上がるとにゃんとにゃく危険な場所が分かりますにゃ」
「それが死に戻りとそのような関係が?」
シェーンさんが首を傾げる。
「にゃぐられたり斬られたりするとき、当たる所がわかったので、直撃や急所をずらしたのですにゃ。ただ僕は軽いから少し当たるだけでも体が吹き飛んでしまうんですにゃ」
困るよね。
普段だったら耐えられたと思うんだけど。
ナナキの言葉に全員がポカンとした。
危険感知があるとはいえ、当たる部分が分かるとはいえ、急所をずらすなんて普通出来ない。
全員がナナキは見た目とは違う。何か違和感を感じた。
しかし、ナナキは何でもないように平然と答えた。
「……なぁ、ナナキ」
ディノさんが口を開く。
「にゃ?」
僕は首を傾げる。
「俺らと時々パーティー組んで動かないか?もちろんナティも一緒だ」
ディノさんの提案に僕とナティが目を見開く。
こちらからお願いしようとしていたことを向こうから言ってくるとは思わなかった。
リリリさん達は全員納得しているかのように頷く。
「いいんですかにゃ?」
「まぁ、まだ外は安全とは言えねぇしな。ここで会ったのも何かの縁だし。お前らと一緒にいると面白そうだ」
ディノさんはニヤッと笑う。
なんか面白いこと言ったかな?
リリリさんも笑う。
「はははっ。ギルド職員に講師なんて味方に付いてるプレイヤーなんて間違いなく君達だけよ。今回のことは私達もNPCとの付き合い方を考え直させたわ」
これにはナティやニナも含めて頷く。
僕は苦笑いする。
確かにまだ誰も行っていない他国からまで来てくれるプレイヤーはいないだろう。
でも、ただギルドに来ただけなんだけどな。
「毎日ってわけじゃないし。いつも全員ってわけじゃないがな。でもお前らも他のプレイヤーとこれからパーティー組むならいい練習になるだろ」
ディノさんは笑いながら言う。
僕達には何も不満はない。
「こちらからもお願いしますにゃ」
ナティと揃って頭を下げる。
そして全員とフレンド登録した。
ワイワイと話しているとエリマさんが入ってきた。
「仲良くやれてるようだねぇ。パーティーも組めそうかな?」
「はいにゃ」
僕は笑顔で頷く。
友達が増えるっていいよね。
「それはよかった。では、今回の報酬を払うよ。1人頭6500エンだよ」
エリマさんはジャラっと7つの袋を机に並べる。
僕達はそれぞれ受け取る。
おぉ!結構重い!
「多いのか少ねぇのか分かんねぇなぁ」
ディノさんはぼやく。
え?そうなの?
エリマさんは苦笑する。
「装備を整えるとすぐに消える額ではあるねぇ」
「ですよねー。まぁ、最近新調したばかりだからすぐに使う予定はないけど」
リリリさんもぼやく。
僕も装備の話で考える。
シィナさんが言っていたことがよくわかった。
防具は買わないとな。
もう腕を失いたくない。
「さすがに防具も揃えにゃいとにゃあ」
「店知ってんのか?」
ディノさんが尋ねる。
僕は考える。
サバスさん達なら知ってそうだ。
「まだ知らにゃいですけど、【シャンバラ】の人に聞いてみますにゃ」
「【シャンバラ】と知り合いなの!?」
リリリさんは驚く。
他のメンバーも目を見開いている。
「有名ですかにゃ?」
「有名も何もβ時代の生産系トップクランよ。正式サービス始まってからはまだ名前出てないからバラバラになったと思われてるの」
意外とすごい人達だった。
「やっぱりお前といると面白そうだわ」
ディノさんは笑う。
エリマさんと別れ、僕達はギルドホールに出る。
「ナナキ」
声がした方を向くと、オグマがいた。
ディノさん達はオグマの大きさにポカンとしている。
よく見るな。この光景。
「話は聞いてる。もう大丈夫か?」
オグマが心配そうに聞いてくる。
僕は笑顔で頷く。
そして、その場でピョンっと跳ねる。
それを見て、オグマも顔を緩める。
ありがとね!
「シィナさんから、時々一緒に動いてやってくれと頼まれた。遠慮なく言ってくれ」
「分かったにゃ。ありがとうにゃ」
オグマがいてくれると安心だよね。
だって、本当に巨人だもん。
僕がお礼を言うとオグマの後ろから声がする。
「そろそろあたしも挨拶していいかい?オグマ」
オグマの後ろから現れたのは長身の女性だった。
ブラトップ型の革鎧、ショートパンツの下にスパッツを身に着けた褐色肌の女性。髪は赤いドレッドを後ろで結んでおり毛先が白い。
体は引き締まっており手足は筋肉質で腹筋も割れているが、女性特有のしなりを持っており野性的な魅力を持っている。スタイルも良い。
何より身長が高い。オグマの横に立つと低く感じるが、それでも3m近くあるオグマの胸程まで身長がある。
アマゾネスみたいな人だ。
彼女を見た全員がそう思う。
「あんたがナナキって子かい?あたしはラドンナ。種族は見た目通り【アマゾン】だよ。今はオグマと組んでるよ。ちなみにオグマのはとこ」
「種族がアマゾン?はとこ?」
本当にアマゾネスだったが、職業ではなく種族らしい。
しかもオグマの親戚だったとは。
「そ。まぁ、ハーフジャイアントの女性版とでも思っておくれ。ちなみに職業はファイターと狩人だ。まさにアマゾネスをやってるよ」
ラドンナさんはケラケラ笑う。
性格もアマゾネスみたいに男勝りのようだ。
オグマが引っ張りまわされている光景が浮かぶ。
しかし、それ以上にベテラン感がある。
いろいろ相談できそう。
「まぁ、オグマからあんたの話は聞いてるよ。あたしでよければ遠慮なく話しな。後ろの猫嬢ちゃんもね。そっちのパーティーもよろしくね」
ラドンナさんとフレンド交換する。ちなみにラドンナさんも同じ宿のようだ。
今日1日で友人がかなり増えた。
そういえば、尚達はどこにいるんだろうか。
僕は親友のことを思い出した。
ある宿の一室。
「裕南の奴、どこにいるんだよ。全然見つかんねーぞ」
「見つけてみろということは見た目では分からんかもな。あのバカだし」
「バカとはなんですか!先輩は楽しんでいらっしゃるのです!……私も早くご一緒したい」
部屋にいる3人は揃ってため息を吐く。
「しかたない。とりあえず少しずつ声を掛けていくしかねぇだろ」
「だな」
「……仕方ありません」
3人はまたため息を吐くと部屋を出ていく。
ありがとうございました。




