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#12 にゃめんにゃよ

どんどん新キャラ!

よろしくお願いします。

 ドラゴンの背中から何かが飛び降りるのが僕の目に映る。


「誰か飛び降りたにゃ!?」


 皆がその影に注目する。

 影が降りてくる。


「なぁ。ここに落ちてきてないか!?」

「うぇ!?離れろ!」


 人々が大通りから逃げ惑う。


 僕達も離れようと動く。

 すると影に動きがあった。


「こっち来てますにゃ!?」


 影もこっちを追うように動きを変える。

 僕達が戸惑っているうちに影はもう目の前に来ていた。


 ドゴォーーン!!


「にゃああ!?」


 衝撃が襲い、土煙が舞い上がる。

 その場にいた全員が落下点に注目する。

 誰か魔法を使ったのか土煙が晴れていく。

 晴れた先には、


「やってきたぜにゃ!ひよっっこどもぉ!鍛えてやっから覚悟すんだにゃぁ!」


 金色のポンパドールリーゼントに長ラン姿で金色の毛のトイガーモデルのケット・シーがいた。金色の眼を持っており、下駄を履いている。


「……な〇猫?」

「…あぁん?」


 呟いた誰かを睨みつける。


「…はぁ。お1人でここに来られたのですかにゃ?h『おう!ジェジェン!早かったにゃぁ!』」


 ジェジェンさんが声をかける。なんか途中で遮られた感じがあるけど。

 そのケット・シーは僕達に顔を向ける。


「おう?そいつらが例のちびっこ共かにゃ!かわいらしい奴らじゃねぇかにゃ!」


 ガン!ガン!と下駄を鳴らして歩いてくる。

 僕達の前に来た。


(で、でかい!)


 彼の身長は僕より顔1つ半ほど高い。


「は、初めましてましてにゃ。ニャニャキですにゃ」

「ニャ、ニャティですにゃ」


 僕達は何とかあいさつする。


「おう!俺ぁタマだにゃ!気軽に声かけてくれにゃ!」

「「「「ブッフォ!?」」」」


 彼の名前に全員が噴き出す。

 その見た目にタマという名前は不意打ち過ぎた。

 僕達は全力で耐える。本人が目の前にいるからだ。


「ジェジェン!こいつら鍛えるんだにゃ?どこでやるにゃ?」

「ギルドで行う予定にしていますにゃ」

「じゃあ行くにゃ!(ここではにゃまえで呼べにゃ。バラしたら飛ばすにゃ)」

「(わかりましたにゃ。)……はぁ」


 こうして僕達はギルドに向かい、周りはそれを唖然と見送っていく。



 僕達はギルドの相談室に来た。今回は会議室のような大部屋である。

 来るたびにグレードアップしている。

 僕達が部屋を見渡しているそばでは、エリマさんとシィナさんが疲労困憊の顔で座っていた。


「ギルドマスターは私たちに丸投げしたよ。やってくれたねぇ。ジェジェン」

「さすがにこれは私たちも手に余るわよ~」

「悪いとは思ってますにゃ。けど私でもタマ様は止められにゃいにゃ」


 ジェジェンさん達は深くため息を吐く。

 ナティさんは恐る恐る声をかける。


「タマ様は講師で来られたわけではにゃいんですか?」

「講師で来たにゃ!俺が直々にバシバシ鍛えてやるにゃ!俺を師匠!ジェジェンを先生と呼ぶにゃ!」


 タマ師匠が自信満々に答える。

 ジェジェン先生達はまたため息を吐く。


「タマ様。私でも十分だと思われますがにゃ?」

「はん!お前は座学では一番だが、戦闘に関しては少し役不足だにゃ!小娘はともかく小僧は前衛、中衛の戦い方を叩き込まにゃいといけにゃいにゃ。お前では口には出来るけど見せることは無理だろにゃ?」


 タマ師匠はジェジェン先生の言葉を一蹴する。

 ジェジェン先生もタマ師匠の言葉が真実なのか?苦い顔をして黙る。

 タマ師匠は続ける。


「訓練相手は別に他の種族でも問題にゃあが戦いはイメージが出来にゃあと育つもんも育たねぇにゃ。だから動けるケット・シーがいるのがいいことだにゃ。そして動けるケット・シーで俺以上の適任はいねぇにゃ!」


 胸を張って言う。

 ジェジェン先生は諦めたようだ。

 エリマさんとシィナさんもがっくりしている。


 タマの言葉は正論であり、講師を依頼した立場上タマの好意を無碍には出来ないのだ。


「というわけで!ひよっこども!さっそく訓練してやるにゃ!」


 どうやらタマ師匠とジェジェン先生が講師で決定したようだ。


≪ユニーククエスト【ケット・シーの特別講義】が開始されました≫


 急にインフォメーションが入る。

 どうやらクエスト扱いになるようだ。

 初クエストがユニークってすごいな。

 僕は他人事のように思った。



 僕達はギルド地下の訓練場に来ていた。

 訓練場の真ん中にはタマ師匠と僕がいる。


「ケット・シーは他の種族と比べて体が小せぇにゃ。しかも打たれ弱い。つまり基本如何に相手に捉えられにゃいように動くかが重要にゃ。特に前衛は相手の注意を自分に向けさせにゃいといけねぇにゃ」


 タマ師匠の言葉に僕は頷く。端で聞いているナティさんも頷いているのが見える。


「お前は武器で戦うと思うが、ケット・シーの基本戦闘は爪にゃ。武器はあくまで止めを刺すためのものにゃ」


 僕は首を傾げる。

 打たれ弱いから武器を使うのでは?と考えている。


「確かに爪技はリスクはあるが、相手の懐に入り込む利点があるにゃ。そこで俺たちケット・シーの小ささが生きるにゃ。俺たちは小回りが利くから懐に入り込めばそう簡単に振りほどけにゃいにゃ」


 僕はタマ師匠の言葉に頷く。


「まぁ、そこらへんは近いうちに教えてやるにゃ。まずは基本的にゃ動きと技を叩き込んでやるにゃ。遠慮なく突っ込んでくるにゃ!」

「はいにゃ!にゃああああ!」


 僕はタマ師匠に突っ込む。

 戦闘訓練が始まった。



 夕方。宿にて。


「「にゃあぁあぁあぁ~」」


 僕とナティさんはテーブルに突っ伏していた。


「疲れてるわねん。話を聞いた限りでは仕方ないけどん」


 ナラルスさんは憐みの目で2人を見つめる。


 僕とナティさんはタマ師匠にボロボロになるまで転がされたのである。

 一撃も入れられず、どんなにフェイントをかけても気づいたら転がっているのだ。

 レベルが違い過ぎることが良く分かった。


「そんなに強いのか。タマというものは」


 僕達の話を聞いてオグマが興味を持つ。


「たぶん……オグマでも厳しいと思うにゃ」

「というか無理ねん。ナナキ君たちと同じ目に会うだけよん」

「ほう」


 ナラルスさんの言葉にオグマが少し笑う。意外と戦闘狂だったようだ。

 僕は再び机に突っ伏す。

 流石にもう何もしたくない。

 魚で癒される元気もない。


(けど、強くなった感じはする。これからだな。それと……)


 僕はナティさんを見る。

 訓練終了時にジェジェン先生に言われたのだ。


『2人でパーティーを組んでほしいですにゃ。これもケット・シーのことを理解するために大切にゃことですにゃ』


 僕達は意外と拒否感なく了承した。

 ニナさんはやや不満気であったが、訓練中やることはないのでしばらく他の友人と組んだりしてクエストをしていくそうだ。宿は変わらずだが。


(しかし、ナティさんが僕とのパーティーに全く拒否感なかったのが意外だな。)


 僕はナティさんを見る。ナティさんも僕同様テーブルに顔を乗せている。

 彼女はどう思っているのだろうか?

 ちなみに僕は……ちょっと、かなり嬉しかった。



 僕は部屋に戻ってベッドに横になる。

 今日の訓練の成果は出ているのだろうか。

 ステータスを開いた。

________________________________________

名前:ナナキ

性別:雄

種族:ケット・シー(妖精族)Lv6

メイン職業:フェンニャ―Lv3

サブ職業:占い師Lv3

称号:子守される猫


生命力:D-

魔力:A-

筋力:D-

防御力:E-

精神力:B+

知力:B

器用さ:D

敏捷力:A

幸運:A+


・スキル(パッシブ)

ケット・シーの性

敏捷強化:Lv3

CTR強化:Lv2

危機感知:Lv3

方向感覚強化:Lv2

魔力強化:Lv2

知力強化:Lv2

暗視

キャットステップ New!


・スキル(アクティブ)

剣術:レイピアLv1、ナイフLv1

占術:Lv2

魔法:妖精魔法Lv2

トリック:Lv2

爪技:Lv3

鑑定:Lv1


・ユニークスキル

妖精族の加護

女神?????の加護

猫の呪い

金目銀目

愛弟子 New!

________________________________________

(おぉ!意外とレベルが上がっているな。職業はどうやってレベル上がってるんだろう?フェンニャーなんてまだ武器すら使ってないのに)


 種族がLv6まで上がってるのは驚きだ。メインもサブも3まで上がっている。

 スキルは剣術と鑑定以外は上がっている。というか鑑定の存在を忘れていた。


【妖精魔法Lv2】

ピット・フォール、ミラージュサインNew!

【トリックLv2】

スイッチ、スナッチNew!

【爪技Lv3】

《衝》、《連》New!

【キャットステップ】

猫のように軽やかな移動が出来、ジャンプ力が高まる。

*敏捷値強化

【猫の愛弟子】

同族の弟子になり教えを受けている。

*種族経験値向上


 色々増えたなぁ。【猫の愛弟子】はありがたい。

 【トリック】もまた面白いものが増えた。使うのが楽しみだ。

 スイッチは触れて魔力を付与した人・物と自分または同じく魔力を付与した人・物を入れ替える。ただし人に魔力を付与する場合相手の同意が必要となる。クールタイムは20秒。

 スナッチは相手の武器・アイテムに触れることでそれを奪うことが出来る。クールタイムは25秒。

 クールタイムは長めだが使いどころを極めれば強力なスキルだ。

 ただ、【子守される猫】ってなにさ?分かりたくない。分かりたくないが理由が分かってしまうから悲しい。

 まぁ、称号にはステータス効果などはないので諦める。

 思ったより良い結果になっている。今後も頑張れそうだ。



 ゲーム4日目。

 今日は朝からギルドでジェジェン先生の講義で始まる。

 教室には僕、ナティさん、ジェジェン先生、エリマさんの4人である。


「さて、さっそく本題に入っていきますにゃ。まずは【妖精魔法】についてですにゃ。この魔法はにゃまえの通り妖精族にゃらばみんにゃ使える魔法ですにゃ。特徴としては普通の魔法と違い攻撃、防御、回復と用途が決まったものが少にゃく補助、阻害がメインでその副作用としてダメージを与えたり、回復したりする魔法が多いですにゃ」


 確かに僕が覚えているのは落とし穴と幻影だ。


「そのためケット・シーは【妖精魔法】を組み合わせて戦闘を行うことが基本ですにゃ。【トリック】【爪技】に関しては前衛職が主として使うもので、後衛職では緊急離脱や魔力が少にゃくにゃった時の保険として鍛えてますにゃ」


 【トリック】【爪技】は相手に触れなければならないものが多いからな。

 前衛職の方が使い時は多いだろうな。


「重要にゃのはケット・シーの特性ですにゃ。つまり運を左右することですにゃ。これは正直気分に左右されてしまうので、気を付けるのは難しいですにゃ。一番は少しでも嫌いにゃ奴がいたら近づかにゃいことですにゃ」


 そこはやっぱりコントロールできないか。出来ても怖いが。


 そのあとは魔力のコントロールの練習を行う。これは練習を続けることで魔法の効果が上がるらしい。ナティさんは上手くできているが、僕は感覚が掴めず苦戦している。

 するとナティさんが、


「私が魔力を回してみるので真似してくださいにゃ」


 と言って、僕の両手を握る。

 いきなりでドキドキだが、ナティさんはケロッとしている。

 嬉しくはあるが、これはこれで悔しい。男として意識されていないように思ってしまう。

 しかし、せっかく手伝ってくれているのだから集中する。


 温かいものが体をめぐる。前にも感じたことがある温かさだ。

 僕は感覚を思い出し、自分の中にも似たようなものがあることに気づき、魔力を回すことに成功する。


「ありがとうにゃ。ニャティさん」

「よかったですにゃ」


 僕とナティさんは笑いあう。

 そんな様子をエリマさんはニヤニヤと、ジェジェン先生はニコニコと見守っていた。



 午後はタマ師匠との戦闘訓練だ。

 しかし、その前に一度カラナさんのところに顔を出す予定にしている。

 タマ師匠に事情を話すと「俺も行くぜにゃ!」と言ってついてきた。

 ジェジェン先生も同行することになった。必要ならばアドバイスしてくれるようだ。


 ちなみにジェジェン先生は午後からは【彫金師見習い】の指導を行うそうだ。

 シャンバラ所属のラヴァン。茶髪のヒューマンで少しヒョロッとしており、しゃべり声が少し小声で気弱そうな印象を持つ男性プレイヤーだ。紫蘭さんの話によれば集中力がすごいらしい。

 昨日ジェジェン先生と面談して、気が合うようでジェジェン先生も楽しみにしているようだ。



 スミス・ストリートに向けて歩く僕達こと猫一行。

 注目されているがもはや誰も気にしていない。


 するとそこに。


「なんだこいつら?変な奴らがいるぞ?」


 4人ほどの集団が目の前を塞ぐ。


「にゃにか御用ですかにゃ?」

「ぶふっ。にゃ~だってよ。ホントに猫でやんの」


 僕が声をかけると集団の1人の男が笑う。それにつられて他の連中も笑う。


「ふん。弱そうな猫が道の真ん中歩くんじゃねーよ。猫らしく端っこ歩きな。道っていうのは人間様が使うもんだぜ」


 なんかすごいことを言ってる。

 人間と言ったってことはプレイヤーのようだ。


 この世界では人間という言葉はない。ヒューマンと種族名で呼ぶ。

 しかし、この多種族がいる世界でプレイヤーがヒューマン主義を掲げるとは不思議なものだ。


 ナティさんは少しおびえているようだ。僕はさりげなくナティさんを後ろにかばう。

 プレイヤー達はさらに盛り上がっている。


「ていうか、こいつら使役獣みたいな魔獣じゃね?使役獣が何で街中を堂々と歩いてんだよ。なんかのイベントか?」


 プレイヤーに対して周りは嫌悪感を浮かべるものが多い。

 中にはニヤニヤしているものもいる。どうやら妖精族が嫌いな住人のようだ。


 どうしようか考えているとエリマさんが動く。


「彼らは使役獣でも魔獣でもないよ。立派な種族だ。悪いが、ギルド職員として今の差別発言は見逃せないねぇ」

「はぁ!?NPCの職員程度が冒険者様に何言ってんの?俺らがいなかったら魔獣も殺せなくて困る連中がよぉ」


 エリマさんに注意された連中が逆切れする。

 冒険者様って。あと、多分そんなに困らないと思う。


「別に君たち4人が減ったくらいで特に困らないねぇ。街専属の冒険者もいるしねぇ」


 エリマさんも反論する。


 それに連中はさらに逆上し、一番前にいた男が剣を抜く。

 男の仲間たちもナイフや杖を構える。


「黙れよ。戦えもしない雑魚風情が。冒険者様に守られてのうのうとしてる奴らが逆らうんじゃねーよぉ!」


 男が剣を振りかぶる。

 僕が動こうとした時、


「【ウィンド・ベール】」


 エリマさんが魔法を呟くと強い風が吹き、僕達の周りを包み込んで男の剣を防ぐ。


「な!?」


 剣を弾かれた男が驚いていると、


「遅いねぇ。【ショック・ボルト】」

「ぎゃああぁぁぁぁ!!?」


 エリマさんの魔法が追撃する。

 男は防ぐことなどできずに倒れる。

 エリマさんはいつのまにか短杖を持って、冷めた目で男たちを見る。


「強がっておいて情けないねぇ」


 男の仲間達がエリマさんを睨む。ナイフを構えた男がエリマさんに突撃しようとする。


 ドゴン!


 ナイフ男が急に後ろに吹っ飛ぶ。

 エリマさんの前には、


「はん。にゃんだ?ずいぶんと軽いじゃねーかにゃ。おう?コラァ」


 タマ師匠がポケットに両手を突っ込んだまま右足を突き出していた。

 タマ師匠が蹴り飛ばしたようだ。


 エリマさんにやられた男が立ち上がりながらタマ師匠を驚愕の顔で見て、その後怒りに顔を染めて怒鳴る。


「クソ!?てめぇ……。なにし『うるせぇにゃ』がふぉえ!!」


 タマ師匠が再び右足を突き出して男を蹴り飛ばす。

 男は言葉の途中で吹き飛んだ。


 残った2人は魔術師風で杖を構えてへっぴり腰になっていた。

 そんな2人にタマ師匠は顔を向けてギラっと睨む。

 2人はビクッと跳ね後ろに下がる。


「にゃめんじゃねぇぞ。おう?コラァ!」


ありがとうございました。

今日はここまで。

ストックが尽きるまで毎日更新していきます。


これからもよろしくお願いします。

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