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#10 猫仲間

やっとヒロイン登場です(-_-;)

よろしくお願いします。

 エリマさんから突如告げられた僕以外のケット・シーの存在。

 僕達はとりあえず冒険者ギルドに向かうことにした。


「やれやれ、50年振りに君が現れただけでもすごいことなのにねぇ。2日連続だものねぇ。……知り合いに連絡しといて良かったよ」


 エリマさんは思わずボヤく。


 僕達はギルドに着いた。

 並んでいる人数は昨日とあまり変わらないが、プレイヤーもギルドも落ち着いているように感じる。

 エリマさんは迷いなくギルドの奥に進んでいく。僕もその後ろについていく。

 エリマさんのことに受付職員が気づく。


「あっ。エリマ先輩!すいません休日なのに来ていただいて。シィナ先輩方は相談室3番にいらっしゃいます」

「お疲れ様。大丈夫だよ。この程度ならねぇ。3番だねぇ。ありがとう。ナナキ君、君もおいで」


 エリマさんは後輩職員に礼をいい、昨日話をした相談室がある通路へと向かう。僕達もそれについていく。


 僕達は告げられた部屋の前に着き、ドアをノックする。


「失礼するよ。シィナ」


 ドアが開かれ、中に入る。昨日の部屋より少し広めだ。


 中には3人いた。1人はシィナさんだ。残りは2人。1人は僕によく似ている姿をしている。もう1人はどうやらその子の仲間で付き添いのようだ。


「ありがとうエリマ~。あとごめんね~ナナキちゃん。急に呼び出してしまって~。まぁ、あなたには悪い話ではないと思うわ~。『彼女』にもね~」


 そう言ってシィナさんの向かいに座っている『彼女』を示す。


 彼女は見た目は白毛のペルシャ猫のようだ。僕の目とは逆で右目が黄色、左目が淡い青。服は僕と同じデザインのベスト。ただし、前は閉じられている。さすがに毛で覆われているとはいえ女性には配慮されているようだ。よく見れば少し胸が膨らんでいるように見える。下はスカートだ。靴はなし。

 彼女はパチッとした目でこっちを見ている。ナナキも同じくパチッとした目で彼女を見ている。お互い自分が以外のケット・シーが珍しいようだ。


 そんな様子を横で面白そうに眺めているのも猫耳の女性だった。金をベースに赤のラインが入ったメッシュにしているウルフカットの髪型で身長160cmほどの女性だ。猫耳としっぽを持つビーストウーマン。しっぽは豹柄だ。


 シィナさんが紹介する。


「紹介するわ~。ケット・シーのナティちゃんと豹人のニナさんよ~。ナティちゃん、ニナさん。彼はナナキちゃん。同じくケット・シーよ~。隣がギルド職員のエリマ。エルフよ~」

「よろしく」

「ニャニャキですにゃ。よろしくですにゃ」

「ニャ、ニャティですにゃ。初めましてですにゃ」

「ニナよ。よろしく~。君もかわいいな~」


 自己紹介する。ニナさんが僕を見て言う。

 僕はなんとなくどう思われているのか気づいた。


「僕は男ですにゃ」

「「え?」」


 ナティさんとニナさんは驚く。なんでや。

 猫顔なんだから性別分からないって言われるならまだしも、なぜ女と決めつけられるのだろうか。


「その顔つきは女だと思うけど」

「にゃ?ケット・シーって男女で顔つき違うんですかにゃ?」


 エリマさんを見る。


「そうだねぇ。なんとなく分かるって感じかねぇ。ちょっと濃いんだよねぇ……顔が」


 顔が濃いってなんだ。猫顔で濃いってどんな顔だ。分からん。


「まぁ、そこは置いといて。どこまで話を聞いたんだい?」


 置いてかれた。

 ナティさんが答える。


「この国にはケット・シーには少し危険ってことと、ギルドで色々と援助してくれるってことですにゃ」

「ほとんど話終わってるわ~。後は講師と宿の件と~冒険者の話だけね~。装備に関してはナナキちゃんの話聞いてからにしようと思ってたの~」


 シィナさんがナティさんの話を補完する。

 その話にニナさんが反応する。


「講師?宿?」

「講師というのは私たちの知り合いのケット・シーにお願いしてるんだよ。ナナキ君がいたからね。ナティちゃんもそれに参加したらいい。宿は安全を考慮して私たちが建てたところを紹介しているんだ。ナナキ君もそこに泊まっているよ」


 エリマさんが説明する。

 講師の話は2人とも頷いていたが、宿に関しては少し考えるようなしぐさをしている。

 ニナさんは泊まれないだろうなぁ。

 ナティさんが尋ねる。


「ニニャは泊まれますかにゃ?」

「泊まれるよ?」

「「「え?」」」


 エリマさんの答えに僕も含めて3人が驚く。

 泊まれるの?あれ?じゃあ昨日のファナさんとリュリィさんはなんで?


「泊まれるんですか?」

「宿だもの。お金をきちんと払えるなら問題ないねぇ」


 ニナさんがもう一度質問するもエリマさんはなんでもないように返す。

 それを聞いて僕は質問する。


「じゃあ、昨日ファニャさんとリュリィさんはにゃんで?」

「彼女たちは宿取ってるみたいだったしねぇ。ニナさんはナティちゃんと昔馴染みみたいだからねぇ。むしろ、安全を考えるなら彼女たちを引き離す理由はないねぇ。ファナさん達には悪いけど。でもナナキ君の昔馴染みじゃないだろう?なら、無理に呼ぶ必要ないよねぇ」


 少々かわいそうな気もするが言っていることは間違ってない。

 ナティさんとニナさんは嬉しそうである。まぁ、友達同士で別れて泊まるのは嫌だよな。


「問題なさそうだね。装備に関してはナナキ君の武器が2日後だから、その時にナティちゃんのも見繕うことにしよう」


 装備の話になり、ナティさんは首を傾げる。


「装備ですかにゃ?普通じゃダメにゃんでしょうかにゃ?」

「体格や手の構造の問題で、ヒューマン基準の武器だと合わないみたいでねぇ。ナナキ君もオーダーメイドになってねぇ。ナイフも今のままではダメみたいだから君も同じだと思うよ」


 2人はエリマさんの話に目を見開く。

 武器と言えば。


「ニャティさんのジョブはにゃんですかにゃ?」

「私はシスニャーですにゃ。サブはメイドですにゃ」

「ちなみに私はファイターでサブは軽業師だよ」


 ナティさんは回復後衛職のようだ。


「シスターか~。杖かメイスになるわね~」


 シィナさんが考えを口にする。

 しかし。


「ニャティさん。装備不可にゃのはありますかにゃ?ちにゃみに僕はフェンニャ―ですが、片手剣と盾が持てませんにゃ」

「やっぱりニャニャキさんもですかにゃ。私はメイスと盾が持てませんにゃ。だから武器は杖かニャイフににゃりますにゃ」


 片手剣がダメなんだからそれより重いメイスなんて無理だよな。

 杖となると僕にはさっぱりだし、ドヴァ親方とも違くないか?


「杖となると木工職人ね~。探さないと~」


 木工職人か。【シャンバラ】にはいないのかな?聞いてみるか。


「サバスさんに聞いてみますにゃ」

「あぁ。彼らなら知ってそうだねぇ」


 エリマさんも賛成してくれる。


「サバス?」


 ニナさんが聞いてくる。

 僕は【シャンバラ】について説明する。

 ナティさんとニナさんは納得し、僕にお願いしてくる。

 さっそくサバスさんにコールし、木工職人について相談してみる。

 すると案の定【シャンバラ】に所属していた。

 店の場所を教えてもらい、サバスさんから話を通してもらうことになった。


「ニャニャキさん。ありがとうございますにゃ」


 ナティさんが笑顔でお礼を言ってくる。

 かわいい。顔が熱くなる気がする。


「だ、大丈夫ですにゃ。これくらい」


 少しどもってしまった。

 エリマさんとシィナさんはニヤニヤと僕を見ている。


「では、ギルタグを受け取って宿に行こうかね」

「あっ。クエスト見てもいいですか?」


 ニナさんが尋ねる。


「かまわないよ。ただし、ナティちゃんと受けるなら街中でのものにしてほしいねぇ。ナナキ君もまだ受けさせてないしねぇ。せめて講習が終わってからだねぇ」

「むぅ。分かりました」


 ニナさんは少し不満気だ。まぁ、それが目的で来たのに止められるってのはねぇ。


「ニニャ。ごめんにゃさい。講習終わるまで待っててにゃ」

「大丈夫よナティ。講習中に適当に受けてナティを守れるようにしとくわ」


 仲良しな2人である。う、うらやましくなんてないんだからな!


「では、行きましょうか~」

 



 シィナさんはまだ仕事があるため4人で宿を目指す。しかし。


「すごく注目されてるねぇ」


 僕とナティさんの2人が歩いている姿はすごく目立ち注目されている。

 昨日1人でも視線感じたんだから、2人になったらそうだよなぁ。


 ナティさんは居心地悪そうにしており、ニナさんは不機嫌そうに周りを見ている。


「ニャティさん、大丈夫ですかにゃ?怖くにゃいですかにゃ?」


 少し顔色が悪い気がする。


「さすがにここまで見られるのは初めてで……」


 人酔いというか視線酔い?したらしい。


「ふむ。これはちょっと考えないといけないかねぇ。しかしさすがに馬車はないしねぇ」


 エリマさんも考えてくれているが、流石に馬車は無理なようだ。というか嫌だ。


「……ごめんよナナキ君」

「え?」


 エリマさんは突如謝ると僕を抱え上げる。


「にゃ!?」

『『!?!?』』


 周りも驚き、何人かは悔しうらやましそうな表情になる。

 エリマさんは僕を抱えたまま、驚いているナティさんとニナさんを見る。


「ニナさんはナティちゃんを、2人には申し訳ないけどさっさと宿に駆け込むよ」


 エリマさんの言葉を聞いてニナさんがナティさんを抱え上げ、エリマさんと共に走り出す。

 周りは唖然としたまま4人を見送る。

 抱えられながら僕は思う。


(走るのはそんなに遅くないと思うんだけどなぁ)



 エリマさんとニナさんは2人を抱えたまま宿に入る。

 そんな様子をナラルスさんが半目で見る。


「なんか猫ちゃん増えてるのも気になるけどん。どんな帰って仕方してきてるのよん」

「仕方ないだろう。さすがにこの2人を連れてゆっくり帰ってくるには目立ち過ぎたんだよ」


 ナラルスさんの言葉にエリマさんが眉間に皺を寄せて答える。

 その言葉にナラルスさんは納得した。


「あ~、流石にケット・シー2人はねん。この街では初めてなんじゃないのん?」

「たぶんね。で、この2人も泊まるよ。一緒の部屋にでもしてあげて」


 エリマさんは僕を降ろし、近くの椅子に座る。

 ニナさんはナティさんを抱えたまま座り、彼女を頬擦りする。

 ナティさんも困っている表情をするが本気で嫌がってはいないようだ。よくされているのだろう。……うらやましい。


 ナラルスさんが2人に自己紹介しながら部屋の鍵を渡す。


「はい鍵よん。私はナラルスよん。ここのオーナー兼料理人をしているわん。食べたいものがあったら言ってねん。まぁ、猫ちゃんにはお魚だろうけどねん」

「ありがとう。ニナよ。よろしくお願い。私は何でも食べれるからおすすめお願い。魚の話をするってことはナナキ君も『あれ』をやらかしたのね」

「ニャティですにゃ。よろしくお願いしますにゃ。……さかにゃも嬉しいですけど時々でいいですにゃ。……恥ずかしいですにゃ」


 ナティさん達の言葉に僕は首を傾げる。


(あれってなに?恥ずかしい?何かあったっけ?僕、魚食べたときどうなったっけ?)


 僕は思い出そうとするが何故か思い出せない。ただ、すごい幸せだったことは覚えている。

 ナラルスさん達は半目で僕を見る。

 ナティさん達はそれを見てなんとなく察する。

 その後僕達は少し早めの夕飯を取ることになった。



『『にゃっっっふうぅぅぅぅぅぅ!!』』



 ある宿から猫のデュエットが響き渡る。

 しかし、その声はどこか幸せそうだった。




 ゲーム3日目。


「にゃあぁ~~」


 僕は大きくあくびした。

 寝ぼけているせいか顔を両手でコシコシする。

 外を見る。早く寝たせいか外はまだ薄暗い。時間を見ると5時半だった。


(ゲーム3日目ってことは現実では12時か。一旦ログアウトしよう)


僕はもう一度横になりログアウトする。



≪裕南の部屋≫

 僕は目を覚ます。

 手を動かし問題ないことを確かめるとギアを外し、ゆっくりと体を起こす。

 今度は全体的に動かし違和感がないことを確認して立ち上がる。


「うわ。さすがに視界には違和感出るか」


 妙に視界が高く感じて気持ち悪い。

 ベッドに座って落ち着くのを待つ。


(少し落ち着いてきた。ゆっくり慣れてかないとな。さて、確かログアウト中はこっちと同じ時間で進むから準備していこう)


 端末を起動する。メールを確認すると尚たちとのグループボックスに連絡があった。


潤『裕。お前は今どこにいるんだ?俺たちは【エアスト】にいるぞ。いるなら【山の鷹亭】7号室にきてくれ。受付には話を通してある』

尚『遅い。早く来い』

綾『寂しいです。待ってます先輩』

 

 あいつらもエアストにいるのか。まぁ、向こうからは見つけられないだろうなぁ。こっちから会いに行くのもなんか悔しい。気づいてもらおう。


裕南『エアストにはいるよ。せっかくだ。見つけてみてくれ』

 

 メールを送る。

 とりあえずカップ麺にお湯を注ぐ。


(探してみろとは言ったがエアストだけでかなりのプレイヤーがいるよな。NPCも見分けつきにくいし)


 ちなみに今いる国の名は【ブラン帝国】。今全てのプレイヤーはこの国にいる。

 その中で始まりの街とされているのは4つある。首都を中心に東西南北に分かれている。

 南にある【風と月の街『エアスト』】。

 北にある【火と星の街『プリムム』】。

 東にある【水と虚無の街『プルミエ』】。

 西にある【土と太陽の街『ファスト』】。


 僕がいるのはエアストだ。街それぞれに特徴があるのだろうけど詳しくはまだ知らない。

 というのも他の街に行くのに少なくともゲーム内で2週間かかるのだ。その間様々なフィールドやダンジョンがある。まぁ、まだ誰も行けてないだろう。3日目だし。クエストと強化に忙しいだろうな。ファナによるとβテストは違う国が舞台だったらしい。掲示板ではスタートダッシュ決めようとしてた連中が阿鼻叫喚してたらしい。南~無~。

 

 カップラーメンを食べて、トイレをすまして晩御飯の下準備をする。

 戸締りや日用品確認して問題なかったので、ベッドに横になりギアを被る。


(ナティってどんな子だろ?猫仲間同士仲良くなりたいけど)


 僕はナティを思い浮かべる。猫だけど可愛かった。たぶんリアルでも美人だろうと勝手に想像する。

 夕食で2人ではっちゃけたことを思い出し苦笑する。恥ずかしがってた理由が分かった。


(けど……楽しいな)


 僕はゲームを起動する。


ありがとうございました。

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