第91話 千年前の宿敵
「俺が……お前を殺した?」
講堂が静まり返る。
目の前にいる男――ゼノス。
その姿を見ているだけで。
胸の奥がざわつく。
「そうですよ」
ゼノスは笑った。
「正確には、あなたの仲間たちと共に、私を討った」
「……」
「ですが、最後に私を斬ったのは――」
ゼノスの視線が。
俺の神剣へ向かう。
「その剣です」
アストラ・ゼロが震えた。
《……敵性存在を確認》
「お前は何者なんだ?」
「私は神喰らいの使徒」
「そして、かつての神官」
ゼノスが手を広げる。
「千年前、私は神々を信じていました」
「だが、神々は世界を救わなかった」
「だから神喰らいに選ばれた」
黒い魔力が膨れ上がる。
「神を殺す力を得たのです」
「ふざけるな」
俺は剣を構える。
「その力で、今度は世界まで壊すのか?」
「世界?」
ゼノスは笑う。
「この世界は、とっくに壊れている」
次の瞬間。
黒い魔法陣が講堂を覆った。
「全員、下がれ!」
俺は守護領域を展開する。
黒い鎖が襲いかかる。
――ガキィン!
結界が受け止める。
「リーゼ!」
「分かってる!」
「――《エレメンタル・バースト》!」
炎、氷、雷、風。
四属性が一斉に爆発する。
だが。
ゼノスは片手で受け止めた。
「……弱い」
リーゼの顔が強張る。
「そんな……!」
「なら、俺だ」
俺は一気に距離を詰める。
「断絶!」
ゼノスの黒い剣とアストラが衝突する。
――キィィィン!
「……!」
ゼノスが後退した。
「その斬撃」
「やはり、あなたですね」
俺は目を細める。
「何を言ってる?」
「覚えていないのですか?」
ゼノスが笑う。
「千年前――」
「あなたは、今と同じ顔で私にこう言った」
『俺は俺だ』
「……!」
「そして私を斬った」
ゼノスの身体から。
黒い炎が噴き出した。
「だからこそ――」
「今度は私が」
「あなたを殺します」
その瞬間。
学院全体が。
巨大な黒い魔法陣に包まれた。




