第90話 王立魔法学院、入学式
王立魔法学院。
世界中から。
才能ある魔法使いたちが集まる場所。
その歴史は。
五百年以上。
王国最高峰の教育機関。
――というのが表向きの姿。
俺は門を見上げる。
「……本当にここが敵の拠点なのか?」
リーゼが首を傾げる。
「そんなわけないでしょ」
「学院長は王国でも有名な魔法使いよ」
「でも」
俺は門を見る。
「紋章が神喰らいと同じだった」
リーゼの表情が変わった。
「……それは」
エリシアも。
「偶然とは思えませんね」
セレナが言う。
「まずは調べましょう」
アリシアとノアも頷く。
俺たちは。
学院の中へ入った。
「うわ……」
巨大な噴水。
広大な校庭。
魔法研究塔。
図書館。
訓練場。
そして。
数千人の生徒。
「すごい……」
リーゼの目が輝く。
「魔導書があんなに……!」
「リーゼ」
「分かってる!」
「授業中に図書館へ引きこもるなよ」
「分かってるって!」
その時。
「新入生は講堂へ!」
教師の声が響いた。
俺たちは講堂へ向かう。
壇上に。
学院長が立っていた。
白髪の老人。
だが。
その瞳を見た瞬間。
俺は違和感を覚えた。
「……」
赤い。
ほんの一瞬。
学院長の瞳が。
赤く光った。
「レオン?」
セレナが声をかける。
「何でもない」
入学式が始まる。
学院長が話す。
「魔法とは」
「世界を理解する力である」
「そして――」
その瞬間。
講堂の床に。
魔法陣が浮かび上がった。
「……!」
俺は立ち上がる。
「全員、動くな!」
生徒たちがざわめく。
「何だ!?」
「魔法陣?」
「逃げろ!」
俺はアストラを抜く。
――バシュン!
魔法陣から。
黒い鎖が飛び出した。
生徒たちへ向かう。
「守護領域!」
光の結界が広がる。
鎖が弾かれる。
「レオン!」
リーゼが叫ぶ。
「これ……」
「神喰らいの魔法よ!」
俺は頷く。
「やっぱりな」
その時。
壇上の学院長が。
ゆっくりと笑った。
「素晴らしい」
「さすがですね」
「……学院長」
俺は剣を向ける。
「あなたが黒幕か?」
学院長の身体から。
黒い魔力が溢れ出す。
「黒幕?」
「違います」
「私は――」
学院長の姿が。
一瞬で別人へ変わる。
黒いローブ。
赤い瞳。
そして。
背中には。
巨大な黒翼。
「神喰らいの第七使徒」
「名を――」
「ゼノス」
講堂が。
悲鳴に包まれる。
ゼノスは俺を見る。
「久しぶりですね」
「……?」
「あなたとは」
「千年前にも会っていますよ」
俺の心臓が。
大きく跳ねた。
「……俺と?」
ゼノスは。
楽しそうに笑った。
「ええ」
「あなたが――」
「私を殺した張本人ですから」




