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#11 講師が来たぜ!ひよっこ共!

よろしくお願いします。

「じゃあ、今日は~まず木工職人のところに行きましょうか~」

「お願いしますにゃ」


 朝食終了後、今日はシィナさんが付き添いしてくれるようだ。


「シィニャさんは今日も休みにゃんですか?」

「いいえ~でもさすがにケット・シーが2人も現れたとあると~ギルドとしても正式に対応しないとまずいってなってね~。基本私とエリマが~交代で付き添うことになったわ~」


 順調に大事になっているようだ。

 このままでは1人では活動するのは難しそうだな。

 僕の雰囲気を感じたのだろう。シィナさんが付け加える。


「ずっとってわけじゃないわよ~。講師やギルドで1人で問題に対応できるって判断したら他の冒険者と同じ対応になるわ~。その間にこの街の貴族連中には手出しさせないように手を打つし~」


 貴族連中って言ってるし、手を打つって言ってるし。

 何をする気なんだろうか?というか、何か出来るというのが怖い。

 聞く気はないけど。


 僕達が移動しようとするとそこにオグマが現れた。


「おはようにゃ。オグマ」

「おはようナナキ。……ん?その子は?」


 オグマはナティさんを見る。ナティさんとニナさんはオグマの大きさにポカンと見上げている。


「ケット・シーのニャティさんですにゃ。残念だけどオグマの探してる人じゃにゃいと思うにゃ」

「そうか。オグマ。ハーフジャイアントだ」


 オグマは2人にあいさつする。


「ニャ、ニャティですにゃ」

「ニナよ。ホントにでかいわね」


 2人も挨拶を返す。


 オグマは朝食を食べ始める。

 今日もクエストをこなしながら人探しをするそうだ。

 そこをニナさんが突っ込む。


「一度ログアウトしてメールしたほうが早いんじゃない?」


 オグマはポカンとした顔をする。


「……確かに」


 思いついていなかったようだ。


「ちょうど今向こうは昼時なんだもの。一度ログアウトすれば?」

「……そうする」


 そう言ってオグマは部屋へと戻っていく。

 ニナさんが容赦なく言う。


「ちょっと抜けてるのね。あいつ」

 


 4人で昨日教えてもらった店へと向かう。

 場所は【ウッド・ストリート】の中だ。

 シィナさん先導で歩く。


「ニャニャキさん」


 歩いているとナティさんが僕に声をかけてくる。


「はいにゃ」

「すいませんにゃ。わざわざついてきて頂いて」


 謝ってきた。

 自分の問題に巻き込んだと思われてるようだ。


「全然問題にゃいですにゃ。僕もまだ木工職人さんに会ったことにゃいですし。それに同じ猫にゃかまと一緒にいれるのは嬉しいですにゃ」


 僕は何でもないように答える。


「猫にゃかま……」


 ナティさんは猫仲間発言にポカンとする。

 ニナさんとシィナさんはその言葉に肩を震わせている。

 しかし、ナティさんには他の感情が浮かんでいた。


「猫にゃかま……。にゃんか……嬉しいですにゃ」


 ナティさんは微笑む。

 僕も微笑み返す。

 周りもそれにほっこりする。


「なんか2人見てると私たち穢れてるように感じますね」

「私は色々年寄りだからね~。ホント純真ね~。お似合いかも~。まぁ、仲良くなって一緒に行動してくれれば私としては嬉しいけど~」


 シィナさんとニナさんは笑っていたことが少し恥ずかしく感じて、お互いを茶化す。

 妙に初々しい2人に周りはほっこりしながら見送っていく。


 一行は地図に示された店に着いた。

 店の名前は【ララ・ワークス】と書かれている。


「失礼しますにゃ」

「はーい。いらっしゃいませー」



 店に入り声をかけると奥から声が聞こえてくる。

 現れたのは藤色の髪につなぎを着た女性だった。


「何か御用ですか?」

「サバスさんに紹介してもらってきましたにゃ。ニャニャキと申しますにゃ」

「あぁ。あなたがナナキ君ですか。お待ちしてました。【木工職人見習い】の紫蘭と申します」


 丁寧にお辞儀して自己紹介してくる。

 そして僕達も自己紹介し、フレンド交換する。


「では今回はナティさんの杖の製作依頼でよろしいですか?」

「はいですにゃ。よろしくお願いしますにゃ」


 ナテさんィは頭を下げる。

 そうして職業を聞いたり、ナティさんの手を観察する。

 話を聞いて紫蘭さんは少し考える。


「う~ん。確かに手は少し工夫がいりますけどそこまでは難しくないですね。しかし、ケット・シーの特性を考えると……」

「にゃにかダメにゃんですか?」


 ナティさんが不安そうに尋ねる。

 紫蘭さんは眉間に皺を寄せながら話す。


「杖にするとケット・シーの敏捷や爪技が使いづらくなりそうです。攻撃手段が弱くなりすぎるかと……。しかしメイスは持てませんしねぇ」


 紫蘭さんは悩む。

 確かに杖では殴れないだろう。爪も片手だけじゃ効果は薄いかもしれない。そうなると魔法以外に攻撃手段がなくなる。しかし、ナティさんは【シスター】だ。攻撃魔法も少ないだろう。


 全員が眉間に皺を寄せて悩む。

 パーティーがカバーすればいいがずっと守り続けるわけにはいかないだろう。

 紫蘭さんがため息をついて方針を示す。


「先生にも相談して考えましょうか。杖じゃなくても媒体になるものもあるかもしれません」


「にゃらばロザリオか腕輪ではいかがかにゃ?」


 そこに新しい声が加わる。しかも猫語だ。

 声の主を見るとそこにいたのは、


「まさかケット・シーですかにゃ?」

「あら~なんであなたがもうここにいるの~?ジェジェン。連絡して2日よ~?いくらなんでも早すぎるわよ~。連絡もなかったし~」


 ジェジェンと呼ばれたのはケット・シーだった。

 淡いクリーム色の毛で手足、しっぽ、耳と顔の焦げ茶色の毛が生えているバーマンモデル。眼は両方とも青い。服装はキャソックの上に青色のガウンを羽織っている。顔には丸眼鏡をかけており、耳の間にはちょこんと博士帽子を被っている。THE教授である。

 シィナさんの話からすると講師として来てくれるのはこの人だったようだ。


「……連絡しにゃかったのは申し訳にゃいと思ってますがにゃ。ちょっと緊急事態が起きた……起きているので魔法で飛んできたんですにゃ」

「緊急事態~?」

「まぁ、まだ時間はあるので、先にこの子のはにゃしを終わらせましょうにゃ。下手したらこの後ここに来るのいつににゃるのか分からにゃいですからにゃ」


 気になることはまだあるが、言われたとおりに話を戻す。


 紫蘭さんがジェジェンさんに質問する。


「腕輪はともかくロザリオというのは?」

「聖職者にゃらば魔木でロザリオを作り、それを教会で聖文を刻んで祝福をかけてもらえば杖の代わりににゃりますにゃ。光と回復魔法の効果が少し向上しますにゃ」


 ジェジェンさんの言葉に全員が目を見開く。


 この情報は聖職についてるプレイヤーにとっては正に神の恵みだ。

 今の話が本当ならロザリオを媒体とし、メイスを使って戦うことが出来る。

 聖職の弱点が大きくカバーされることになる。

 ということは腕輪も同じだ。


「そうですにゃ。腕輪もおにゃじですにゃ。ただ光魔法への恩恵があるかにゃいかですにゃ」

「……紫蘭さん。今まで腕輪の製作をしたことや腕輪が使われていたことは?」

「……βテスト時でもありません。これは、ちょっとここでの話では済ませないかもしれません。ナティさんが使えば確実にばれます」


 うわぉ。新発見ですか。これは確かにまずい。隠せるものではないよな。というか。


「シィニャさんはこのこと知らにゃかったんですかにゃ?」


 腕輪のことくらいなら知ってそうだけど。


「噂では聞いたことはあるわ~。けど私の国やこの国ではなかったわね~」

「腕輪は使うには条件がありますからにゃ。この国では出回らにゃいでしょうにゃ」


 条件?この国では?ということは種族が関わっている?


「この媒体を使えるのは魔力の扱いが上手くにゃいとダメですにゃ。そのせいか今のところ問題にゃく発動できるのは妖精族か魔族に準ずる種族だけにゃ。エルフ、巨人族、ドワーフは少にゃくとも上級精霊と契約してることが条件にゃ。今のところヒューマン、獣人は無理にゃことがわかってますにゃ。まぁ、今後の研究次第では可能ににゃると思いますがにゃ」


 かなり制限あるな。それではこの国では無理だな。

 プレイヤーでも上級精霊なんて契約してないだろうし。


「なるほど。腕輪は木工職人だけで作れるのですか?」

「いや、中級魔石と魔文を刻まにゃいといけにゃいので、少にゃくとも【細工職人】と【刻印術師】がいにゃいといけませんにゃ」

「……【刻印術師】は難しいですね」


 【細工職人】はサバスさんがいるからな。【刻印術師】は上級職か?

 それに中級魔石もこの街周辺ではまだレアドロップ扱いだ。武具の強化にも使う。中々出回らない。

 ただでさえクエストすら受けられてない僕らが手に入れるのは無理だな。


「やっぱりヒューマンの国は【刻印術師】が育ってにゃいですかにゃ」


 ジェジェンさんはため息を吐きながら言う。

 どうやら、この国では【刻印術師】の元々の数が少ないみたいだ。

 なおさら難しいな。


「では現状この国では腕輪は難しいですか」

「商品として売り出す数を作るのは無理ですにゃ」

「そうですか。……え?」


 全員がジェジェンさんを見る。

 今の言い方は作れるように聞こえる。

 1人だけ僕達とは違う意味でジェジェンさんを見ていた。


「大丈夫なの~?正直ここであなたが手を出すのは~流石に危険だと思うわよ~。【錬金魔導師】のあなたが出れば混乱を招くわよ~」


 シィナさんがいう。【錬金魔導師】?すごそうな名前だ。


「1人くらい教えても大丈夫ですにゃ。それにその方がこの子たちに援助できる理由が出来ますにゃ」

「それ言われると断れないわ~。紫蘭さん、【シャンバラ】で【刻印術師】目指してる職人さんはいる~?」


 シィナさんが紫蘭さんに問う。


「1人います。【彫金師見習い】ですが。ご教授頂けるのですか?」

「いつまでとは言えませんがにゃ。この子たちの指導の合間にゃらかまいませんにゃ」

「ありがとうございます!連絡してみます!」


 紫蘭さんは頭を下げる。

 ジェジェンさんはニコニコと謝礼を受ける。


「さて~職人さんはともかく~ナティちゃんは結局どうするの~?」

「「「あっ」」」


 シィナさんが本題に戻す。

 ジェジェンさんはニコニコしながらナティさんに近づき、懐から何かを取り出す。


「はいにゃ」


 宝石がついた腕輪をナティさんに渡す。

 もしかしなくても、


「これが【魔導の腕輪】ですにゃ。これで杖はいりませんにゃ。あと、君にもにゃ。はいにゃ」

「「にゃ!?」」


 ポンと渡された。手に入りにくいって言ってたものが簡単に手に入ったよ!?


「気にしにゃいでいいですにゃ。それは僕が教える子には全員渡してますにゃ」

「僕は魔法職じゃにゃいですが?」


 僕はフェンニャ―であるため魔法の発動媒体は必要ない。


「いつか使うかもしれにゃいですからにゃ。せっかくだから持っておけばいいですにゃ」


 そういうなら受け取っておこう。

 しかし周りにバレない様にしないとな。盗まれそうだ。


「さて、では一度ギルドに行きましょうかにゃ」


 紫蘭さんに別れを告げ、僕達はギルドに向かうことにした。



 僕達はギルドに向かっていた。

 もはや注目されても気にならなくなっていた。

 ナティさんはもらった腕輪を眺めて何かを考えているようだ。


 シィナさんとジェジェンさんが話している。


「で?急いでまでどうしたの~。転移魔法使ってまでなんて~」

「……ここでは言いづらいですにゃ」

「いいから言って~。エリマにも連絡しときたいし~」

「……わかりましたにゃ。耳を貸してくださいにゃ」


 シィナさんがジェジェンさんに耳を寄せる。

 ジェジェンさんがボソボソとシィナさんに伝える。

 その言葉にシィナさんが目を見開き、


「はああぁぁぁぁぁ!?」


 叫んだ。

 周りが注目する。


「なんで!?なんでその人が来るの!?どういう理由!?なんで誰も止めなかったの!?いつ来るの!?なにで来るの!?」


(シィナさんのキャラクターが崩壊した!?そんなにやばい情報!?)


 のんびりしたしゃべり方が完璧に消えて一切余裕がない。

 こんなシィナさんは初めてだ。

 何が起こっているのだろう。


(ジェジェンさんは僕達の講師としてきたから、何か起こるとしたら僕達は巻き込まれ確定!?)


「ニャティさん。ちょっと覚悟しといた方がいいかもですにゃ」

「にゃ!?」


 僕の言葉にナティさんが驚く。

 さすがにそこまで考えていなかった。

 シィナさんは少し落ち着いたのか、エリマさんに連絡を入れているようだ。

 周りも注目を外してきたとき、


「あれ?あの空の何だ?」


 誰かがいう言葉を聞いて、聞こえた人が空に目をやる。


「ほんとだ。なにか見えるな」

「ねぇ。なんか大きくなってない?」


 ざわざわ。

 徐々に気づき、騒ぐ人が増えてきた。


 僕達も空に目を向ける。

 南の方角の空に何かが見える。それは徐々に大きくなってきているように見える。

 輪郭が分かるようになってきた。かなりのスピードのようだ。


 シィナさんとジェジェンさんは顔が引きつかせていく。


「あれって」

「まさか……それで来られたのですかにゃ?」


 周りの騒ぎが大きくなる。

 さすがに異常に気付いたようだ。


「鳥か!?」

「でかすぎるぞ!?」

「飛行機だ!?」

「そんなんねぇよ!」

「あれは……………ドラゴンよーー!?」

「「「なにぃーーー!?」」」


 飛んでくるのは大きな翼に長いしっぽを持つトカゲ。

 ドラゴン。

 空の覇者の一角だ。強靭な爪と牙。剣を弾く鱗。

 そして破滅の使者。


 周りは大混乱だ。

 ドラゴンが来たのだから当然だろう。

 プレイヤーらしきものたちの話声が聞こえる。


「これってイベント?」

「いきなりドラゴンって鬼畜にも程あんだろ。さすがにβテスターでもまだ装備揃ってねぇって」

「逃げるのも無理じゃね?」


 さすがにプレイヤーも慌てている。

 そうだろう。現実で開始初日。ゲーム内でも3日目だ。トッププレイヤーでもLv10超えたぐらいだろう。ほとんどが一桁プレイヤー。しかも初めて数時間の人もいるはずだ。

 ドラゴンなんて鬼畜なんて言葉も生易しい。


「ど、どうしますにゃ!?ニニャ!どうするのにゃ!?」

「さすがにこれはどうにも無理っしょ!?」


 ナティさんとニナさんは慌てている。

 僕も内心パニックで固まっている。

 ふと、シィナさんとジェジェンさんを見ると頭を抱えていた。

 しかし、どうも違和感を覚えた。


(ドラゴンが現れて慌てているわけではない?じゃあ、あれは?)


 僕はドラゴンを見る。

 ドラゴンはいよいよ街の上空に差し掛かろうとしている。

 周りの悲鳴が大きくなる。


 僕はドラゴンにも違和感を持つ。ドラゴンをよく見ると、


「街を見ていにゃい?」


 僕の言葉にナティさんや近くにいた人達がドラゴンを見る。

 僕はもう1つ気づく。


「にゃんか…口元に手綱(たづにゃ)がついてるように見えるにゃ?」

「「はぁ!?手綱!?……ほんとだ!?」」


 僕の言葉通りドラゴンの口には手綱がついている。

 それはつまり誰かが乗っていることに他ならない。


 ドラゴンが街に真上に来た時。

 その背中から影が舞う。

 その影は街へと降りていく。

 そして、地響きと大量の土煙を上げ街へと降り立つ。


 僕達の目の前に。


 そして土煙が晴れる。そこには。


「やってきたぜにゃ!ひよっっこどもぉ!鍛えてやっから覚悟すんだにゃぁ!」

 

 金髪のポンパドールリーゼントに長ラン姿の猫が腕を組んで仁王立ちしていた。


皆さんは知ってましたか?リーゼントって出っ張ってる所じゃないんですよ。後頭部のセットのことらしいですよ。

じゃあ、出っ張り部分は?

ポンパドールっていうらしいです。


ありがとうございました。


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